8月の第一日曜日は、年に一度の観音フェス、「観音の里 たかつきふるさとまつり」
滋賀県の湖北地方、「観音の里」として有名な高月町で行われている祭りです。

湖北地方には己高山という山岳修行で栄えた山があって、比叡山よりも古い歴史があります。
かつてそこには諸堂がたくさんあったのですが、戦乱や時代の流れで衰退してしまいます。
でも、仏像だけは住民が代々守ってきたので、現在に伝わっています。

大きな合戦が相次いだ場所でもあるのですが、土に埋めたり川に沈めて隠したりしながら戦乱をくぐり抜け、その後も大事に守ってきたので、この地方には京都や奈良に負けないくらい立派な仏像が残っているんです。

しかしこの地域のお寺は、無住のために住民が交代でお世話をしているところがほとんど。
なので、普段お寺に行ってもお堂が開いていないことが多く、拝観するなら事前に当番の方に連絡して、開けてもらう必要があります。

気軽に行けない感じがして、ちょっとハードルが高いですね^^;

しかも、この辺りは観光地ではないので情報が少なく、地図を見てもアバウト、交通の便が不便なことも難易度を上げています。

でも、この日だけは年に一回の解放日!
高月町一円のお堂が解放されて、ユニークな観音様達が拝み放題になります^^
メイン会場には門前市やステージイベントが行われて盛り上がります。

町内の観音さまをめぐる周遊バスツアーや、巡回バスなども出ます。
各お寺に行けば、地域の人が飴玉や飲み物まで用意してくれますし、スタンプラリーもあります。
印を集めて後で抽選会があって景品が貰えたりして、至れり尽くせりのイベントになっているんです。

2014年は第三十回目の開催。
朝から張りきって行ってきました^^

当日は巡回バスがでます

高月観音の里まつりは、特別に町内を回るバスなどが用意されます。

  • 周遊バスツアー(事前予約)
  • 巡回バス(1,500円で1日乗り放題)
  • レンタサイクル(500円)

町内を歩きまわるには広すぎますので、こういうものが用意されているのは嬉しいですね^^
私達は今回、巡回バスを利用することにしました。

観音の里 たかつきふるさとまつり 巡回バス

巡回バスは、高月駅を出発地として各お堂の近くに臨時のバス停ができ、30分間隔で運行しています。
駅前で乗客証が販売されていますので、それを見せればいつでも乗れます。

バスはただ巡回するだけでなく、地元の人がガイドを務めてくれます。
この地域のことや、次停まるお寺の説明など、わかりやすく説明してくれます^^
地元の人ならではの情報が聞けるのもなかなかないので魅力的なサービスですね♪

路線図はこのようになっています。

たかつきふるさとまつり 路線図

ここでは字が見にくくなってしまいますが、詳しくは、観光協会が運営する「長浜・米原・奥びわ湖を楽しむ観光情報サイト」に、この図を載せたPDFのパンフレットがあります。
第30回観音の里たかつきふるさとまつり | 長浜・米原・奥びわ湖を楽しむ観光情報サイト

今回は、高月町の東の方を回るⅠコースを利用して周ることに。
駅近くにあるお寺も含めて、この順に周りました。

高月観音堂 ⇒ 浄光寺 ⇒ 渡岸寺観音堂(向源寺) ⇒ 高月観音の里 歴史民俗資料館 ⇒ 尾山釈迦堂 ⇒ 己高閣・世代閣 ⇒ 石道寺 ⇒ 保延寺阿弥陀堂 ⇒ 雨森観音寺 ⇒ 保延寺観音堂 ⇒ 円満寺 ⇒ 理覚院 ⇒ 柏原阿弥陀堂

お寺が密集しているところは歩いたりしながら、遠いところはバスを利用。
ゆっくり周った割には結構周れたかなと思います^^
お昼頃から巡回バスが満席になったりしましたが、すぐに臨時便を出してくれて、そんなに待つこともありませんでした。

拝観した観音様をピックアップ!

参加しているお寺には、下の写真のようにふるさとまつりの旗が立てられています。

高月観音堂

参道では地元の人が無料でお茶や飴玉を無料で提供してくれますし、中にはスイカを提供しているところもありました^^
歩いてきた時は本当にありがたいですね♪

参拝者はこんな感じで自由に拝観しています。

高月観音堂

貴重な仏像を間近まで寄って拝観することができます。

普通、お寺はお堂内は撮影禁止のところが多いですよね。
でも、湖北のお寺は写真撮影OKという太っ腹な所が多いんです!
渡岸寺や赤道寺など有名なところは撮影禁止にしていることもありますが、撮影OKのところがほとんど。

