三重県伊勢市の二見浦に面する
参道も海岸沿いにあるので、海風の気持ちの良い神社です。
神社の読み方ですが、「こしたま」ではなく「おきたま」と読みます。
「夫婦岩」が有名で、今では縁結び・良縁のパワースポットとして知られていますが、かつてはお伊勢参りに行く前に立ち寄る場所とされていました。
今回はそんな二見興玉神社の見どころを紹介します。
二見興玉神社は、お伊勢参りの前に身を清める「浜参宮」
江戸時代に、伊勢参りが全国的ブームになったことがありました。
全国から伊勢神宮に人が集まってくるのですが、その前にまず、二見興玉神社を参拝するのが習わしでした。
なぜここに寄るのか?
それは参拝前に身を清めるためです。
二見浦の浜辺で水を浴びることで身を清めるのですが、そのようにして「
そのように伊勢神宮参拝前に、二見興玉神社を参拝することを「浜参宮」と呼んでいます。
二見興玉神社は伊勢神宮まで車で20分ほどの場所にあります。
そこから歩いて伊勢神宮まで行くには大変ですね^^;
今の感覚だと、二見浦で禊をしても、伊勢神宮にたどり着く前に穢れてしまうのではないか?と考えてしまいますが、昔の感覚では二見浦で禊をすることに意味があったのでしょうね。
現在は二見興玉神社で「無垢塩祓い」を受けることが、浜参宮の代わりとなっています。
お値段は5,000円。
海藻で作られた御幣で清めてもらえます。
※写真:NHK 歴史ヒストリアより
御幣に使われる海藻は、あとで紹介する「興玉神石」に付いていた御霊草で、
無垢塩草でお祓いすれば、潮の力によって身を清められるそうです。
二見興玉神社を縁結び・良縁スポットにした「夫婦岩」
二見興玉神社といえば、やっぱり
海から突き出た大小の岩が、夫婦が寄り添うように見えることから名づけられています。
この2つの岩には注連縄が渡されているのですが、実はこの岩、あるものを拝むための鳥居の役目をしているんです。
何を拝むための鳥居なのか?というと、2つあります。
1.猿田彦大神が降り立った「興玉神石」
二見興玉神社の主祭神は「猿田彦大神」。
古事記にも登場する道開きの神様です。
新しいことを始めるときには、猿田彦大神にお願いすると良いといわれていますね^^
猿田彦大神の化身とされる霊石とも、猿田彦大神が天から降り立たれたされるのが、神社から沖合約700メートル先に鎮まっているとされる興玉神石です。
神社名にも使われていますね。
神社では「興玉さま」と呼ばれているのですが、「興玉」というのは、海中の神霊を意味する「
興玉神石の大きさは、周囲約850メートル、高さ約7.5メートルという大きさです。
「石」というよりも「岩礁」といった方がよいかもしれません。
夫婦岩のすぐ近くには、興玉神石を拝するための遙拝所があります。
この方向に興玉神石があるはずなのですが、そこから眺めても、それらしいものは見当たりません^^;
実は、かつては水面から出ていたそうなのですが、1854年、江戸時代に起こった安政の大地震で海中に没してしまったのだそうです。
それでも興玉神石は今もなお、神が寄りつく岩とされていますので、この周辺の立石浜は、神々のいる常世の国から寄せる波が最初に届く「聖なる浜」なんです。
なので伊勢神宮参拝前にここで身を清める禊が大切だったのでしょうね。
2.夫婦岩の間から出現する日の出
夫婦岩は、日の出のスポットとしても有名です。
よくカレンダーの写真になっているんですよね^^
神社の絵馬も、日の出の様子がモチーフに使われています。
初日の出っぽいイメージがありますが、実は正月に見に行っても、夫婦岩の間から日が昇るのを拝むことはできません。
日の出が見れるのは主に夏なんですね。
4月から8月頃は夫婦岩の間から日の出を拝めます。
特に見どころは夏至の前後2週間の朝。
夫婦岩の先には富士山があるのですが、ここから富士山と重なる太陽を拝むことができるんです^^
でも、実際には気候の関係など色々あるので、きちんと富士山とセットで拝めるのは年に2回くらいしかないほどレアです。
見れたらラッキーですね^^
逆に冬至の前後(10月~1月頃)は夫婦岩の間からの月の出を見ることができます。
こちらもまた人気なのだそうですが、冬の夜なので寒そうですね^^;
御祭神のお使い「二見蛙」がいっぱいの参道
二見興玉神社の参道には、至るところに「二見蛙」と呼ばれている蛙の像が置かれています。
かわいらしい親子蛙。
夫婦岩の前にも蛙。
とにかく蛙、蛙、蛙です。
これらは神社を参拝して御利益を受けた参拝者が奉納したものなのだそうです。
そしてこちらが、参拝者が夫婦岩を拝む方向に配置されている本殿。
その横には蛙みくじがあります。
おみくじのほか、開運招福のお守りも入っていました^^
なぜこんなにも蛙が特別視されているのでしょう?
