奈良の花の名所である長谷寺は、西国三十三所観音巡礼を開創した徳道上人が開山した、真言宗豊山派総本山のお寺です。
朱鳥元年(686年)、奈良時代の開創なので、1300年以上も歴史のある古寺で、以前、JR東海のCMにも使われていたほど観光の名所です^^
観音信仰にあつかった徳道上人が開いた大寺院ということもあって、霊験あらたかな観音の名地として知られており、その関係寺院は全国に三千ヵ寺もあります。
御本尊は10mを超える国内で最も大きい木造の長谷寺式十一面観世音菩薩立像で、長谷寺信仰の根本仏像となっています。
大和の山々に囲まれていて、本堂は初瀬山の山腹にあり、壮大な自然の景色と四季折々の花を楽しめる「花のお寺」としても知られていて、静かでとても気持ちの良いところです^^
境内も広くて、山の麓の門前町から主な参拝コースを廻ると30~40分くらいかかります。
境内散策
長谷寺駅方面から歩いて15分、お土産屋さんや名物の草餅屋さんなどで賑わう門前町を抜けると、長谷寺の総門が見えてきます。
(門前町の途中、西国三十三ヵ所の番外札所で、長谷寺を開創した徳道上人が晩年隠棲していた法起院という小さなお堂もあります。)
総門から参道を歩いていくと入山受付があって、そのすぐ前には仁王門があります。
両脇に仁王像があってそれは見ることができるのですが、楼上には十六羅漢が安置されているそうです。
十六羅漢は残念ながら通常非公開なので見ることはできません><
仁王門をくぐると、長谷寺名物「
399段の石段で、奥まで続くその眺めは非常に楽しいですね^^
私はアジサイが咲く6月下旬に参拝したのですが、所々にアジサイがあって楽しませてくれますし、外が暑くても登廊は涼しいんです♪
とても気持ちの良い山の登り道ですね^^
下は登廊からちょっとそれた場所から撮った写真です。
登廊の両脇には牡丹がたくさん植えられていて、牡丹の季節はとても綺麗なんだとか。
次はその季節に行ってみたいです^^
こんな風に、初瀬山に沿って本堂横まで続く全長200メートルもある登廊を登っていくわけですが、その途中で蔵王堂というお堂があります。
ここには、吉野の金峯山寺の本尊、蔵王権現が祀られています。
吉野からここまで来たということで祀られているらしいですが、そもそも本山を開創した徳道上人は、金峯山寺の開祖である
何かしらの縁があるんでしょうね^^
蔵王堂の横には、あの紀貫之が植えたと言われている梅の木があります。
6月下旬なので何の見頃でもありません^^;
梅の季節はキレイなんだそうですけどね。
立札には、「紀貫之 故里の梅」と書かれていて
「人はいさ 心も知らず 故里の 花ぞ昔の 香ににほひける」
という歌が詠まれています。
古今集に掲載されている歌で、百人一首にも使われています^^
登廊を登りきると、本堂前の広場にでます。
そこには本堂のほか、鐘楼、愛染堂、納経所などがあります。
奥にあるお堂は愛染堂です^^
本堂入口はこちら。
本堂は国宝で、ぜひ良いポジションから写真を撮りたかったのですが、なんせ大きいので良いポジションがありませんでした^^;
入口には人がたくさんいますが、この時間は午前11時前。
長谷寺では毎日午前十一時に、御本尊前で法要が行われていて、登壇するための受付があるので一般人も法要に参加できます。
御本尊はもちろん撮影禁止。
なので、パンフレットに載っていた御本尊の写真で紹介します^^
御本尊の十一面観世音菩薩は十メートル余りの高さ。
そして他の観音菩薩と違うのは、
- 右手に
錫杖 を持っている。 - 蓮の形をした蓮華座ではなく、方形の大盤石という台座に立っている。
というところ。
これは観音様の特別なお徳を表しているそうで、それが"長谷寺式"と言われるものです。
