田村神社は、香川県高松市にある讃岐国の
「一宮」というのは、国(ここの場合は讃岐国)の中で一番格式の高い神社ということですね。
高松琴平電鉄琴平線 一宮駅から北東に徒歩約10分ほどの所にあります。
社記によると、和銅二年(709)に社殿が創建されたとあります。
御祭神は、
倭迹迹日百襲姫命 五十狭芹彦命 (吉備津彦命)- 猿田彦大神
天隠山命 (高倉下命)天五田根命 (天村雲命)
とあり、五柱合わせて田村大神といいます。
○○レンジャーみたいでカッコイイですね^^
しかし、それは社殿が建てられた後になって祀られるようになった神様。
実際にはもっと古くから祈りの場であったといわれています。
ではその昔は何に祈っていたのでしょう?
それが水の神様である龍神です。
龍神についてふれつつ、田村神社の境内を紹介します。
田村神社の神様は、水を司る龍神
水は生きていくうえで大切ですよね。
しかし、讃岐平野は水不足になりやすい地域。
なので弘法大師 空海が「満濃池」という灌漑用の池を改修したことで知られています。
そういう場所でありながら、田村神社の地下には豊富な伏流水が存在していました。
田村神社は讃岐平野のほぼ中央に位置していますし、そこで水が発生すれば、恩恵を受ける人は多かったはずです。
水神への信仰が生まれるのも当然な流れでしょう。
それが田村神社の元々の始まりと考えられています。
龍は水を司ると昔からいわれていて、それが信仰されれば「龍神」と呼ばれます。
水神にもいろいろありますが、田村神社の水神は「龍神」だったんです。
昔は、領内に
田村神社が讃岐国の一宮となっているのも納得できますね^^
田村神社に伝わる龍神伝説
社伝によると、本殿の裏側にある奥殿の床下には「定水井」と呼ばれる深淵があるそうです。
真夏でも冷たい空気が流れており、「底なしの深淵」ともよばれていて、決して覗いてはいけないといい伝えられています。
龍はそこに住んでいるといわれているのです。
田村神社で祀る水の神様は「
社殿には龍体で示現なすとの伝えある田村の神は 水の大神
という御神歌が貼られていました。
田村神社の表参道を真っすぐ行くと大鳥居があり、そのすぐ後ろに本殿があります。
ここには拝殿はなく、すぐに本殿になっています。
奥殿があるのはその後ろ。
奥殿を覗き見ることも難しいですが、「定水井」はさらに奥殿の下にあるので、完全に見ることはできません。
しかし見れたとしても、実際に見てしまうと大変なことになりそうだ、という説話が残っています。
その際斉庵は、社の下にある淵を見たいと神官に願い出たのです。
困った神官はどんな祟りがあるか分からないと断ったのですが、それでもなかなか聞いてくれません。
それでも是非見たいと言うので、神官はそれではと淵を見せたところ、しばらくして水が逆巻き上がり、其の中から竜が紅の舌を巻き三間ほど頭を出して斉庵をにらんだのです。
斉庵は心地悪くなり、
その後、工事も半ばになった時、淵の蓋の真ん中に2尺ほどの穴が開いていて、大工がその穴へ
しばらくすると竜が現れ、なんと大工が落とした鑿を角に掛けて差し出してきたのです。
大工は恐ろしくて手で受け取ることができず、おそるおそる足で鑿を挟み上げて受け取ったのです。
すると、大工はたちまちに死んでしまいました。
「触らぬ神に祟りなし」と言いますが、むやみに神様に近づいてはいけませんね^^;
特に田村神社の神竜は生き神ですし、不敬があってはいけないのです。
境内には竜のモニュメントがありました。
こちらは見ても良い竜なので安心です^^
これは2009年、御鎮座1300年記念事業の一環で企画されたものなのだとか。
淵から現れる様子を再現したのでしょう。
でも、ただのモニュメントではありません。
金龍という、金運上昇の御利益のある竜神様なのです^^
龍は、十二支の中でも特に偉大な神通力を持っていて、雲を呼び雨を降らす神通力で水を支配します。
水は財運、つまり金運を象徴することから、龍神は財をもたらす神ともされているのです。
金の宝珠を二つ持っていて、竜神の下には願い事の書かれた小判がたくさん奉納されています。
境内には他にも、竜を意識したモニュメントや意匠が見られました。
磐座に佇む竜神様。
水もしたたる竜神様。
水もしたたる竜神様パート2。
井戸に入り込む竜神様。
鳥居の装飾になったカメレオン竜神様。
竜神様・・のような、流木様。
このように、竜神様が住まう場所であることを物語るかのような境内になっています。
民間信仰?テーマパーク?たくさんの神様がいる社
田村神社は信仰の歴史が古く、一宮として昔から篤く信仰されていたことは先に述べた通りです。
