全国の一言主神社の総本山、
奈良県の葛城山の東南麓にある神社で、地元で「一言(いちごん)さん」と親しまれています。
境内はそんなに広くありませんが、「古事記」や「日本書紀」にも出てくるほど有名な一言主大神を祀る神社で、全国にある一言主神社の総本社でもあります。
一緒に
願いが叶うパワースポットとも言われる神社です。
一言主神社は何の神様を祀っている?
一言主神社で祀られている神様は、悪事も一言、善事も一言で言い放つ託宣の神様「一言主大神」。
一言の願い事なら何でも聞いてくれると言われている神様です。
「一言のみ」と限定されると、何をお願いしようか悩んで緊張してしまいますね^^
「古事記」には一言主神にまつわる不思議なエピソードが書かれています。
第21代天皇の雄略天皇が葛城山に狩りをしに行った時に一言主神と出会ったという話です。
ある日、雄略天皇が葛城山中で狩りをしていた時、向かいの尾根伝いに同じように登る人を見つけました。
その人は、紅紐の付いた青摺の衣といった、天皇と容貌が似ており、それだけでなく付き従う人々の身なりも天皇一行と瓜二つだったのです。
驚いた天皇が、その一行に名を訪ねると
「私は悪事も一言、善事も一言で決めてしまう神、葛城の一言主の大神である」
と答えが返ってきました。
普段は人の目には見えない神が突然姿を現したことに驚いた天皇は、腰に帯びた太刀や弓矢などの持ち物の他、供のものの衣服も脱がせて献上したところ、一言主神は喜んで祝福し、帰る天皇を見送ったのでした。
古事記ではこのように不思議な伝承を伝えています。
一言主神はそれだけ崇められていた神様だったのかもしれません。
葛城一言主神社ののどかな境内を散策
葛城一言主神社は、西の「山の辺の道」(日本最古の古道)といわれている葛城古道から少し入ったところにあります。
第一鳥居は、専用の参道ではなく車道を半分にして建てられています。
周りは畑や田んぼなど、のどかな風景。
何も知らなければ田舎の小さい鎮守様の神社という感じですが、平日にも関わらず参拝者がちらほら訪れていました。
鳥居から50mほど先に境内に登る階段があります。
段数は少ないのですがちょっとだけ急な階段。
その横道からはスロープのような坂があって、私達が参拝した時にいた地元のお年寄りは、
「私はいつもここから登るんや~」
と言っていました^^
階段の途中に、穢れを祓う祓戸社がありますので、まずはここを参拝してお祓い。
階段を登るとすぐに拝殿前に出ます。
お寺のお堂のような拝殿と本殿ですが、おそらく神仏習合の影響でしょうね。
明治以前までは、神宮寺として「一言寺」というお寺があったそうですから。
神仏習合についてはこちら
よく、神社とお寺の区別がつかないという方がおられます。 でも、それはおかしなことではありません。 歴史を紐解けば、区別がつかないのも当然の流れなんですよね^^ そのカギを握るのが「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」です。 …
そしてここでお願いごとを神様に伝えるのですが、ここは一言主神ですから、「一言」にまとめた願いを伝えます。
あれこれ欲張らずに「一言」にまとめるのは意外と大変でした^^
神社の絵馬も、お願いごとの神様らしく、「願」という文字になっています。
拝殿の左横には、御神木のイチョウの木があります。
樹齢1,200年の老木で、幹の途中から乳房のようなものがたくさんでていることから「乳イチョウ」「宿り木」と呼ばれていて、白蛇が住みついているといわれています。
このことから、この木に祈願すると、子供を授かりお乳がよく出ると伝えられているそうです。
内部が腐朽が激しくなっているので再生治療中なのだそうですが、それでも見上げれば立派な木です。
秋は紅葉がキレイなんでしょうね^^
木の横から眺める田園風景も昔懐かしい風情があります。
奈良らしい感じがするような気がします^^
