お寺の建築を勉強するにあたって読んでみた寺院建築 (文化財探訪クラブ)に引き続き、建築の勉強にと「図説 日本建築のみかた」を読んでみました。
「寺院建築 (文化財探訪クラブ)」は、お寺の建築の様式や装飾品など、細かいところがわかるようになるのですが、この本はそういう細かいところよりも、浅く広く、実例も挙げながら書かれています。
そして、神社仏閣だけでなく、日本の住宅や茶室、城郭の建築を知ることができる内容になっています。
神社仏閣の建築に関しては、また新しい視点から知識を増やすことが出来た感じですね^^
例えば、神社の建築に関しては、神社系の本を見ると「神明造」や「住吉造」「日吉造」など、本殿の種類が書かれていることがよくあります。
でも、それ以上のことが書かれているものはあまりありませんよね^^
その「○○造」が出来るには、時代的な流れがあるわけです。
おおよそ4つのタイプに分けることが出来て、
- 本殿をもたないタイプ(山、木、石に神が宿る)
- 仏教が伝えられる前のタイプ(日本独自の造形)
- 仏教が伝えられた後のタイプ(寺院の影響を受ける)
- 神社とも寺院ともつかない宮寺タイプ(人を神に祀る)
という風に分けられています。
この分け方、日本人の神仏への信仰の移り変わりがそのまま形になっている感じですね^^
一方で寺院建築も時代の流れで変化します。
元々、日本では地震の多い国なので、中国から断片的に新しい建築技術を元に、地震に強い和様建築が発展します。
そこに、東大寺の大仏殿を再建するにあたって、鎌倉時代初期に入ってきたのが大型建築に対応できる「大仏様」という建築技術。
そしてもう1つ、同じく鎌倉初期に禅宗と共に入ってきた、建築物の構造美を前面に出す「禅宗様」という技術。
この二つがメジャーになっていきます。
新しい技術なので、和様より上の技術なのかと思いきや、地震があまりない地方で発展してきた技術だったので、地震には弱かったんですね^^;
なので、地震の時に大仏様や禅宗様の建築物は崩壊していったそうです。
そこで出来たのが、和様と大仏様や禅宗様を混ぜた「折衷様」という技術。
こういう風に、寺院建築だけでも発展したものが、またさらに神社建築にも影響して発展していくわけで、その時代の建物が残っているというのは、非常に貴重なんですね。
この本は浅く広く書かかれているにとどめられているので、深く学ぶには足りないところもあって専門書が必要かもしれませんが、入門書としてはよいかもしれません^^
具体的な建物もよく挙げられていて、本を読んだ後、一度その神社仏閣を訪ねてもう一度この本を読んでみるとさらに知識が深まりそうな感じです。
辞書的にも使うことができそうな本だと思います。
また、この本には所々にコラムも書かれています。
○○信仰が、こういう建築物・こういう配置に繋がっているとか、そういう内容のものもあったりしてなかなか興味深いです。