錫杖は普通、観音様ではなくて、お地蔵様が持っている持ち物で、音を鳴らして悪いものを退散させるものです。
お地蔵様はこれを持って六道という色々な世界を渡り歩いていて、たとえ地獄であってもそこで苦しんでいる人を救ってくれるわけですが、ここでは観音様が持っています。
つまり、観音様自らが世を渡り歩いて救おうとしているということですよね^^
本堂は正堂と礼堂の2つに分かれていて、礼堂の前には懸造りの外舞台があります。
いわゆるテラスのようなものですね^^
外舞台から礼堂と正堂を見るとこんな感じです。
写真だとちょっと暗くて見えませんが、実際には御本尊もよく見えます。
そしてそこから外側を見ると、絶景の景色が広がります♪
下には先ほど通ってきた仁王門と登廊が見えます。
すぐそこにある大きな気は、登廊の横から伸びている天狗杉です。
秋には紅葉が広がってキレイなんだそうで、秋にも訪れてみたいですね^^
そして12時になると隣の鐘楼から鐘の音と法螺貝の音がなるそうです。
それも長谷寺名物><
とても1回訪れただけでは知りつくせませんね^^
長谷寺の参拝ルートは左回りですが、ルート進む前に行っておきたいところがあります。
それが本堂から東側、納経所から奥の道に行った、能満院です。
長谷寺の塔頭寺院で、日を限ってお祈りすれば願いごとを叶えてくれるといわれる「日限地蔵尊」というお地蔵さん、そして赤い不動明王が祀られています。
お堂に行くまでの道には、子供を救っているお地蔵さんの像が何体か見られます。
帽子をかぶった小さくてかわいいお地蔵さんもいらっしゃいます^^
そしてお地蔵さんの横には、このような仏足があります。
仏さんの足の裏ですね^^
仏足に手をのせ、
地獄に落ちた衆生を日限地蔵尊が救いに行っている?絵があったり、
天井には西国三十三所の散華の絵があります。
能満院は結構面白いお堂なのですが、情報が少なくてどういういわれがあってそのような絵や散華が描かれているのかなど、よくわかりません^^;
由緒書をおくなり、公式サイトでもっと紹介するなりしてくれたらなあって思いますね~^^;
御朱印
長谷寺では、
- 西国三十三所 第八番
- 真言宗十八本山
- 神仏霊場 三十五番
- 能満院
の御朱印があります。
頂いた朱印を紹介します。
まずは、西国三十三所の御朱印です。
"大悲閣"と書かれています。
「大きな慈悲を持ったお堂」という意味ですね^^
観音様が本尊の場合、"大悲殿"と書くことが多いですが、長谷寺では"閣"となっています。
これは、「大きな舞台作りの御堂」という意味があるそうです。
同じく、西国三十三所の御詠歌です。
「いくたびも 参る心は 初瀬寺 山もちかひも 深き谷川」
と書かれています。
"初瀬寺"は長谷寺のことですね^^
初瀬山の麓にあるから昔はそう呼ばれていたのかもしれません。
そして、「初瀬寺」の部分は「初めて」の意味で掛けられているように思われます。
何度参拝しても初めて来るような四季折々の自然美がありますよね^^
それとも、「何度参拝しても初心忘れるべからず」という意味でしょうか?その辺はわかりません^^;
真言宗十八本山の御朱印です。
こちらは西国三十三所と同じく"大悲閣"ですね^^
続いては能満院の御朱印です。
"日限地蔵尊"と書かれています。
同じく能満院の御詠歌です。
長谷寺を参拝したら、門前の商店街を南に行ったところにある"法起院"も参拝しましょう。
小さな御堂ですが、西国三十三所巡礼の開祖で、長谷寺を建立した徳道上人の御廟所となっています。
西国三十三か所巡礼の番外札所にも指定されていますよ^^
長谷寺の境内も、広くて季節によって風景が変わりますので、また違う季節に寄ってみたいと思わせられます。
特に牡丹と紅葉の季節は行ってみたいですね^^