本殿右横には、一言稲荷社。
お稲荷さんまで「一言」を名乗っていますね。
最後に忘れずによっておきたいのが、入口の階段左横にある「亀石」。
運気上昇のご利益があるのだとか。
いわれによると、役行者が、災いをもたらす黒蛇を調伏し、封じるために置いたのがこの石なのだそうです。
上から水が出ていたので、手水舎のように手と口をゆすいでおきました^^
葛城一言主神社でのお願いの仕方
一言主神の伝承を見る限り、何か特殊なお願いの仕方がありそうな気がしますよね。
もう一度おさらいすると
一言の願いであれば何でもお聴きくださる神様
です。
なので、お願い事は事前に一言にまとめておいた方が良いでしょう。
詳細な説明は抜きにして、一言で言いきってしまう。
決意表明のような感じですね^^
参拝の作法については、神社側で公式に発表していることは何もありません。
なので、普通の神社の参拝の仕方「二礼二拍手一礼」でも良いと思います。
以下の動画では、三重県神社庁が、丁寧なやり方で「二礼二拍手一礼」を解説しています。
ここでもう一つ、葛城一言主神社は「無言まいり」でも知られています。
無言まいりというのは、参拝の道中、誰ともしゃべらずにお参りすることです。
実は京都の祇園花街でも、祇園祭の時に無言まいりを行う風習があります。
八坂神社から出発、御旅所で参拝するのですが、これを7往復半、誰ともしゃべらずに行います。
道中も参拝中も終始無言で行うのです。
これを、神輿が八坂神社から御旅所に運ばれる神幸祭(7月17日)から、八坂神社に帰る還幸祭(7月24日)の間に行います。
これが祇園の舞妓さんの間で昔からの風習になっているんですね。
ただしこれは、京都の祇園での話ですから、葛城一言主神社の場合は、参拝する日の朝から参拝を終えるまでを無言で行うと良いと思います。
一言に集約することで願い事の強さが増すのかもしれませんね。
そしてこの参拝方法は、必ずしもこうしなければならないというものではありません。
普通の参拝でもOKですので、お好みでお試しください。
葛城一言主神社の期間限定お守り「一陽来復」
葛城一言主神社には、「
この神社に伝わる特別秘伝の「難転魔滅のお守り」です。
難儀に遭遇する時にはその魔を滅し、これを福に転ずるという意味で、良くないことがあっても、幸運に変えてくれるわけですね。
今、困難な状況に置かれていて、これを何とかしたい人は特にいただきたいお守りでしょう。
明治時代になって、世の中の情勢の変貌等で公になる事を控えてきたのだそうですが、惜しむ声がたくさんあったので、再び授与することになったのだそうです。
それくらいパワーのあるお守りなのだそうですが、そのような特殊なお守りなだけに、色々と条件があります。
まず、授与期間ですが、冬至の二日前から節分の日までの間しかありません。
手に入れるならこの期間に行かないといけませんね。
しかも、数には限りがありますし、お守りの郵送はしていませんので、欲しい方は早めに訪れましょう。
そして、いただいたらそれで終わりではありません。
家でお祀りするにもいろいろ条件があります。
- お守りを貼る位置:玄関内で、その年の恵方の方角にお守りの前面が向くように、反対側の柱や壁の最も高い位置に貼る
- お守りを貼る時間:冬至、大晦日、節分の日、いずれかの夜中十二時(二十四時。翌日になる時)
貼ったらこれで一年間、はがしたり場所を移動したりしてはいけません。
お守りが落ちてもダメで、もし落ちた場合は一言主神社に納めます。
引越しなどでやむを得ず外す時も一言主神社に納めます。
納める場合も、郵送では受け付けていないそうなので、頂くならそのようなことがないように考えてから頂く必要があります。
ここまで色々と決められているお守りも珍しいですね^^
どのくらいのパワーがあるのか、気になるところです。
葛城一言主神社の御朱印
葛城一言主神社の御朱印です。
印だけのシンプルな御朱印になっています。