盧山寺

京都御所のほど近く、紫式部のひいおじいさんにあたる、権中納言・藤原兼輔の邸宅跡に建つ廬山寺(ろざんじ)
節分の日に行われる追儺式鬼法楽が有名です。

節分の日は京都ではあちこちの寺社で節分行事が行われていますが、廬山寺の追儺式鬼法楽は通称鬼おどりと呼ばれ、人気行事の一つとなっています。
動画もありましたの
普段は静かな境内なのですが、この日はとにかくたくさんの人が集まるので、良い場所で見るつもりなら、前もって場所取りが必要なほどです。

今回はなんとかそこそこな場所で見ることができました^^

蘆山寺の追儺式鬼法楽は、元三大師 良源の故事に基づく行事

盧山寺は平安時代中期に比叡山で天台座主(天台宗の一番エライ人)を務めた、元三大師 良源を開祖とするお寺です。
良源は比叡山中興の祖と仰がれる人物なのですが、とにかく強烈な霊力を持っていたとされ、その力で人々を救ったという数々の霊験や伝説が残されています。

良源といえば、このようなお札を見たことがあるのではないでしょうか?

角大師

こちらは法力を使った良源の姿を弟子が写したものといわれています。
自ら鬼の姿になって魔を滅したわけですね^^

良源について詳しくはこちらにも書きました↓

そんな良源ですが、盧山寺の鬼おどりは良源にまつわる故事に由来します。

良源が宮中で300日の護摩供を行っていた時、3匹の悪鬼が現れました。
しかし良源は護摩の法力と、手に持っていた独鈷、三鈷の法力で退治した、というものです。

そして実は、その時に使ったといわれている独鈷や三鈷などの法具が盧山寺に伝わっています。
さらに、良源が宮中で使っていたという降魔面もあります。

それらが追儺式当日のみ御開帳されます。

追儺式鬼法楽の行事日程

2017年の追儺式の見どころや行事の時間などはこのようになっていました。

  • 独鈷・三鈷・降魔面の御開帳:7:00~19:00
  • 鬼のお加持:14:15~14:45
  • 鬼法楽(鬼おどり):15:00~16:00頃
  • 豆まき:16:00~
  • 鬼のお加持:鬼おどり終了後約30分間
  • 古札焼き式:17:00

 

※ 今までもこの日程で行われているので、今後もこの日程で行われると思うのですが、変わる可能性もゼロではありませんので確実な情報を知りたい方は公式HPを確認してください。

鬼の霊力で病気平癒!鬼のお加持

蘆山寺 鬼のお加持

見せ場である鬼おどりの前後に、鬼のお加持というものがあります。
上の写真はお加持中の写真です。

盧山寺には邪気払いされて改心した良い鬼さんもいて、その強力な霊力をもって病気平癒・身体健全を祈ってくれるのです。
それが「鬼のお加持」です。

手に持つ宝剣をあてがって祈祷してくれるのですが、事前申告制で身体の悪いところを伝えれば、その部分を加持してくれます。
足や頭、肩など人それぞれ自分の悪いところを加持してもらっていました。

女性は肩こりに悩んでいる人が多いためか、肩にお加持をお願いする方が多かったですね^^

蘆山寺 鬼のお加持

この鬼のお加持にはたくさんの人が並ぶのですが、一人ずつ丁寧に行いますので、時間の関係もあることですので、希望した全員ができるわけではないようです。
どうしてもやってもらいたい方は、加持が行われる場所付近(大師堂の正面に向かって右端らへん)で待機しておいた方がよいのかもしれません。

邪気を払い、開運を招く「鬼おどり」

いよいよ鬼おどりです。
こちらは先ほど良源の故事を紹介しましたが、その故事に則ってストーリーが展開されます。

つまり、

  1. 護摩供をしようとする
  2. 鬼がやってきて邪魔をする
  3. 鬼を退治
  4. 鬼退散

という流れですね^^
まずは修法を行う導師や、追儺師、蓬莱師達が、篳篥などの演奏とともに入場。

盧山寺 行列

途中、御開帳中の降魔面や独鈷・三鈷もやってきます。

盧山寺 降魔面

後で見ようと思っていたのですが、まさかこんなところに実物が登場するとは、不意打ちを食らってしまいました^^;

