大阪市立美術館で行われていた、ボストン美術館の特別展に行ってきました♪
ボストン美術館が日本に来るのはなかなかありませんので、神社仏閣ファンには貴重な機会なんです。
ボストン美術館はアメリカの美術館ですが、アーネスト・フェノロサや岡倉天心などが明治時代に収集した日本の美術作品をたくさん所有しているんです。
なので東洋美術の殿堂と言われていて、日本の美術品だけで10万点以上も所有しています!
しかも、日本に残っていたら国宝になっていたかもしれないものも珍しくありません。
海の向こうの正倉院なんて呼ばれていたりもします^^
今回の特別展のポスターにも使われている、曾我蕭白の大迫力の雲龍図、奈良時代の学者、吉備真備が遣唐使として唐に渡った時の物語を描いた「吉備大臣入唐絵巻」、源平争乱の幕開けとなった平治の乱を描いた「平治物語絵巻」など、ここでしか見れないものが間近で見られて大満足でした^^
そして、仏画に関してはポストカードが販売されていたので、今回見たものの中から、お気に入りのものを3枚選んで買いました♪
購入したものの中からどんなものが展示されていたのか、紹介します。
まずは
8世紀・奈良時代のもので、かつて東大寺法華堂(三月堂)に伝わっていたといわれています。
釈迦が
背景は見えにくいですが、山水画になっています。
(館内では作品のほかにも、山容がうかがえる赤外線写真も展示されていました)
奈良時代に描かれた仏画って、滅多にお目にかかることありませんから貴重ですね^^
釈迦もどこか仏像で見るような仏頂面ではなく、人間らしい雰囲気があります♪
次は
12世紀中頃・平安時代のものです。
3つの頭の像に菩薩が乗っているのと、
ポストカードで見ると普賢延命菩薩と像の白さが目立ちますが、周りには四天王が付いています。
次は大威徳明王像。
燃え盛る炎に包まれ、六面六臂六脚で恐ろしい形相、頭には頭蓋骨を身につけ、水牛にまたがっています。
恐ろしげな仏画ですが、この大威徳明王は五大明王の中で西方を守っています。
大威徳明王像は東寺の講堂にある立体曼陀羅で見れますが、仏画で見るのは初めてです^^
大威徳明王6つの顔は六道をくまなく見渡すため、6本の足は六波羅蜜を怠らず歩み続ける決意を表しているそうです。
最後に、ボストン美術館 特別展限定の、ガチャガチャで買えるミニチュア掛け軸です。
1回300円で全8種類あります。
私が当たったのは馬頭観音菩薩でした^^
レジ前にはガチャガチャじゃなくて、8種類揃えられるコンプリートセットが2,400円で売られていて、ここでしか買えないので悩みましたが、ガチャガチャにしました。
紙の印刷があまり良くなかったので、ガチャガチャにして良かったかな~と思います^^;
日本の貴重な美術品が何でボストン美術館にあるの?
こんな感じで、語りつくせないくらい貴重な日本美術の数々を拝見しましたが、そもそも何で日本の貴重な美術品がアメリカに大量にあるのか?というと、日本国内の歴史的な背景が関係しているんです。
ボストン美術館が所有している美術品を収集したのは、明治政府のお雇い外国人で、東大で政治学・哲学を教えていたアーネスト・フェノロサ、フェノロサの友人でボストンの資産家、ウィリアム・スタージス・ビゲロー、そしてフェノロサの助手を務めていて、後の東京藝術大学や東京国立博物館の創設に携わった岡倉天心。
この3人が美術品を収集したのは明治維新後のことです。
この頃、日本では西洋の文化を学んで近代化の道をたどる時代で、西洋への憧れが強かった時代だったんです。
なので、日本の伝統文化は軽視される傾向にありました。
更には、幕末から行われてきた仏教排斥運動、
明治政府からは、日本古来の神様の威厳を保つために、神社とお寺を分ける「神仏判然令」が出され、お寺は寺領を没収されたりして、寺宝を売らないと生活もままならない状態のところが多かったんです。
そうやって伝統的な古美術品が市場に放出され、しかも二束三文ほどの軽い扱いをされていたのですが、それではいけないと感じて日本美術保護のために収集したのがフェノロサです。
そして劣等感を持っていた日本人に日本の美術がいかに素晴らしいかを伝え、アメリカでもボストン美術館東洋部長になって日本美術を広める活動を熱心に行っていたんです。
そのように、保護を目的とした経緯から、ボストン美術館に収蔵されている日本美術品は保存状態がバッチリ!
フェノロサがいなかったら、日本の伝統的な芸術作品は廃れてなくなっていたかもしれません。
日本の恩人ですね^^
フェノロサは生前、キリスト教を捨てて仏教に帰依しています。
滋賀県大津市の三井寺で受戒して、その北側にある塔頭の法明院に葬られているそうです。
フェノロサに感謝を伝えに、法明院に行きたいです^^