きれいな庭園で有名な青蓮院門跡。
天台宗の祖、最澄が比叡山を開くに当たって作られた住坊「青連坊」がきっかけとなって作られたお寺です。
昔から比叡山延暦寺の三門跡の1つ(残り二つは三千院と妙法院)に数えられています。
”門跡”というのは、皇室や摂関家が住職を務め、代々受け継がれているお寺のこと。
なので、格式高い寺院なんです。
青蓮院は江戸時代に御所の内裏が大火で焼失したことがあるのですが、その時はこの青蓮院が仮御所になったこともあり場所の名前を取って「粟田御所」と呼ばれていました。
「青蓮院旧仮御所」として境内全域が国の史跡に指定されています。
そんな青蓮院ですが、場所は京都東山の粟田口にあり、アクセスしやすいということもあってか、いつも観光客で賑わっています。
春や秋にライトアップもされるのですが、その時はただでさえレベルの高い庭園が、あますところなく美しく照らされます。
今回は、国宝 青不動の御開帳があるとのことで、それに合わせて行ってみました。
絶妙に手入れが行き届いた史跡
青蓮院は天台宗のお寺ですので、密教色が強くて見どころある仏像がたくさんあるイメージがありましたが、行ってみると仏像よりも庭の方が見どころがある感じでした。
禅寺みたいですね^^
ビシッときれいに整えるだけでなく、自然感を上手に出している印象を受けました。
「綺麗な自然を持っているお寺」という感じです。
青蓮院の殿舎はすべて廊下で繋がっていて、その周りが池泉回遊式庭園になっています。
殿舎内から眺めたり、庭を歩いたりすることができます。
青蓮院の表玄関には、親鸞聖人お手植えと伝わる立派なクスノキがあります。
京都市の天然記念物に指定されていて、1本しかとっていませんが、表玄関に2本、境内に全部で5本あります。
青蓮院のシンボルですね^^
こちらが入口の門。
入口の門をくぐると、整えられた参道に、木々の緑が上から綺麗にかぶさっています。
最初に入る殿舎は華頂殿。
蓮の襖絵と、平安時代の和歌の名人36人「三十六歌仙」の額絵が掛けられている客殿です。
皇室とゆかりのある寺院らしい部屋ですね。
そしてここからは青蓮院の主庭となる「相阿弥の庭」を、お抹茶を一服しながら(有料)眺めることができます。
相阿弥は室町時代の画家なのですが、唐絵の鑑定、座敷飾り、造園、連歌、茶道など、多方面で活躍した人物です。
天皇がいらっしゃった小御所側から見た相阿弥の庭です。
庭が別の顔になっていますね。
龍心池を中心にし、手前に龍の背中に見立てた石があって、その後ろに築山、さらに向こう岸にある石塔に視線がが流れて行きます。
庭のバックに東山の自然な風景があって、その自然感と人工的に作られた庭のバランスが絶妙にマッチしています。
奥には灯籠がちらほらありますが、対岸の石塔といい、浄土式の庭園みたいな感じがします。
華頂殿側からの眺めも素晴らしいですが、やはり小御所側から見る眺めの方が奥行きがあって見応えもありますから、こちらが正面なのかもしれません。
庭に出ると、龍心池の後ろを回ることができます。
ただ、木々が生い茂っているので殿舎は見ることができませんが、借景となっている東山に登って日吉社の方から殿舎側を見下ろすことができます。
下に見えるのは華頂殿。
庭を楽しんでいる人達がたくさん見えますね^^
そして、相阿弥の庭のお隣にあるのが、安土桃山~江戸時代前期にかけての作庭家、小堀遠州作の「霧島の庭」。
こちらは平面的に整えられた庭になっていますが、植えられているのが霧島つつじなので”霧島の庭”と呼ばれています。
この庭の満開の頃は訪れたことがありませんので、どんな感じになるのかはわかりません。
見頃はゴールデンウィーク頃なので、その頃に訪れるとこの庭が真っ赤になっているんでしょうね^^
青蓮院にはこのような見応えのある庭がありますが、毎年春と秋にライトアップも行われます。
青蓮院のご本尊、熾盛光如来は”光そのもの”ということで、光に縁があるようですね。
境内はあますことなくライトアップされ、青蓮院の色である「青」の光もちりばめられ、幻想的な世界に変わります。
昼間でも素晴らしい庭ですが、夜は夜で見ておきたいですね^^
国宝 青不動の御開帳
青蓮院は不動明王の中でも最上位となる国宝の青不動を安置する寺院でもあります。
2014年10月に、青蓮院の飛地境内となっている東山の将軍塚に、青不動が新しく安置される「青龍殿」という大護摩堂がオープンしました!
⇒将軍塚青龍殿に祀られる日本三不動の1つ「国宝 青不動」を拝観しに行きました。
青龍殿に関する記事はリンク先に書いたのですが、本物の青不動が将軍塚の青龍殿にあるのに対し、青蓮院門跡の方では、青不動の復元模写が公開されています。
本物の青不動は、長い年月を経て大部分が黒変しています。
それはそれで味があって良いのですが、描かれた当初はどんな様子だったのか?というのを再現したのが復元模写の画像です。
青蓮院の宸殿に祀られています。
青不動は最近まで文化庁による修理をうけていたのですが、その時に顕微鏡や赤外線、X線写真などで彩色の情報が明らかになりました。
復元模写画像はそれを基に復元したものです。
なので、公開も今回が初公開ですね^^
それがこちら。
※ 画像:青蓮院のパンフレットより
大きさは203.5×148.4cmで、本物と同じ大きさです。
結構大きな画像で、暗めの部屋に安置されていたので迫力がありました。
炎や金色の飾りの部分は、パンフレットで見るよりももっと明るいですし、パンフレットで見るのとは全然違いますね。
でも個人的には、味のある本物の青不動の方が好きです^^;
青不動の御開帳は、平成21年に青蓮院開創以来初めて公開されたのですが、それ以来2度目となる今回は青龍殿落慶を記念してのもの。
今後、定期的に公開されるのかどうかわからないので、御開帳の機会があったらぜひ行っておきたいところですね。
青蓮院の御朱印
青蓮院の御本尊、熾盛光如来の御朱印です。
青蓮院の殿舎に入ってすぐのところにある事務所で頂きました。
拝観前に御朱印帳を預けておくシステムで、帰りに受けとることができます。
そして、こちらは青不動の御朱印です。
こちらも基本的に事務所で頂くことができると思うのですが、私はちょうど御開帳中だったので、将軍塚青龍殿で頂きました。
青蓮院の小御所に、「五つの心」という貼紙が貼られていました。
心に沁みる言葉ですね^^
最後の言葉、「一隅を照らそう」は、天台宗の祖、伝教大師 最澄の言葉です。
「一隅を照らす、これすなわち国宝なり」
とおっしゃったのですが、これは、
「今自分が置かれている場所、状況、立場でベストを尽くしなさい」
ということです。
今いる場所で自分が光れば、そばにいる人も光ります。
そうやって光が増えれば、世の中は明るくなるということです。
一隅を照らす人になるためにも、この「五つの心」を忘れてはいけませんね^^