滋賀県東近江市の
開創は康安元年(1361年)、近江守護の佐々木(六角)氏頼。
中国(元)で修行経験のある寂室元光禅師に佐々木氏頼が帰依し、開山(お寺の創始者)としてこの地に招いたことに始まりました。
「永源寺」の名前は、氏頼の法名「雪江崇永」の「永」、そして佐々木氏の先祖である近江源氏の「源」から由来しています。
そんな永源寺ですが、滋賀県屈指の紅葉の名所としても知られています。
天気は悪かったのですが、見頃の時期に行ってみました。
また、秘仏の本尊、世継観音が三十年ぶりの御開帳されていて、合わせて拝観することができました♪
永源寺までのアクセス、駐車場
紅葉の時期を迎えると、普段は静かな永源寺にはたくさんの人が紅葉狩りにやってきます。
ただ、近くには電車は通っていないので、車の方が便利です。
バスで行く場合
公共交通機関を利用する方は、近江鉄道「八日市」駅から出ている、近江バス(永源寺線)に乗って35分、バス停「永源寺前」で降ります。
また、近隣の湖東三山にも行かれる方は、この期間に運営される「百済寺-永源寺」間のシャトルバス(毎日7便、大人300円、小人150円)も利用して行き来することができます。
車で行く場合
車の方は、名神高速「八日市I.C」から約20分で到着します。
普段は門前に広場があるのでそこに停められるのですが、紅葉の時期は出店で停められなくなりますので、周りにある民間駐車場を利用することになります。
駐車場について
私が訪れたのは、11月20日(日)の朝9時。
民間の駐車場はたくさんあって、台数も結構停められそうな感じなのですが、10時過ぎると駐車場待ちも発生するという話を聞いていたので、早めに到着しました。
それでも、9時の時点でも駐車場は次々に埋まっていきました。
この勢いだと10時になる前にいっぱいになってしまいそうな感じでしたね。
駐車料金の相場は500円です。
民間の駐車場を通り過ぎて、門前の旦度橋からさらに東に200mほどのところに行くと、町営の駐車場があるのですが、そこだと400円と少し安くなっています。
ただ、次々と埋まっていく状況なら、停められそうな駐車場に早めに停めた方が良さそうです。
永源寺の麓の風景
永源寺は愛知川が作る山峡の地にある山寺です。
麓の目印は、愛知川に架かる赤い欄干の旦度橋。
国道421号線からこの橋を渡ったところに境内へと続く参道があります。
この旦度橋からの景色もなかなか^^
前日に雨が降ったからでしょうか?
愛知川の奥の方には霧がかかっていて、空気も美味しく感じられました^^
そして川沿いに紅葉しているところが永源寺へ向かう参道です。
参道入り口の門前広場には地元のお店が出店準備を始めています。
さらに奥へ進むと、愛知川に合流する川に架かる橋があります。
その景色もきれいなのですが、紅葉と合わさるとさらにきれいでした^^
そしてここからが山を上る参道となります。
川に沿って上る参道の羅漢坂
先ほどの橋を渡ると、いよいよ上り坂です。
左の岩山に沿いながら上っていきます。
橋のそばで杖が貸し出されていたので、結構きつい参道なのかと思ったのですが、階段は約120段ほどでした^^;
ただ、ちょっとだけ坂が急なので、足の悪い人にはきついかもしれません。
参道の途中に、眼鏡をかけた現代的なお地蔵さんがいらっしゃいました。
そして迫る岩壁には個性豊かな十六羅漢がいらっしゃいます。
十六羅漢から先は緩やかな道になっていて、総門もすぐそこに見えます。
総門の周りは木々に囲まれて暗くなっているのですが、その分紅葉の赤が映えていました。
そして総門の横には土塀があります。
黄色い横線を重ねる土塀は、その線の数で格式を表します。
多いほど格式が高く、5本あればかなりの格式があるということです。
永源寺はさすが大本山を名乗るだけあって、格式高いですね。
しかし、永源寺は周囲を隔てる土塀を構えないのが特徴といわれています。
永源寺は京都の格式高いお寺のように、貴族や武家の氏寺や祈願道場ではなく、初めから修行者のためのお寺でした。
土塀を設けないのは、権力を嫌った開山禅師の遺志によるもの、ということなのだそうですが、ちゃんとあるではないですか^^;
といっても、この門は禅寺がもてはやされた室町時代のものではありません。
兵火や火事で焼失したあと、享保9年(1724年)に再建されたものです。
どういう経緯でそういう土塀をつけたのか、その辺はよくわかりません。
総門の横には、「
手水舎は手を洗うことで身を清めるものですが、こちらは「耳を洗う水」と書かれているわけです。
確かに、耳の形をしていますね。
