東近江市にある赤神山は、標高350mとそんなに大きな山ではないのですが、岩がゴツゴツとした山容は、特別な雰囲気を醸し出しています。
その山の中腹にある神社が、太郎坊宮です。
正式名称は「阿賀大社」といって、伊勢神宮の天照皇大神の第一皇子神、
すごく長い名前で覚えられないですね^^;
なので神社側でも「太郎坊大神」地元では「太郎坊さん」と親しまれています。
そして、神様の名前に「勝」という字が多いことからわかるように、この神様は勝運の神なのです。
神社を参拝するには、740段余りの階段を上る必要がありますが、ドライブウェーを利用して祈祷殿の横の駐車場を利用することもできます。
祈祷殿は、階段で3分の2ほど上ったところにあるので、そこまで車で行けたらずいぶんラクですね^^
それでも今回は初回なので、麓から階段で上りました。
神社を守護する太郎坊天狗
太郎坊宮は、古くからある山岳信仰に修験道や天台山嶽仏教が交わった独特の信仰を残す場所です。
「修験道」というと「天狗」をイメージすることができますが、「太郎坊」という名前は実は天狗の名前なのです。
天狗で有名なのは京都の鞍馬山ですよね。
鞍馬の天狗は「次郎坊」といって、実はそのお兄さんが「太郎坊」なんです。
こんなところに京都とのつながりがあるのは意外でした^^
伝教大師 最澄が太郎坊宮の社殿を建てようとしたとき、太郎坊が現れて手助けをしたのだそうです。
それからこの天狗は、御祭神の守護神になったのだとか。
そういうこともあって、境内では色々なところで天狗を見かけます。
徒歩でチャレンジ!740段余りの石段
太郎坊宮の最初の石段です。
ここから740段余りを上ります。
麓から70段ほど上ると、成願寺という天台宗のお寺があります。
今は麓にあるこのお寺は、延暦十八年(799年)に伝教大師 最澄が建てたお寺です。
全盛期には、多くの堂宇があって、山上には奥の院があったのだそうです。
しかし、織田信長の兵火にあって荒廃、現在のお寺は江戸時代に再興されたものです。
このお堂には、本尊の薬師如来と、当時奥の院に祀られていた太郎坊大権現像が祀られています。
本堂の壁には、絵説法で有名な天台僧、荒 了寛さんのカレンダーで使われている絵説法が貼られていました。
「おとなでも こどもでも 三つほめて 二つ注意すれば ぐうんと成長するそうですよ」
「人がどう思っているかを気にするより 人をどう思っているかを気にするんだね」
「努力する者は未来を語り 怠け者は過去を語る」
どれも心にささる名言ばかりです^^
ここからが本殿へ向かう階段。
きちんと整えられた階段で、上りやすいです。
2~3分ほど上ると、休憩所が見えてきました。
休憩所の横には、「不上石」なるものが。
旧石段の一つだったそうですが、明治初年頃まで魚鳥肉類を食べた者はこの石より上に登らず、ここから礼拝したそうです。
だから「不上石」という名前なんです。
それだけ厳格な信仰が形成されていたようですね。
ここからさらに2分ほど上ると、駐車場のある祈祷殿の裏にでます。
願いを早期に成就する願掛け天狗
祈祷殿につくと、「願掛け天狗」というものがありました。
この天狗に祈祷することで、願望を早期に成就したり、病や悩みのある人は、自らが癒そうとする強い力が持てるように、という願いを込めて奉納されたのだそうです。
この天狗に願掛けをするには、順番があります。
まずは、正面に回って御殿に参拝します。
こちらが正面。
次に天狗の前に戻り、天狗が持っている「神威玉」に両手で触って願いを込めます。
病がある人は、その手で悪いところを撫でて、もう一度祈願します。
私は商売繁盛を祈願しました^^
これで今年は安泰です♪
本殿まで最短距離の表坂コース
祈祷殿から先は、本殿までの道が二手に分かれます。
「表坂」と「裏坂」です。
表坂は、夫婦岩を通り、本殿まで最短で上るコースで、多少階段がきつくなっています。
途中でハイキングコースへの入り口もあるので、ハイキングをする方はこちらから上ります。
裏坂は、七福神めぐりをしながら上るコース。
参拝したり、景色を堪能したりしながら上れるので、比較的楽なコースです。
どちらから上っても、帰りはもう一方のルートで帰れますので、お好みで選ぶとよいですね。
まずは表坂から上るコースです。
絵馬殿の横の十二支のご神像がおかれている階段を上ります。
十二支にはそれぞれ言葉が付けられていました。
- 子:子授
- 丑:根気
- 寅:決断
- 卯:飛躍
- 辰:信頼
- 巳:貫徹
- 午:勝利
- 未:安泰
- 申:学芸
- 酉:繁栄
- 戌:恩義
- 亥:勇気
なぜこの言葉なのか、干支との関係性があるのかどうかはわかりませんが、ちょっとした占い気分でお参りできますね^^
干支にお参りする場合、普通は自分の干支をお参りしますが、気になる言葉があるなら、その干支も合わせて参拝するのも良さそうです。
参道途中にある龍神舎。
ここから出る山の湧水は、霊水とされています。
ただし、飲める水ではないとのことなので、ご注意^^;
そして、この龍神舎の裏は、山のハイキングコースとなっています。
龍神舎にハイキングマップが置かれているのですが、いつもすぐなくなってしまうそうです。
その場合は、社務所のある参集殿で貰えますよ^^
表坂に戻り、本殿へ目指します。
後ろを振り向くと、結構登ってきていることがわかる景色。
少し上ると、拝殿に到着。
ただし、ここがゴールではありません。
本殿はまだ先ですので、さらに上に登ります。
すると見えてきました!夫婦岩!
