滋賀県長浜市、琵琶湖に面する場所に片山という集落があります。
古くは湖上交通の拠点とされた港を有した地域で、江戸時代には、年貢米の積み出し港として栄えていました。
そこに湖を見下ろすようにして片山神社が鎮座しています。
その片山神社の脇には、霊験あらたかな観音様が祀られているんです^^
鎮座するのは山本山の中腹、階段を少し登ったところに神社があり、その途中で右にそれると小さなお堂があります。
覆い屋で覆われた観音堂。
この急な階段を登って観音堂まで行きます。
こちらが観音堂。
現在は「片山観音堂」と呼ばれていますが、本来の寺名はわかっていません。
開創年代、所属宗派もわかっておらず、己高山仏教、あるいは竹生島信仰に関わりがあったと考えられています。
そして霊験あらたかな観音様がこちら。
十一面観音立像です。
この観音様は西の琵琶湖の方向を向いていて、見下ろす形で安置されているんです。
観音様が見ている風景はこちら。
琵琶湖の遠くまで見える素晴らしい景色です^^
琵琶湖を行き来するものの安全を守るといわれている観音様なのですが、ある逸話があります。
昔々ある嵐の日、風はゴーゴーと鳴り響き、雨は盆を返したかのように土砂降りとなりました。
そして津波が山のごとく押し寄せてきたのだそうです。
村人は、龍神が怒り狂ったのではないか?と恐れおののき、一心に観音様にに祈りました。
すると観音様が岩の上に立ち、右手で大津波を押し止め、さらに押し返し、民家も里人たちも九死に一生を得たのだそうです。
それからこの観音様は、漁船や行き交う船を守る、と言われているんですね^^
観音堂からもう少し上に登ると、片山神社にたどり着きます。
式内社で、御祭神は、
天日方命 奇日方命
昔は武門からの崇敬が篤かったのだそうですが、織田信長の兵火により古記録が焼失してしまっているため、詳しいことはわかりません。
しかし、絵馬殿にこんな絵馬が飾られていました。
この神社の歴史に関わるものでしょうね。
関わりのありそうなエピソードに平氏の話があります。
「源平・盛衰記」に書かれている内容なのですが、それによると、木曽義仲を迎え撃とうとした平氏の軍勢が、片山、飯浦、塩津を通っている、という記録があるんです。
これがそのエピソードを表す絵馬なのかはわかりませんが、それっぽいですよね^^
片山神社から眺める琵琶湖の風景です。
先ほどの観音堂よりも高台にあるので、より見渡せる景色になっています。
琵琶湖を挟んで対岸に見える山々は「向山」というのですが、実は、片山の飛び地なんです。
昔、彦根藩が支配していた時、水運業が盛んな片山港から船で米を運んでいたので、彦根藩から御褒美に対岸の土地を頂いたのです。
しかし、対岸に行くには船でないといけないので、村人たちは船で渡って、十日以上泊まり込みで畑を耕したり、山の世話をしたりしていたのだそうです。
上の写真を見ると、通うには結構な遠さです。
昔は当然ながらエンジン付きではありませんので、行くだけでも大変そうですよね。
片山の観音様は、片山から向山に行き来する村人を何百年も見守っていたわけですね^^
御朱印
片山観音堂の御朱印です。