神社に行って説明板を見るとたまに
「○○神の荒魂を祀っています」
といった説明を見かけることはありませんか?
これは、神様の魂を祀っているということです。
例えば、伊勢神宮外宮にある多賀宮では、外宮の御祭神(メインの神様)である
神様自体は本殿で祀っていますが、それとは別に魂を祀ることがあるんですね^^
これは、日本の神道の一霊四魂(いちれいしこん)という考え方が関係しています。
人の心は4つの魂からできていて、それをまとめているがひとつの霊(
直霊が4つの魂をコントロールしているわけですね。
4つの魂は、
荒魂 ・・・勇和魂 ・・・親幸魂 ・・・愛奇魂 ・・・智
です。
「勇」「親」「愛」「智」は、魂の役割や機能のようなものです。
これらがバランスよく調和することで完全な形となるわけですね^^
それぞれの魂について説明します。
荒魂
荒魂は、魂が活性化され、荒々しい力を示す神霊です。
勇ましさ、向上心、前に進む力、達成する力を司っています。
非常に強いパワーを持っているので、神様の荒御魂を祀っている所で願うと、願いが叶いやすいと言われています。
お願い事をする時は漠然と祈るのではなく、強い気持ちを持ってハッキリと明確にお祈りすると良いかもしれませんね^^
ただし、お願い事は一般的に、私利私欲ばかりのものや、努力のいらない願望は叶いにくいとも言われています。
祈りは神様に依存することではありません。
自分でも努力することを神様に決意することや、他人の幸せにも繋がるようなことを祈れば、神意に適うかもしれませんね^^
和魂
荒魂が勢いのある神霊であるのに対して、和魂は穏やかな働きの神霊です。
平和、調和、想いやり、人と親しみ交わる力を司り、徳を備えています。
和魂は、荒魂と対極にあるわけですが、神様にはこのような二面性があるわけです。
地震や雷などの天災を起こしたり疫病流行らせたりといった荒々しく祟りを起こす側面(荒魂)があれば、五穀豊穣をもたらすこともある側面(和魂)もあるので、荒魂の力を鎮めて和魂に変えようと祀ったのかもしれませんね^^
和魂はさらに「幸魂」と「奇魂」に分けられます。
「一霊四魂」というように、荒魂・和魂・幸魂・奇魂は横並びの存在なのですが、幸魂・奇魂は和魂の作用を示したものなので、正確には横並びというよりも、和魂があったうえで幸魂・奇魂が働き、結果として四魂が働くという感じでしょうか?
幸魂・奇魂はこのような魂です。
幸魂
幸魂は、人を幸せにする神霊のことです。
優しさ、献身性、人を愛し育てる力を司ります。
奇魂
奇魂は、不可思議な力を持って、物事を成就させる神霊です。
智恵、真理を追及する力、物事を観察・分析し、悟る力を司ります。
幸魂と奇魂の関係も、母性(守る愛情)と父性(社会で生きる力を磨く厳しさ)という対称的な関係のように見えますね^^
一霊四魂という神道の霊魂観はまさに、人間の心の中にある関係ですね^^
いずれかの魂が活発な時はその性質が表に出てきます。
勇猛に前に進む人は荒魂、親和力の強い人は和魂、思いやりを持って人に接する人は幸魂、分析して真理を追究しようとする人は奇魂が強く出てきています。
そして、それぞれを磨きあげて成長することもできます。
偏った成長をすると乱れてしまいますので、バランスよく成長することが大事です。
神道はそういうことを神に見立てて大切にしていたのかもしれませんね^^
5つ目の魂 精魂(くわしみたま) があり、5つの魂を統合することが大切だと古神道では言われています。