城南宮

城南宮は、京都の伏見、京都市内の南部にある神社です。
京で千年以上も栄えた都、平安京は、風水において方角を司る四神が存在する、四神相応の地とされていました。

「四神相応」については平安神宮の記事に書いています。⇒平安京を再現した神社、平安神宮

城南宮はそのうち、天皇のいる「王城」の「南」を守る社になっています。
四神相応に当てはめると、この地は朱雀(すざく)のいる場所ということになります。
「朱雀」は中国の伝説上の神鳥で、南方を守護する鳥なのだとか。

イメージ的には赤い鳳凰、という感じです。

平安時代末期には、京の御所から少しだけ離れたこの地に白河上皇が離宮(鳥羽離宮、城南離宮ともよばれる)を造営しました。
城南宮はそのすぐ近くにあります。

白河上皇の時代は、和歌山県にある熊野三山にお参りする「熊野詣」がブームで、ここが熊野詣の出立の地として選ばれることが多かったようです。
道中が険しく大変で、往復一月にも及ぶ熊野詣に行く前に、道中の安全を祈願してここに7日程籠って身を清めていたんです。

そのようなことから旅行・交通安全の神様としても知られています。

また、京都御所の裏鬼門を守っていることから方角の災いを除く神様という役割ももっています。

城南宮の神様のご利益「方位除け」とは?

城南宮 方除け

「厄除け」というのはよく聞きますが、「方位除け」については知らない人も多いと思います。
方位除けには2種類あります。

1つは、生まれた年月日が関係する方位除けです。
これはちょっと難しいのですが、九星気学からきています。

九星気学では、生まれた年月日によって、

  • 一白水星
  • 二黒土星
  • 三碧木星
  • 四緑木星
  • 五黄土星
  • 六白金星
  • 七赤金星
  • 八白土星
  • 九紫火星

の九星にタイプ分けして占います。
自分の星は、方位学を紹介するサイトで調べられます。
例えば、開運の方位学というサイトで、生年月日を入力して調べるところがあるので、自分の星を調べてみて下さい^^

そして、星の位置は毎年替わるので、毎年吉凶の方位が変化します。
なので、それぞれ今年の良い方角、悪い方角、というものがあるわけです。

特に星そのものの運気が停滞する位置にいる場合もあって、その時は方位除けを行います。
方位除けをすることで、大難は小難に、小難は無難になります。

方位除けをした方がよい年齢と星は、こちらの間々田八幡宮のサイトにわかりやすく載っていました^^
間々田八幡宮 厄除け・方位除け早見表

もう1つの方位除けは、単純にどこかに行く時に「その方角で災いが起きないように」と願う方位除けです。

特に旅行や引越しなど、長期的に移動する場合は、方位除けを祈願した方がよいですね。
また、開運旅行に行きたい場合は、吉方位を調べてその方角に行けば良いわけです。

平安時代の貴族は、自分の向かう方向があまり良くない方角だった場合、方違え(ほうちがえ)というものを行っていました。
例えば東に向かいたいけど東が悪い方角だった場合、一旦南に行ってから北東に向かう、という感じで、向かう先が悪い方角にならないようにしていたんです。

以上、大雑把に説明しましたが、詳しくはもっと色々ありますし、知ろうとすると結構勉強が必要です。

とりあえず気軽にやりたい場合は、まずは自分の星を知って、その方角を占って悪ければ方位除けをすればOKだと思います。
城南宮に参拝する際は、あらかじめ自分の星と吉凶の方位を調べておきましょう^^

城南宮は一寸法師ゆかりの地

こちらは城南宮の拝殿。

城南宮 拝殿

  • 国常立尊(くにとこたちのみこと)
  • 八千矛神(やちほこのかみ)(大国主命)
  • 息長帯日売命(おきながたらしひめのみこと)(神功皇后)

の三柱の神様が祀られています。

そんな拝殿の前にはこんなものが。

城南宮 一寸法師

最近はこういう系のものは色々なところで置かれているのでスルーしてしまいがちですが、よく見るとこれ、日本昔話で有名な一寸法師ですよね^^
一寸法師が乗っているお椀には、城南宮のご神紋「日・月・星」が描かれています。

授与所に行くと、方位除けの朱雀のお守りの上に、一寸法師の「しあわせまもり」というものがあります。

城南宮 一寸法師 お守り

一寸法師は城南宮と何か関係があるのでしょうか?
実は、神社が直接関係しているわけではないのですが、この地域が少しだけ関係があるんです。

一寸法師はどういうお話だったか、おさらいすると、大人の小指ほどの大きさしかなかった一寸法師が、京に行って侍になる、という話ですね^^
その際に一寸法師は、針の刀を脇に差してお椀の船に乗り、京の都に向かいます。