「夫婦岩」というと、三重県の二見興玉神社のものが有名ですよね。
そこには海岸にしめ縄で結ばれた二つの岩があって、それを眺めるのですが、こちらの夫婦岩は前兆12メートルの超巨岩の間を通り抜けるというもの。
ここが磐境信仰発祥の地なのだそうです。
岩と岩の間は、80cmしかありません。
外側から見上げてもその全容をつかめないほどの大きさ。
この夫婦岩には言い伝えがあります。
良い心の持ち主なら、願い事を念じながら岩の間を通って参拝すると、たちまちに病苦を除き、所願成就するとのこと。
逆に悪い心の持ち主は、岩に挟まれてしまうそうです。
また、江戸時代の書物によると「岩の間には天狗が住んでいて人間は通れない」とも書かれています。
そのようなことが言い伝わるくらい、昔の人はこの岩の力強さに神がかり的なものを感じていたのでしょうね。
私も岩を通りましたが、無事、挟まれることなく通り抜けることができました^^
岩抜けたところ、ちょっと高い位置にある御殿が太郎坊宮の本殿です。
本殿の階段を上がる前に、セルフお祓いがありますので、それをやってから上がります。
本殿には、「勝運」に関するお守りが色々ありました。
「サッカー勝守」や「野球勝守」など、ピンポイントな勝運守りも^^
本殿前には屋根付きの休憩所があって、山から見下ろせる絶好の展望台になっています。
展望台から見える東近江の街並み。
見渡せる景色なので、晴れた日は気持ち良いです♪
ただ、この展望台は、清水寺の舞台と同じように、懸造りになっていて、ちょっと斜めになっているんですよね。
臆病者の私には、落ちないかどうかちょっと怖い展望台でした^^;
普通の人は大丈夫だと思いますけどね^^
七福神を参拝しながら上る裏坂コース
裏坂は回り道にはなりますが、緩やかな石段もあり、楽に上がることができます。
参拝するところもありますので、表坂から参拝した人も、帰りはここから帰るのも良いですね。
表坂は、絵馬殿を抜けた先から始まります。
絵馬殿の入り口には、「太郎坊だんご」を売る団子屋さん。
地元の「ふる里食品」さんが近江米で作るみたらし団子で、結構美味しいらしいです。
今回は食べませんでしたが、今度頂いてみたいですね^^
絵馬殿に掛かっている絵馬も必見。
こういう古い絵馬は、神社の昔の姿や信仰、歴史などを垣間見ることができるものもありますので、面白いです^^
平安時代初期の貴族で、六歌仙・三十六歌仙にも選ばれる歌人「在原業平」が描かれた絵馬。
新田義貞と足利氏の戦いを描いた絵馬。
天狗の面をや、ヤツデをモチーフにした天狗の持ち物「羽団扇」をあしらった絵馬も。
絵馬殿の横には御霊水。
可愛らしい烏天狗が口から出しています^^
すぐよこにはお不動さんが祀られていました。
ここでは福助も神様に。
最初の七福神は、福禄寿。
鳥居の横には恵比須さんもいらっしゃいます。
こんな感じでちらほらと現れるので、何も考えずにまっすぐ進んでいると見逃してしまいそうな七福神もいました^^;
途中で一願成就社があります。
すごくご利益がありそうな名前です^^
「一願」というのは、自分が心に抱く、たった一つの、本当の願い事なのだそうです。
願い事をかなえてもらうには、一願成就社に白い石がありますので、ここに願い事を書きます。
一願成就社の後ろには紫微社へ続く道があって、一願成就社と紫微社を何度も往復する「お百度参り」をします。
そして、石段の横にある洞窟内に石を奉納するのだとか。
洞窟の上にいらっしゃるのは弁財天さん。
弁天さんが見守ってくれるのなら安心ですね^^
ここから先はゴツゴツとした岩々の間を通る石段に。
本殿も遠くありません。
本殿までの途中で縁結びの神様、地主神社などもありますので、参拝して上ってください。
太郎坊宮の御朱印
太郎坊宮の御朱印です。
こちらは、駐車場のすぐ上にある大きな建物「参集殿」でいただきました。
太郎坊宮にはオリジナルの御朱印張もあります。
他にも、天狗の顔をあしらった木の御朱印張などもありました。
(写真がぶれていたので、写真はありません^^;)
太郎坊宮を参拝した後、龍神舎の横からハイキングコースを歩いてみました。
赤神山の頂上は、信仰の対象なので上らないでください、と書かれた看板があったので、箕作山という山に行く道を歩いたのですが、比較的緩やかで、40分ほどで頂上?のビューポイントに着きました。
ここからは、歴史の舞台に思いを馳せる景色が広がっていました^^
遠くには琵琶湖があり、左側には、西国三十三所の第三十二番札所 観音正寺がある繖山、琵琶湖の手前には彦根城、その横に石田三成の城があった佐和山、琵琶湖に浮かぶ竹生島も見えます。
もちろん肉眼では見えませんので、双眼鏡必須です^^