五人百姓

香川県の仲多度郡琴平町にある、「こんぴらさん」で知られる金刀比羅宮(ことひらぐう)

御本宮まで785段もの長い石段の参道の途中、365段目にある大門を抜けた先に、5つの白い大きな傘が並んでいます。
それが五人百姓と呼ばれる人たちです。
加美代飴(かみよあめ)」というべっこう飴を販売しています。

傘を広げて加美代飴を売るスタイルは、昔からこんぴら名物の一つになっているのです。

こんぴらさんとも関わっているこの名物、気になったので買ってみました。

五人百姓とは?

「五人百姓」という呼び名は、こんぴらさんの神事における役目のことです。

現在五人百姓と呼ばれている人たちは、こんぴらさんへの功労があった先祖をもつ五家の家筋の人たち。

この五軒の家主たちは今でも神事に参加するのだそうです。

ちなみに五人百姓には、ある特権があります。
それは、大門の内側で販売することができるということ。

こんぴらさんの長い石段の参道沿いは、両サイドにお土産屋さんがたくさん並んでいてとても賑やかですが、大門をくぐったら神社の神域に入るわけですから、お土産屋さんは一気になくなります。

そんな場所で特別に営業許可をいただいているのが、五人百姓なんですね。

販売しているのは加美代飴のみ。
しかも、この加美代飴を売っているのは、お土産屋さんがたくさん並ぶ門前町の中でも五人百姓だけなのです。

お値段は、

  • 5枚:500円
  • 11枚:1,000円
  • 17枚:1,500円

となっています。
(注:2018年時点ですので、値段が変わっているかもしれません)

店先で試食もさせてもらえますので、上りで試食させてもらって、帰りに買うと良いですね^^

賞味期限は製造日から3ヶ月ですので、お土産にもってこいです。

加美代飴のパッケージはこんぴら名物らしさが溢れます

五人百姓 加美代飴

こちらが5枚入りの加美代飴のパッケージ。
私はこのパッケージから、こんぴらさん名物らしさを感じました^^

まずはパッケージの色。
こんぴらさんらしい金色(黄色)になっています。

こんぴらさんは「金刀比羅宮」と書いて「金」の字を使いますよね。

本宮では「黄色い幸福のお守り」というものがイチオシされていて、それが黄色い袋に入って売られています。
「こんぴら狗守り」という可愛いらしいお守りもセットになっています。

お守りの写真はこちらの記事の下ら辺に載せました。

なので黄色を縁起の良い色として使っているんですね。

そしてパッケージの絵には、五人百姓が傘を開いて座っている様子が描かれています。
まさにこの販売スタイルが五人百姓を象徴しているわけで、代々続いていることに誇りを持っているのでしょう。

右下には「金刀比羅宮 大門内」の文字。
単に場所を書いているだけのようにも見えますが、同時に神域で商売をすることがいかに特別なことなのかも伝えているんですね。

パッケージの裏面です。

五人百姓 金毘羅船々

ここに書かれているのは、舞妓さんとのお座敷遊びで使われている「こんぴら船々」の歌詞です。
どうやって遊ぶか?は、こちらの動画をご覧ください^^

江戸時代、お伊勢参りのブームが起きましたが、こんぴら参りもそれに次いでフィーバーしていました。
全国から人がやってくるのですが、四国に渡るときに「こんぴら船」という船に乗るわけです。

この歌の歌詞には、そんなこんぴら参りの道中の様子が描かれているわけです。

加美代飴は金色のハンマーがついています

加美代飴のパッケージを開けてみると、飴と一緒に見慣れないものが。

加美代飴

なんと、ゴールデンハンマーが入っているではないですか!
これが欲しいという人、実は結構いるのではないでしょうか!?
(いないかも?^^;)

私はこのハンマーにもちょっと興味をそそられました^^
加美代飴はこのハンマーで割って食べるのです。

こちらが加美代飴です。

加美代飴

「五人百姓」の文字とこんぴらさんを象徴する「金」のマーク。
これをハンマーで割って食べます。

加美代飴

加美代飴を食べてみました

加美代飴は素朴な味わいのべっこう飴。
なのですが、どこかさわやかな風味も感じられます。

原材料を見てみると

  • 砂糖
  • 水飴
  • 柚子油

と、かなりシンプル。
そこに柚子油を加えているのがポイントですね^^

加美代飴はお土産物として売られているものですが、これは上っている途中こそ欲しくなる飴なのかもしれません。

加美代飴を割る理由

加美代飴の、ハンマーで割って食べると食べ方は、遊び心のあるスタイルですよね。
最初は、食べる時に楽しいから、という理由で始めたのだろうと思っていました。

でもよく考えたら、飴ですので一口で食べるには結構な大きさです。
割った方が食べやすいですね。

でも理由は、それだけではありませんでした。

いちばんの理由はご利益のお裾分けです。

名前に使われている加美代(かみよ)は、神代(かみよ)に由来します。
つまり「神様からもらったご利益の代わり」ということです。

そもそもこんぴらさんは、江戸時代に「こんぴら参り」といって、参拝ブームを巻き起こしました。
ただその時代は歩いていかなければならないですし、旅費もかかります。
なので、選ばれた代表者が行くのが一般的でした。

だからこそ持ち帰った飴は、割ってお裾分けすることで、ご利益もお裾分けできるのです。

なので、加美代飴を食べる時は、ぜひ誰かと一緒に食べて、ご利益のお裾分けをしてみてください^^

加美代飴は大門以外でも買えます

五人百姓のお店は、大門内だけではありません。
御本宮の神札授与所でも販売されています。

また、石段沿いにあるお土産屋さんの中に、五人百姓のお店もあります。

わりと石段一段目に近いところで私が見つけたのは、五人百姓の一つ、池商店(69段目)。

五人百姓 池商店

石段を上る方向に、八尾写真館を過ぎて、豊原念珠堂の手前隣にあります。

こんな感じで、他の商品と混じって売られています。

五人百姓 池商店

お店の看板を見れば「五人百姓」と書かれていますし、五人百姓でないお店がそれを名乗ることはありませんので、それを見つければ加美代飴が売られていると思ってもよいでしょう。

場所がわかりやすい五人百姓のお店は、大門の手前にある中条正商店です。

五人百姓 中条正商店

隣には同じく五人百姓の笹屋もあります。

大門内での販売は、神社の社務所と同じく17時に終了します。
間に合わない時は、五人百姓のお店で直接買うと良いですね^^