京都最古の社の一つで世界文化遺産に登録されている下鴨神社。
正式名称は
上賀茂神社(賀茂別雷神社)とともに賀茂社と呼ばれ、伊勢神宮の次に高い格式、と言われています。
そんな賀茂社ですが、2015年は、21年に一度の式年遷宮を迎える年。
上賀茂神社は10月に正遷宮が行われるのですが、下鴨神社は4月21日に正遷宮が行われました!
その式年遷宮記念として「第40回 京の夏の旅 文化財特別公開」で、2015年9月30日(水)まで、下鴨神社の本殿・
特に国宝の御本殿は遷宮を終えて今最も輝いている時です。
これは拝観しておかないといけません^^
そして重要文化財の大炊殿は、神様に捧げる
こちらも珍しいので、セットで見れるのはお得ですね^^
早速行ってきました。
国宝 本殿を特別参拝所から参拝
特別公開の受け付けは、中門をくぐって左側にあります。
受付をすますと、本殿に向かって左側、普段参拝する弊殿と繋がっている「御料屋」という建物に案内されます。
中に入ると、ガラス越しにいきなり本殿が登場します!
しかも間近で、斜めからベストな位置♪
エアコンも効いていて、この時期ちょっと嬉しかったです^^
本殿は撮影禁止なので、写真はありません。
なので、パンフレットに掲載されているものをお借りしました。
(※写真:下鴨神社パンフレットより)
この写真の本殿は遷宮前の写真なので色鮮やかではありませんが、実際には朱色の階段や欄干は色鮮やか、錺金具もきらびやか、屋根の葺き替えもきれいでした。
ますますご神威が増したことでしょうね^^
下鴨神社の御本殿は2つ。
いづれも三間社流造です。
手前の西御本宮には賀茂建角身命、奥にある東御本宮には、玉依媛命が祀られています。
社殿の美しさはすばらしいのですが、特徴的なのは、獅子と狛犬。
下鴨神社の獅子と狛犬は、カラフルなんです^^
後で紹介する大炊殿に、かつて使われていたものらしき獅子と狛犬が安置されていました。
上のように配置されていて、金色の体に緑のたてがみのものが「獅子」、わかりにくいですが銀色の体に青のたてがみが「狛犬」です。
本殿前のものはもっとしっかり色が付いています。
神様から向かって左側(私たちから見て右側)が獅子なのですが、実は獅子の方が格上なのだとか。
言われてみれば、獅子は金色を使っているので格上、と理解できそうな気もしますが、そもそも日本の場合、左の方が格上なんですよね^^
役職に、左大臣、右大臣っていうのがありますが、左大臣の方が格上です。
獅子・狛犬界でもそういう格付けがあったんですね^^
ちなみに式年遷宮についてですが、伊勢神宮のやり方では、社殿の隣の敷地にまったく同じ社殿を建て、そこに神様にお移りいただき、元のものはつぶします。
このようにして、20年ごとに交互に敷地を移るわけです。
しかし下鴨神社の式年遷宮は、同じようにはできません。
なぜなら、御本殿が国宝に指定されているので、つぶすことができないんです。
手直しでどうにかしなければならないんですね。
まずは神様に仮殿にお移りいただき、御本殿を修理、それからお戻りいただく、というのが下鴨神社の式年遷宮です。
神様の為の台所「大炊殿」と、葵の庭
大炊殿と葵の庭は本殿の西側の同じ敷地内にあるのですが、ここは元々、賀茂斎院の旧跡なんです。
賀茂斎院とは何か?
それはこの方が関係しています。
葵祭のヒロイン、斎王代です。
弘仁元年(810年)「賀茂斎院の制」というものが定められました。
これは、賀茂の大神に奉仕する未婚の皇女をおく、という制度です。
その選ばれた皇女は「斎王」と称し、賀茂の大神に専属で仕えたんですね。
つまり、伊勢の「斎宮」と同じ役割です。
伊勢と区別するために、伊勢を「斎宮」賀茂を「斎院」と呼んでいました。
そして大炊殿は、賀茂斎院御所の宮域の社殿だったんです。
「賀茂斎院の制」は建暦二年(1212)まで続きました。
今はそういう制度はありません。
なので、現在の葵祭では、「斎王」に代わる「斎王代」が毎年選ばれて、祭に奉仕するわけです。
本殿側から三井神社を抜けると、最初に出会うのが葵の庭。
下鴨神社のシンボル、フタバアオイが自生する庭です。
賀茂社のお祭、葵祭では大量のフタバアオイが必要なのですが、ここで採取していたのでしょうね。
ただ、今は見渡す限りほとんどありません^^;
鉢植えで見かけた程度です。
実は、フタバアオイは日光に弱い性質があるので、年々減っているのだとか。
以前テレビで見たのですが、必要な時は加茂川の上流まで採りに行っているんです。
そこまでしないと今は採れないんでしょうね。
葵の庭のそばには、
神様に捧げるお食事「
井戸が重要文化財にしていされているのは珍しいんです。
中を覗くと、神様の
そして、井戸屋の前には、式内社、
なのでここはパワースポット!
手をかざす人もいました^^
そして御井の隣にあるのが
寛永五年(1624年)に造替されたもので、重要文化財に指定されています。
名前を見て想像できると思いますが、ここは神様のお食事(神饌)を作る場所です。
ここでは主にご飯やお餅などの穀物類を調理します。
魚鳥類は、三井神社の向かいにある供御所の一間で調理しています。
大炊殿の入り口には注連縄が張られています。
神饌を作る場は神聖な場所ということですね。
実際、ここには「大炊殿の神」が祀られているそうです。
調理を始める前にはお祓いが行われます。
入ってすぐのところは、「おくどさん」があります。
「おくどさん」というのは京都の言葉で、
土間を上がって、おくどさんの奥、中の間には、調理場(流し)。
奥の間は、調理した御神料を盛り付け、配膳準備する場です。
今は配膳棚に用具類が展示されています。
大炊殿は、神社検定を受ける方には、ちょっと参考になるかもしれませんね^^
大炊殿の隣には、なんともきれいな
いかにも格式高い感じなのですが、それもそのはず、上皇、皇后、東宮、親王、摂政・関白などが使っていた牛車なんです。
中には畳が敷かれているそうです。
「唐車」という名前の由来は、屋根の造りが、お寺のお堂でよくみられる
西側の別棟には偽装馬車が展示されています。
宮中で使われているものと同じもので、二頭匹の小型馬車です。
今は、毎年五月の賀茂祭(葵祭)前儀と流鏑馬神事、御蔭祭に使っているそうです。
大炊殿に唐車、偽装馬車と、普通の神社には置いていないものばかり。
格式が高い神社であることがよくわかりますね。
今回は、本殿の説明を2回聞いて、大炊殿をじっくり見ていたら拝観終了時間になってしまい、大炊殿以降のものが急ぎ足になってしまいました^^;
唐車はかろうじて写真は撮ったものの、もう少しゆっくり見たかったです。
神服殿では井浦新さんの写真展をやっていたのですが、神服殿には入ったものの、私が最後だったので、時間を気にしてゆっくり見れませんでした><
スタッフさん達を待たせたら悪いですからね~^^;
大炊殿以降はまたの機会にリベンジできたらと思います。
とりあえず、遷宮後の一番きれいな時期に御本殿を拝めたからそれでよし、これを拝観するだけでも行く価値ありです!