京都府八幡市の男山に鎮座する石清水八幡宮。
男山は、京の都からみて裏鬼門(西南の方角)にあります。
京阪電鉄 八幡市駅を出るとすぐにケーブルカーの駅があって山頂まで簡単に登れますが、標高142mでそれほど高い山ではないですし、道も整っているので、駅前から30~40分のハイキング気分で登ることもできます。
道も整っていますし、森林浴をしながら気持ち良く登ることが出来ますよ^^
私は、ケーブルカーから登るパターン、そして歩きで登るパターン両方とも体験してみました^^
石清水八幡宮にまつわるお話
石清水八幡宮は、伊勢神宮、京都の賀茂社(上賀茂・下鴨神社)と並ぶ日本三社の一社です。
また、全国の八幡宮の中でも宇佐八幡宮、鶴岡八幡宮(または福岡の筥崎宮)とともに日本三大八幡宮の一社に数えられます。
歴史的にも昔は二十二社(上七社)に選ばれたり、旧社格では官幣大社に選ばれたり、とにかく重要視されていた神社です。
神社のはじまりは平安時代。
平安初期に、宇佐八幡宮の八幡神から
「都に近い男山に移座して国家を鎮護しよう」
と託宣(神のお告げ)があったので、この地に勧請(お呼びした)したのが始まりです。
都の鬼門を守る比叡山延暦寺と共に裏鬼門を守るため、王城鎮護の神様として朝廷から篤く尊崇されたことから、伊勢神宮に次ぐ第二の
更には源氏の中で英雄視されている源頼家はここで元服の式を挙げたことから「八幡太郎義家」と呼ばれています。
その後、源氏から篤く崇敬されていて、源頼朝は鎌倉に幕府を開く際に、石清水八幡宮から八幡神を鎌倉に勧請しています。
それが鶴岡八幡宮です。
また、石清水八幡宮は吉田兼好の「徒然草」の第52段に、仁和寺の僧侶の失敗談の話にも登場します。
ある日、仁和寺の法師さんが石清水八幡宮にお参りしたことがないのを情けなく思い、お参りにきたのだそうです。
でも山に登らず、麓の極楽寺と高良神社をお参りして、そこを本殿と勘違いしたまま帰ったのだそうです。
そして帰ってから、参拝できていないことに気づかずに
「聞いていた以上に尊さを感じた!」
と、得意気に土産話をします^^
そして、
「ところで他の参拝者は更に山に登っていったけど、何かあるのだろうか?
お参りが目的なので、余計なことは止めておこうと思って行かなかった。」
と言っています^^
最後に、
「ちょっとした事にも、先導役はあってほしいものである。」
と、笑いを誘って結んでいます^^
徒然草は笑い話になっていますが、石清水八幡宮は無視できないほどパワーがあったことがわかりますね^^
男山に登る前に
初めて男山に登るなら、このパンフレットがあると便利です。
ケーブルカーの乗り場や駐車場の前などにも置かれています。
中には男山全体の境内地図が描かれています。
これだけでも便利なのですが、面白いのはこのイラストマップにスマートフォンを活用することでより便利になるということ。
「AR easy」というアプリを使ってかざすと、写真が動き出すんです!
Google playストアやApple Storeで無料ダウンロードできます。
Androidはこちら⇒Android版
iOSはこちら⇒iOS版
「AR easy」が使える写真には、下のような「AR easy」のアプリのマークがついています。
アプリを起動して、マークがついている写真にかざして認識させると、その写真が動いてパンフレットには書かれていない説明を見ることができます。
パンフレットにはアプリが使える写真が3つあるのですが、そのうちの1つ、本殿の写真を切り取ってみました。
実はこれ、パソコン上からでも上の写真にアプリをかざすと説明を見ることができます。
スマホにAR easyをダウンロードしたら、起動して上の写真にかざしてみて下さい。
カメラを撮る要領で写真に焦点をあわすことが出来たら読み込み始めますので、音楽が流れて説明が始まります。
こういう機能が使われていたということは、家に帰ってパンフレットを眺めている時に気づいたのですが、もしかしたら境内にも使えるところがあったのでしょうか?^^;
今度参拝する時は探してみようと思います。
男山をケーブルカーで登ってみる
京阪電鉄 八幡市駅を出るとすぐに、男山専用のケーブルカーがあります。
料金は大人片道200円、往復400円です。
子供は半額です。
15分に1本の間隔で出ています。
これで登ると、石清水八幡宮の本殿裏側に到着します。
ケーブルカーは1両編成。
残念ながらエアコンはついていません^^;
でも、ケーブルカーからの眺めは良いですね^^
男山山上駅に着きました♪