入場が終わると、導師の護摩行が始まります。

盧山寺 護摩行

と、そこに太鼓の音とともに鬼がやってきます。

盧山寺 鬼おどり

ゆっくりな太鼓の音共に足を高く振り上げ、ほら貝の音で周りを見渡す、というリズムでゆっくりゆっくりやってきます。

三匹の鬼は、人間の善根を毒する三種の煩悩(貪欲、瞋恚、愚痴)を意味しているのだとか。

たいまつと剣を持つ赤鬼は貪欲(欲深いこと)、斧を持つ緑鬼は瞋恚(怒りや憎しみ)、大槌を持つ黒鬼は愚痴を表します。

盧山寺 鬼踊り

しばらく真ん中で鬼おどりを繰り返します。

盧山寺 鬼踊り

一番ドキドキするのは、赤鬼が持つたいまつ。

盧山寺 赤鬼

火が最前列の人の目の前を横切りますし、これを持って堂内でも踊ります。
ゆっくりなので、踊っているうちにそのまま手元に当たらないかも心配になります^^;

最前列では一眼レフカメラを前に出して撮ろうとする人もいて、それにぶつかりそうになっていたり。
燃えカスも落ちますので、それを拾う人も一緒についてきます。
ゆっくりな動きとはいえ、注意しながら踊るのも大変ですね~^^;

私は特設舞台の中央付近で見ていたのですが、そこからだと堂内を見るには遠くて、中で踊っている様子はあまり見ることができませんでした。
中で鬼が邪魔をしているようなのですが、お堂から遠いとなかなか確認できません。

盧山寺 鬼踊り

堂内の様子を見たい方は、それなりに近い場所を確保しなければいけませんね。

途中で追儺師が舞台にやってきて、東西南北と中央を司る五大明王に祈りを捧げて弓を射る儀式に入ります。

盧山寺 法弓

この儀式は盧山寺に限らずいろいろなところで見ることができますが、そもそもは元三大師が使っていた降魔矢に由来するのだとか。
これによって悪鬼を降伏させるわけです。

その後、鬼たちが堂内から苦しみながら出てきました。

盧山寺 鬼おどり

そのまま逃げるように退散して鬼法楽は終わり。
これで今年の悪疫災難をはらうことができました^^

このような行事ですが、動画もありましたのでもっと詳しく見てみたい方はこちらをご覧ください。

寿命が6年延びる!魔を滅する蓬莱豆を投げる豆まき

盧山寺 蓬莱師

鬼が退散すると、蓬莱師たちが出てきて、豆まきが始まります。
盧山寺で投げる豆は蓬莱豆といって、大豆の外側をを砂糖でコーティングした紅白の特製豆です。

盧山寺 蓬莱豆

これは、良源が魔を滅する大師であることから、別名豆大師と呼ばれていて、それを表現しているのだそうです。
これを紅白一粒づつ食べると、寿命が6年も伸びるのだそうです^^

また、福餅も投げるのですが、こちらは食べると開運出世するそうです。
そして福餅には当たりの餅もあって、これを寺務所に持っていけば、破魔矢と交換してくれるのだそうです。

ただ、盧山寺の豆まきは、ゲットするのはなかなか難しいです。

豆は袋に入っておらずそのまま投げられます。
砂糖でコーティングしているので、普通の豆よりは大きめですが、それでもビー玉くらいの大きさなので、手で取るのは至難の業です。

さらに、境内に集まった人数のわりには投げる量が少ないので、あっという間に終わってしまいます。

私たちは二人合わせてなんとか豆を6個ゲットすることができました。
福餅は残念ながら目の前に飛んでくることもありませんでした。

他の豆まきと比べてなかなかハードルが高いですね^^;

でも、取れなくても蓬莱豆の方は販売もしていますのでご安心を^^


節分の日は京都ではイベントが盛りだくさんなのですが、盧山寺からだと歩いて20分くらいのところに吉田神社があります。
吉田神社の節分祭も有名ですので、こちらも一緒に行ってみるのも良いですよ^^