なので私も撮影させていただきました。

まずは高月観音堂

高月観音堂 十一面観音

どこか友達にいるような感じのする十一面千手観音像です^^
戦乱の時にも兵火を逃れて、岩上に立たれたので、「火除けの観音さま」と信仰されています。

お次は浄光寺
日吉神社の境内にあるお堂です。

浄光寺 

最澄ご自作による十一面観音像です。

お次は渡岸寺
こちらは日本で最も美しいといわれている、国宝の十一面観音像があります。
撮影は禁止なので、ポストカードで紹介します。

渡岸寺 向源寺 十一面観音

均整のとれたプロポーションに頭上の立派な化仏。
うわさ通りの期待を裏切らない観音様です^^
このお堂では観音様の周りをぐるっと一周することができますので、観音様の後頭部にある暴悪大笑面を見ることができます。

お次は尾山釈迦堂
こちらは白山神社の境内にあります。

尾山釈迦堂

こちらは、観音様ではなく、半丈六の釈迦如来像と大日如来像のツートップ。
尾山釈迦堂は、2013年から観音フェスに参加したばかりなのだとか。
こうやって増える可能性もあるんですね^^

お次は己高閣・世代閣(ここうかく よしろかく)
かつてあった大寺院、鶏足寺に祀られていたご本尊をはじめ、己高山にあったお寺の寺宝を納めている2つの収蔵庫です。
多数の重要文化財の仏像が収蔵されています。

一番印象的だったのは、世代閣にいらっしゃった魚藍観世音菩薩。

世代閣 魚藍観世音菩薩

旧戸岩寺のご本尊です。
官能的なお姿で手にかごを下げて、かごからちょっと飛び出て見えるのは魚です。

あまり聞かない名前なのですが、中国では三十三観音の1つにされているのだとか。

唐の時代の魚売りの女性がモデルのようですが、その女性が観音様の化身だったという言い伝えから信仰を集めているのだそうです。

ちなみにこの観音様、パーマの途中のおばちゃんみたいになっていますよね^^;
本当は頭上に化仏があったのですが、それが失われてしまったためにこのような頭部になっています。

お次は保延寺阿弥陀堂
”保延寺”はお寺の名前ではなく、地名なのだそうです。
白山神社に隣接しています。

こちらは三体の阿弥陀様。

保延寺阿弥陀堂

中尊は半眼ではなく、目が開いているのに優しいお顔をされています^^

お次は雨森観音寺

雨森観音

脇手の一対を頭上高く掲げ、組み合わされた両手の上に小座仏を置く清水式の観音菩薩です。

お次は保延寺観音堂
こちらはお堂が小さく、観音様も小さくて可愛い千手観音様です。

保延寺観音堂

次は円満寺
阿弥陀如来をお堂の中心におき、十一面観音菩薩と地蔵菩薩が安置されていました。

こちらは阿弥陀如来。

円満寺 阿弥陀如来

十一面観音と地蔵菩薩です。

円満寺 十一面観音

こちらの十一面観音は、お顔立ちがきれいで、衣紋のバランスも良いですね♪

お次は理覚院

理覚院 十一面観音

黒くてエキゾチックな観音様と、その周りに三十三所巡りの観音様が百体並んでいます。
ご本尊は残念ながら写真に上手く写りませんでした^^;

最後は柏原阿弥陀堂
こちらは阿弥陀堂で、阿弥陀さんが本尊として祀られているのですが、薬師如来と十二神将の方が印象的でした^^

柏原阿弥陀堂 薬師如来

お堂の左側からこちらを向くように微笑みかけるお薬師さん。
その下でフィギュアのような可愛い十二神将が守っています。

以上、メインの仏像をピックアップしてみました。
すぐに行ける範囲内にあるのに、それぞれ個性があって面白いですね。
しかも美仏が多い!

祭りの時は、参加している全てのお寺で拝観料無料。
高月観音の里 歴史民俗資料館の入場料も無料になります。


今回は巡回バスを利用してみたのですが、巡回バスはタイミングよく来てくれるので、暑さにうだることもなく、遠くまで行けて便利ですね^^
ただ、バスに乗車する人はみな順番に回ろうとするため、同じお寺で一気に人が降ります。
お寺も一気に込むんです^^;

さらにツアーバスも重なったりすると、御朱印を頂くのも大変です><

なので、ゆっくり拝観したいなら、レンタサイクルで回るのが良いかもしれません。
効率よく回るなら、巡回バスが便利ですね^^

ちなみに今回のふるさとまつりでは、17時に終わったとたん、急にどしゃ降りの雨が降りました!
私達は雲行きが怪しくなっていたのを見ていたので、市場で買い物をし終えたらすぐに駐車場に向かいました。

車のドアを閉めたとたん、どしゃ降りの雨!

観音の里たかつきふるさとまつり 雨
観音様がギリギリまで雨を止めてくれて、見送ってくれたような気がします^^

2015年7月27日 追記:
ふるさとまつりに参加しているお寺の拝観料は今まで無料でしたが、2015年から拝観料が有料化されます。
志納がほとんどですが、行く前に用意しておいた方が良いですね。
こちらのリンク先で、イベントが近づくと拝観料一覧が用意されますので、ダウンロードできます。

観音の里たかつきふるさとまつり | 長浜・米原・奥びわ湖を楽しむ観光情報サイト