着いたらすぐ展望台へ登る階段があって、頂上からの眺めは宇治の平等院の方も見えるようです。
どれかはわかりませんが^^;
そして、男山全体で鳥獣保護区に指定されています。
色々な鳥がいるんですね^^
ケーブルカーの駅は本殿の裏にあたるので、ぐるっと回る必要があるのですが、途中に石翠亭というお店もあります。
2階がお店で、1階は休憩所と自動販売機スペースになっています。
1階の休憩所でもクーラーが効いているので、歩いて登ってきたらここで休むと気持ち良いです^^
石翠亭の近くには「エジソン記念碑」なるものが。
"エジソン"というのはあのアメリカの発明王のことですが、電球を発明する際に、石清水八幡宮が関係しているんですね^^
白熱電球のフィラメントの材料として日本の竹が優れているということを知り、発明してから十数年もの長い間、竹が使用されたんです。
そしてその「竹」が、石清水八幡宮の境内に生えている竹だったんです。
だからここに記念碑が建っているんですね^^
石翠亭の横の道を進むと、灯籠がたくさんある参道のわきから出てきます。
そのまま進んで本殿前の南総門につきます。
この門は、徳川三代将軍、家光の寄進によるもの。
実はここで、不思議な光景が見られます。
それが下の写真。
なぜか、本殿が参道から真正面、ではなく、ちょっと西側にずれているんですね^^
寸法ミスでも、何も考えていないわけでもありません。
参拝した後に八幡大神様に真正面に背を向けて帰らないように中心を外して作っているのだそうです。
ちなみに、三つ巴のマークのしっぽが長く伸びていますが、これも石清水八幡宮の特徴です。
そしてこちらが社殿正面の楼門。
奥には八幡造りになっている御本殿があります。
御本殿は前後二棟(内殿・外殿)になっているはずなのですが、御本殿の前に舞殿や弊殿がありますし、一番手前の楼門から回廊が出ていて、御本殿を囲っていますので中はあまり見えません。
でも、2012年5月に8年かかった社殿の修理が終わったばかりなので、キレイですね^^
そして注目したいのは欄間の彫刻。
江戸時代の名工と言われている左 甚五郎一派の作と伝えられている彫刻があります。
下は楼門の正面にある彫刻です。
リアル感があってカッコイイですね^^
こういう彫刻が随処に150点以上も施されているそうです。
回廊周りに所々あって、全部同じではないんですね。
外から見える彫刻は少ないのですが、社殿内部にはもっと色々あるようです。
社務所でポストカードを購入したのですが、こういうものがあります。
(写真:社務所販売のポストカードより)
猿は、写真ではわかりにくいのですが、右目に釘が打たれています。
これは、ある日猿に魂が宿って、夜になるとここから抜け出して畑を荒らしたので、抜けださないように打ったのだとか。
この話、滋賀の三井寺にも同じような話がありますね^^
こちらは猿ですが、三井寺は龍になっています。
どちらも左 甚五郎が関わっているのが共通点ですね。
本殿の裏には摂末社があるのですが、本殿と摂末社を含めて、築地塀という塀で囲まれています。
珍しい塀ですが、これは織田信長が好んで使っていたようです。
瓦と土がミルフィーユ状になっていて、鉄砲の銃撃や耐火性、耐久力に優れているそうです。
そして本殿の東北の方角、つまり鬼門に当たる場所はこのようになっています。
本来なら角になるはずですが、削られていますね^^
これで鬼門を封じているのだそうです。
そして下が裏にある若宮社、若宮殿社などの摂社。
二階建になっている珍しい摂社になっています^^
若宮社には、御祭神の八幡大神(応神天皇)の皇子である仁徳天皇、若宮殿社には、八幡大神の皇女が祀られています。
それぞれ男性の守護神、女性の守護神になっていて、「清め衣」というものを収めれば、毎月19日に諸願成就を祈願するそうです。
男山を歩いて登ってみる
石清水八幡宮は、ケーブルから登った所からが境内の始まりというわけではありません。
実は山の下に第一鳥居があります。
本来はここから歩いて登るんですね^^
ケーブルの駅の反対側、ロータリーの方に歩いて行き、石清水八幡宮門前名物の「やわた走井餅老舗」の前に第一鳥居が建っています。
後ろに見えているのが男山です。
ここからハイキングのような道を歩いて登って行きます。
第一鳥居には立派な額束が掛けられています。
「八」の字が、鳩が向かい合いながらも、顔だけを外に向けた形になっています^^
さすが鳩を眷属にしている八幡宮、面白いデザインですね♪
鳥居をくぐると、脇に放生池があります。
蓮がきれいですね^^
そして
頓宮というのは、仮の宮のこと。