これは、境内に入る前に俗世で聞いてきた噂話などの俗な話などを聞いてたまったアカを洗い流すというものです。
耳を洗わなければいけないのか、と思ったのですが、特別な使い方は説明されていなかったので、普通に手水で済ませました^^;
ここから先は有料エリア。永源寺の境内となります。
山の中に佇む山門
総門をくぐると真っ直ぐな道になるのですが、そこはもう、紅葉のじゅうたんになっていました。
右側は愛知川を見下ろす風景も。
こういう風景を堪能しながら歩いていると、立派な三門にたどり着きます。
こちらは禅寺でおなじみ「三解脱門」を省略した三門です。
三門は、例えば知恩院の三門のように、門の両側に上に登るための山廊がついているのですが、永源寺のものにはそれがなく、山と崖の間に挟まれて目いっぱいに三門を建てています。
その代わりに門の内側に階段がついているんですね。
上にのぼることはできませんが、上には釈迦三尊と十六羅漢像が安置されています。
三十年ぶりとなる御本尊を御開帳する本堂
境内の中でもひと際大きな建物が本堂です。
本堂の屋根は琵琶湖特産の
国内屈指の葦葺き屋根で、1.5mほどの厚みがあるのだそうです。
本堂の前には「世継観音御開帳」の看板が掲げられ、行列ができはじめていました。
そしてその三十年ぶりに御開帳された秘仏の世継観音のお姿がこちら。
境内のポスターを撮ったものです。
この像は66.5cmの大きさで、目の前まで行って拝むことができるのですが、気を付けたいのは、本物の御本尊は一寸八分と小さいお姿であるということ。
実はよく見ると、頭部の宝冠の中に厨子があって、その中にいらっしゃるんですね^^
なのでこの写真でお姿を拝することはできません。
この小さな御本尊の霊験は、開山の寂室元光禅師まで遡ります。
禅師が中国で修行を終えて日本に帰る時、嵐で船が転覆しそうになりました。
禅師が安全を祈念したところ、白衣の観音が現れて光を放ち、海上の波風をおさめてくれたのです。
禅師が日本に帰ってその後、夜になると永源寺の山に光明が輝くので、禅師がその場所まで行ってみると、大石の上に一寸八分の観音像が立っていたのだそうです。
この像は昔、海難を救ってくれた観音様であると感激した禅師は、定印の観音像を造り、その頭部の宝冠の中にこの霊像を安置して祀ったのだそうです。
その像が上の観音様というわけですね^^
世継観音は、上に書いているように、子宝に恵まれる御利益があるそうです。
本堂から奥には紅葉の見どころがいっぱい
参道からきれいな紅葉を見ながら本堂まで来ましたが、紅葉の本番はこれからです^^
まずは開山堂前の紅葉。
人が入らない場所なので、上の下も真っ赤ですね。
コケと紅葉のコラボ。
開山御手植えの楓。
経堂前の紅葉。
どこを見ても真っ赤ですね^^
さすが滋賀屈指の紅葉の名所です。
永源寺の御朱印
永源寺の御朱印です。
永源寺特産のグルメも堪能
永源寺に来たら、グルメも忘れてはいけません。
結構おいしいものがあるんです^^
まずは境内にある茶屋で販売されている味噌田楽。
使っているこんにゃくは名産品の「永源寺こんにゃく」。
開祖の寂室元光禅師は、大陸からコンニャクイモを持ち帰ったそうで、それが今となっては「永源寺こんやく」という地元の名産品になっているんですね。
そしてこの田楽は永源寺のお坊さんが作ったそうです。
普通のこんにゃくとは違ったメリハリのある食感で、なかなかおいしいです^^
永源寺こんにゃくは、門前広場でも販売されています。
しかも種類があって、どれを買ったらよいのか迷ってしまうほどです。
私は、参道の階段を下りてすぐの、あづまやさんに、いかにも手作り感のあるゴツゴツしたこんにゃくがおいしそうだったので、こちらを買ってみました^^
家に帰って鍋の具としていただいたのですが、期待通り、普通のこんにゃくよりも美味しかったです。
永源寺近辺に来ることがあればまた購入したいですね。
そして車での帰りに寄ったのが、「やまあいの里 永源寺そば」。
このあたりではそばも栽培されていて、このお店では有機・無農薬のそばを手打ちで提供しています。
結構な人気で、1時間ほど並びました^^;
注文したのは「永源寺そば」。
永源寺こんにゃくや、マイタケの天ぷらもついています。
優しい味のおそばで、一緒に入っている山菜が良いアクセントになっていました。
あと、紅葉の時期は寒くなってきているので行きませんでしたが、近くには池田牧場があって、イタリアンジェラートが食べられます。
永源寺は春の新緑や夏の深緑も美しいそうですし、その時期は静かなのでそうで、そういう雰囲気を味わいにも行きたいですね。