そのようであったことは文献にも載っています。
「日本三代実録」によると、貞観三年(861)に官社に列したことが記されていますし、延長元年(923)に完成した「延喜式」にも大社として載せられているのです。
奈良時代から平安初期に祭祀に使われたという古神宝類や、室町時代の応仁の乱の際には、大乱に備えて細川勝元が、領国である讃岐をかためるために掲げたという壁書などが高松市の歴史資料館で展示されています。
それだけ歴史を持っていて、神威が大きかった神社なのです。
そういう社なので、その境内は厳かな雰囲気が漂っていて・・・
という感じを想像しますが、それは数年前までの話。
現在は戸惑いを感じるほど色々な神様が祀られていて、何も知らずに訪れると、まるで神社のテーマパークのような印象です^^;
まずは七福神。
田村神社は、「さぬき七福神」を祀る社寺の一つで、家庭円満・夫婦和合、人間関係に御利益がある、布袋さんを担当しています。
境内には布袋さんがたくさん。
まずは、北参道の入り口にいらっしゃる、お迎え布袋尊。
大楠を背景に座っていらっしゃいます。
小さくてかわいらしい布袋さんも^^
大地主神を祀ると言う宇都伎社のそばには、金箔を貼って祈願する布袋さん。
事情あって生れることの無かった水子達を育てるという、子育て布袋尊。
さぬき七福神の一つ、ということで、布袋さんがたくさん祀られていることは理解できるのですが、実際には布袋さん意外の七福神も祀られていて、布袋さんの社であることがわかりませんでした(≧▽≦)
先ほど金箔の布袋さんを紹介しましたが、その横には金箔の大黒さんもいらっしゃいます。
宇都伎社の正面には、回すタイプの大黒天。
御利益が得られるのはありがたいのですが、大きな社殿を持つ摂社のセンターに大黒さんがいると、布袋さんの存在感が薄まってしまいますね^^;
その横には、わらべ七福神という七福神も祀られています。
わらべ七福神のセンターは一応、布袋さんになっています^^
しかし、池のあたりの主役は弁天さん。
中心には弁天社があり、弁天さんの像があります。
宝船に乗った七福神オールスターズも^^
その他、七福神個別の石像もそれぞれあり、この神社でセンターを務めるべき布袋さんもその中の一つになってしまっています。
次は干支です。
干支のモニュメントは現在のところ3種類。
まずは、自分の干支を回すタイプ。
音を鳴らすタイプ。
十二支には音があって、宇宙とつながりがあるらしいです。
そして、ただただかわいいタイプの干支。
全部は載せていませんが、十二支全て揃っています。
天満宮の前には、合格門と書かれた門が置かれています。
受験生はくぐること必須の門です。
女性の守護神とされる
まずは、「はらみ石」。
注連縄が施されているので触っていいのかどうかわかりませんが、子供が欲しい方、安産を願っている方に御利益がありそうですね。
安産子宝犬。
犬はお産が軽く、多産であることから安産の象徴とされているそうです。
ぐち聞きわらべ。
日頃から愚痴が多いなあと自覚している方はどうぞ^^
そのお隣には、「あわしまさん」という小さな神様。
小さな神様なので、社も鳥居も小さくなっているそうです。
お参りするには、ここをくぐらなければいけません。
「くぐって参れ」と書かれています^^;
がんばってくぐった先にいらっしゃるあわしまさんの背後には、あやしい物体が。
子宝に恵まれたい方がお参りすると御利益があるのかもしれませんね^^
今度は本当に昔っからいらっしゃったっぽい神様、田の神さん。
食べ物に不自由のないようにしてくれる神様です。
その横には、「一打萬福」と書かれたものが置かれています。
名前からして、一回叩けば、福がたくさん頂けそうですね^^
田村神社の御朱印
田村神社の御朱印です。
田村神社は、このような感じで御利益テーマパークになっているのですが、これは2009年に創立1300年を迎えたことを機にこのようになっていったのだそうです。
宮司さんが、たくさんの神様がいる楽しい空間にしようということで色々と追加していったのだとか。
割と最近のことだったんですね。
何でもあり感がありますが、お正月に来ると家族で楽しめそうな印象を受けました。
こういうことが地元の人に受け入れられると、民間信仰として残っていくのかもしれませんね^^
また、田村神社では毎週日曜日に日曜市を開催していて、社務所の横でうどん屋さんがオープンします。
午前中でなくなってしまいますし、私のように他県から訪れる場合はタイミングが難しいのですが、いつか食べに行ってみたいですね。