普段は何もありませんが、年に一度の勅祭「石清水祭」で、山上の御本殿より御神霊が御遷しされる重要な場所となっています。
頓宮を出ると、あの徒然草で仁和寺のお坊さんが石清水八幡宮の本殿と間違えた高良神社があります。
摂社なのでそんなに大きくないのですが、本殿の前に小さな舞殿があります。
そして、舞殿側の看板に隠れるようにして「タブの木」という御神木があります。
樹齢約700年、「厄除の木」として信仰されてきたそうで、地元のおばあちゃんが看板をくぐって触りに行っていました^^
高良神社からさらに進むと二の鳥居があります。
ここからは人が少なく、さびしい感じです^^;
でも道は自然豊かな山道ではなく、歩きやすく整備されています。
なので、男山に登るのはサンダルでもOK。
登りやすいです^^
ここからは表参道と裏参道があって、二の鳥居をくぐらずに裏参道から行くと本殿に近いのですが、ここはあえて表参道から。
「七曲がり」という階段の道を進むと見えてきたのが「景清塚」。
表参道を真っすぐ進む道と、摂社の石清水社の方面へ向かう道の分岐点にあります。
平家の平景清が関係しているのか?と思ったのですが違うようです^^;
かつて本殿参詣する人々が、この清水に己の影(姿)を写して心身を祓い清めていたことからそう言われているようです。
ここで、表参道を進む前に、ちょっと寄り道して岩清水社に向かいます。
途中、ちょっとだけ急な階段を登ったところに、あの松花堂弁当の祖で、江戸時代の文化人、松花堂昭乗ゆかりの草庵「松花堂」があった場所があります。
松花堂弁当は、中を十字に区切った弁当箱に色々な具材を盛り付けたもの。
懐石料理でよく使われます。
茶室の間取りがよくわかる跡地もありますが、この間取りがなんだか松花堂弁当に見えてしまいます^^;
ここからさらに階段を登っていくと、摂社の岩清水社があります。
ここはちょうど山の中腹に位置しますが、ここに神社の名前の由来となっている霊泉「石清水」が湧いています。
男山には「男山五水」(又は八幡五水)と言って、五つの名水が湧く井戸がありますが、この「石清水井」は特に尊ばれているそうです。
どのような霊泉なのか、覗いてみるとこんな感じ。
ご神水がいただけるかもと期待していましたが、ボーフラが湧いていたりして、今はそんなに綺麗な水ではなさそうでした^^;
「石清水様の井戸の中におさい銭や物を入れないで下さい。」
と書かれているにも関わらず、小銭が投げ入れられていたりして、ちょっと残念でした^^;
ちなみに男山五水は
閼伽井 ・・・狩尾神社のそばにあったが、宅地開発で消滅。- 石清水井・・・山の中腹
- 藤井・・・高良神社横
- 山ノ井・・・表参道・七曲がりすぐ下、相槌神社右
- 筒井・・・一の鳥居近く、放生池の前
があります。
表参道に戻り、どんどん登ります。
営業していない休憩所もあったりして、昔は栄えていたんでしょうね^^
横には綺麗な竹が生えています。
幹が太くて綺麗な緑色をしたこの竹、これがエジソンの求めていたものだったんですね^^
そしてやっと三ノ鳥居につきました♪
三ノ鳥居から続く長い参道の先に見えるのが、本殿前の南総門です。
来た道を見下ろすと、こんな階段を登ってきています。
三ノ鳥居前には、「一ツ石」という石があります。
この石は勝負必勝・勝運の石とも言われていて、昔はこの石が走馬・競馬の出発点だったそうです。
そして今はありませんが、南総門下に「五ッ石」というのがあって、ここが終点だったようです。
ちなみにお百度参りの出発点でもあります。
ここから本殿まで百度参りはなかなか大変そうですね^^;
江戸時代には本殿参拝後、この石の前で再び本殿に向かって拝礼してから帰るというならわしもあったそうです。
本殿はちょっと斜め向いていますけどね^^;
石清水八幡宮の御朱印
石清水八幡宮の御朱印です。
かなりキレイに書いてもらいました^^
オリジナルの御朱印帳も販売されています。
石清水祭の行列の様子を描いた御朱印帳で、なかなかカッコイイですね^^
【駐車場について】
八幡市駅からロータリーの方向の川沿いに南に下ると、一の鳥居近くに駐車場(500円)があります。
でも実は、男山をぐるっと裏に回って、閑静な住宅街を通って山頂まで車で行くことができ、そこには無料の駐車場があるんです^^
ただ、住宅街の中の道が細かくてわかりにくく、あっちこっち曲がるので、ちょっと行きにくい感じではあります。
ケーブルカーで景色を楽しみたい方は電車で行くか一の鳥居前の駐車場が便利ですが、本殿の参拝だけなら裏の駐車場が便利ですね。