その時に舟を乗り降りした場所ですが、実は、鎌倉時代末から江戸時代にかけて成立した絵入りの短編物語集「御伽草子(おとぎそうし)」に、実在した場所が書かれているんです。

「御伽草子」に書かれている一寸法師は、現在一般的になっている一寸法師とはちょっと話が違っているのですが、こちらが大元になっています。

それによると、「難波の津」からお椀の船に乗った一寸法師は、淀川を上り、たどり着いたのが「鳥羽の津」という場所。
その「鳥羽の津」は、城南宮の南にあたるのだそうです。

ちなみに一寸法師のご両親は、子供に恵まれなかった老夫婦なのですが、子供に恵まれるよう祈ったのが住吉大社の住吉大神。
一寸法師が仕えたお姫様は、清水寺にお参りの後に鬼にさらわれています。

何気ないおとぎ話にも神社やお寺は登場します。
こういうところに思いを馳せて、一寸法師紀行の旅などしたら、子供が喜ぶかもしれません^^

雅な宮中行事 曲水の宴

城南宮 曲水の宴

城南宮では、毎年4月29日と11月3日に「曲水の宴」という行事が行われます。
行事が行われると毎回テレビで紹介されるイベントです。

城南宮 曲水の宴

上の写真は、城南宮の立て札に貼られていた写真です。
平安時代を思わせる優雅な遊びですね^^

どんなことをしているのか?というと、まず庭園に遺水(やりみず)とよばれる小さな川が流れていて、平安時代の装束を身につけた歌人がその流れに沿いに散らばって座ります。

そして琴の音色が聞こえるなか、上流から羽觴(うしょう)という盃を運ぶ鳥形の船が流れてきます。

歌人は、船が流れてくるまでに、あらかじめ与えられたお題で和歌を短冊に一首したためます。
それから盃を取ってお酒を頂き、船を次に流します。

短冊に書いた和歌は、披講の席(詠んでくれる人のところ)に持っていかれ、披露されます。

その他、白拍子の舞などもあり、平安時代の風流な遊びを生で見ている感じです^^

曲水の宴の開催日は、普段有料の神苑が無料で開放されます。
ただ、立見の見学者がたくさんになるほど混むので、前列で見たいなら早めに行った方がよいでしょうね。

2014年の4月29日は、予報が雨だったので中止になるだろうなあと思っていたら、結構な雨でやっぱり中止になりました^^;
琴の演奏や白拍子の舞は行ったようですが、やっぱり川に流すところが一番見たいですね><

霊験あらたかな菊水若水

城南宮の本殿に向かって正面にある鳥居の横には手水舎があります。

菊水若水

この手水舎は、普通の手水舎とは違い、「菊水若水の井」と呼ばれています。

なんでも、この水を飲むと、あらゆる病気が治るということで、病気平癒の霊験あらたかなのだとか。
手水をしてみると、水に香りがあって、柔らかい感じがしました^^
今まで参拝した神社で、一番美味しい水のように思えます。

そもそも伏見地区は水に恵まれている地域で、酒造メーカーも集まっています。
神社でも水を汲むことができるところが多くて、ポリタンクやペットボトルを持って汲みにくる人が多いんです。
城南宮もその一つで、参拝中にポリタンクで汲んでいる人を見かけました。

近くに住んでいる方はうらやましいですね^^

城南宮の御朱印

城南宮の御朱印です。

城南宮 御朱印

また、城南宮は、四神信仰にちなんで「京都五社巡り」の1つになっています。
京都五社巡り専用の色紙(1,000円)があって、この色紙に一つ御朱印(300円)を頂きます。

京都五社巡り

四神信仰は、方位を司る四方向神獣を信仰するというもの。
中央の平安神宮(御所)、南の城南宮(朱雀)、西の松尾大社(白虎)、北の上賀茂神社(玄武)、東の八坂神社(青龍)となっています。

色紙はそれぞれの神社で用意されていますので、どこからでも始められます。


城南宮の神苑は、春の山、平安の庭、室町の庭、桃山の庭、城南離宮の庭と分かれていて、四季折々の花が咲いたり、枯山水があったり、池泉廻遊式の庭園になっていたり、色々と見どころいっぱいになっています。
私はちょうど梅が満開の時期に行ったことがあるのですが、その時の様子はこちらに書きました。
城南宮の「しだれ梅と椿まつり」に行きました。

その他、駐車場から大通りを挟んで向かい側には、名物のおせき餅もありますよ^^

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