縣神社 入口

宇治の平等院鳳凰堂の南門近く、鬼門にあたるところに、平等院の守り神(総鎮守)である(あがた)神社があります。

御祭神は、天孫ニニギノミコトの妃で、山の神である大山祇神(おおやまつみのかみ)の娘、木花開耶命(このはなさくやひめのみこと)です。
別名は、吾田津姫(あがたつひめ)

平等院の建設が1052年で、それよりも以前からこの神社は地主神とされていましたから、1000年近い歴史があります。
御祭神の木花開耶命は、古事記の「天孫降臨」の話の中に出てきます。

太陽神である天照大神の孫にあたるニニギノミコトが、天照大神に命ぜられ、国を治めるために天から降臨、その時、1人の美女をご覧になり、その娘を妃にしました。
すると姫命は一夜にして子供を授かったので、ニニギノミコトは「私の子ではないのではないか?」と疑いました。

姫命は、「天神の御子なら、たとえ火の中でも無事に産めるでしょう」と、産室に火をつけ、それでも無事に子を産むことができました。
このような伝説から、家運隆盛、結婚、良縁安産の守護神と敬われています。

縣神社 入口

観光客で賑わう宇治橋西詰には、大きな鳥居があります。
お茶屋さんやお食事処が並ぶところは平等院の参道ですが、鳥居が建っている「あがた通り」は縣神社の参道です。
宇治は昔、朝廷直営農場で、行政区の一つでした。

その単位が(あがた)だったのですが、縣神社は宇治県(うじあがた)の守護神として創建されたとも言われています。
昔はそれだけ力を持っていたんでしょうね^^

参道から境内にたどり着き、南側の鳥居から境内に入ると手水舎があります。
そこには「縣井(あがたい)と書かれていて、後ろには井戸があります。

縣井

一見何気ないようですが、平安時代以来の歌枕で古歌にもしばしば詠まれています。
縣神社の社家蔵の古写本によると、

  • 蛙なく県の井戸に春暮れて散りやしぬらむ山吹の花・・・後鳥羽院御製
  • 山吹の花もてはやす人もなし県の井戸は都ならねば・・・妙光寺内大臣家中納言

と書かれていて、「名所国府に云ふ、県(あがた)の井、山城なり」とあり、「宇治郷県井を云ふ」とあるそうです。

境内の中央には、(あがた)の森という大きな(むく)のご神木が立っています。

縣神社 県の森

樹齢500年以上、宇治市名木百選にも選ばれる大きな木で、とてもカメラで全てを写すことができません^^;
周りは提燈を飾れるように鉄筋で大きく囲まれていたので、祭りの時はこの木を中心に行われるんでしょうね^^

縣神社では毎年6月5日に、「暗夜の奇祭」と呼ばれて有名な「県祭」が行われますが、境内の梵天奉納所には、祭りで使われる大きな梵天(ぼんてん)が奉納されています。
左側が実際に使われる梵天です。

縣神社 梵天 縣神社 梵天

周りの提燈と比べてみればわかると思いますが、こんな大きな梵天は初めてみました^^
直径は1mくらい、全体で2mくらいはあるのではないでしょうか?
重さは50キロあるそうです。

暗闇の中ここに神が宿る、と聞くと、ゾクッとしますね^^

そして県祭に続き、6月8日には「大幣神事」という伝承九百年祭りが行われます。

もろもろの災難や疫病が土地に入らないように祈る神事ですが、その時に使う「大幣」が、平等院側の鳥居横の「大幣殿(たいへいでん)」に納められています。

縣神社 大幣殿

境内の方に戻って、本殿横には御祭神のお名前にふさわしく、「木の花ざくら」と名付けられた桜の木があります。

縣神社 木の花さくら

上は四月の桜の季節の時に撮った写真です。きれいですね^^
ちなみに縣神社の社紋は"桜"ですので、境内のいたるところに桜の社紋が見られます。

縣神社 桜の社紋 縣神社 桜の社紋

縣神社 桜の社紋

そしてこちらが本殿です。

縣神社 本殿

本殿横にも、大きないちょうの木が立っています^^
こちらも宇治市名木百選に選ばれているそうです。


境内はそれほど広くありませんが、見どころたくさんの神社ですね^^
社務所横には、書院と茶室があって、秋の献茶祭では藪内流家元により盛大な茶会が催されるそうです。
社務所にはかわいらしい「子育て人形」や「梵天御守り」も置かれていました^^

なかなかユニークで面白いですね♪

縣神社 子育て御守り 縣神社 梵天御守り

御朱印には、桜の社紋と神名(縣大神)、神社名が記されています。

縣神社 御朱印

縣神社は、駐車場は2台ほどありますが、平等院参拝や宇治周辺を散策するなら駐車場は縣神社すぐ近く、平等院南門のところにあるバスがたくさん停まっている駐車場に止めた方が良いと思います。
広くて停めやすく、1日700円でです。

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