実は蛙は、猿田彦大神の使い(眷属)とされているんですね。
ここの蛙には、無事かえる、貸した物がかえる、若がえる、お金がかえる等の御利益があるのだそうです^^
特に手水舎には、神のご神示によって水の中にお鎮まりになっている蛙がいて、満願蛙と呼ばれています。
この蛙に水をかけると願いが叶うそうです^^
二見興玉神社に訪れる際はぜひお参りしておきたいですね^^
ただし注意点が1つあります。
満願蛙は水の中にいる蛙です。
目の前に大きな蛙がいますが、水かけ地蔵のようにその蛙に水をかければ良いわけではありませんので注意して下さい^^
伊勢神宮の神「天照大御神」がお隠れになった「天の岩屋」
天照大御神が岩倉に隠れた天岩戸神話という話があります。
その天岩戸と言われる場所が全国各地にあるのですが、二見興玉神社にもあります。
それが上の写真の天の岩屋です。
中は岩窟なっています。
日の神が隠れることは「日の入り」を意味するわけですが、ここには日の出を遙拝する場所と日の入りの場所もあるわけですね^^
そして天の岩屋には、
宇迦御魂大神というと、普通は稲荷神社の神様のことをいうのですが、ここでは伊勢神宮外宮の神様、豊受大神のことをいいます。
天照大御神の食事を作る神様ですね。
横にはそれらしい石神が横に立っています。
モリを持った姿ですが、海女さんが踊っている感じにも見えます。
この辺りは昔から海女さんがたくさんいて、伊勢神宮にお供えするための海の幸を提供してきたそうですが、天の岩屋は元々、海女さんが大漁祈願のために神様を祀っていた場所なのではないでしょうか?
伊勢神宮に食事を提供する、という役割を考えると、ここに豊受大神が祀られているのもわかる気がします。
岩屋の前には、このような輪注連縄が置かれていました。
この輪注連縄で、身のけがれや身体の悪いところをさすって、本殿に奉納することでけがれや悪いものを託すことができるそうです。
海の神を祀る竜宮社
二見興玉神社の参道の奥、そのまま海岸沿いに進むと、摂社の竜宮社があります。
ここには海の神様である
「八大龍王大神」とも書かれているのですが、こちらは仏教で仏法を守る神様。
竜神というと水を司る神様なので、綿津見大神と習合しているのかもしれません。
「竜宮」と聞くとなんだかワクワクしそうな感じですが、この社は寛政4年(1792年)5月15日の大津波による災害と関係している社なんです。
村はなんとか立ち直ったのですが、その犠牲者の供養と郷中の安全を祈るために建てられました。
毎年旧暦5月15日に龍宮社例祭(
この神事では、茄子・胡瓜・みる・まつ菜などの神饌(お供え物)を用意し、小さな船に乗せて海に奉納します。
これは、「津波を急に見るな、待つな」という意味があるのだそうです。
このように、津波被害に由来のある社ですが、心願成就、開運、商売繁昌、海上交通安全、大漁満足など、幅広い御利益があります。
特に猟師さんなど海関係の仕事をしている人はぜひ参拝しておきたい社ですね^^
二見興玉神社の御朱印
二見興玉神社の御朱印です。
本殿横の朱印所で頂きました。
こちらは摂社 竜宮社の御朱印です。
竜宮社横の朱印所で頂きました。
二見興玉神社にはオリジナルの御朱印帳があります。
夫婦岩からの日の出の風景をモチーフにした、二見興玉神社らしい朱印帳ですね^^
なかなか良い御朱印帳です。
竜宮社横の社務所にありました。
二見興玉神社の参拝駐車場について
二見興玉神社に車で行く場合、気をつけたいことがあります。
それは駐車場のこと。
正月や神事などイベントの日はわかりませんが、基本的に無料です。
駐車場は国道42号線から海岸に向かって小さな道を入り、堤防沿いの二見浦公園の駐車場に停められます。
また、そこがいっぱいの場合は国道42号線を少しだけ伊勢市内方面に行き、コンビニの向かいにある音無山駐車場にも停められます。
いずれも無料です。
問題は、国道42号線から二見浦公園に向かう小さな道に入ってすぐのところにある駐車場。
そこは有料なんですよね><
誘導員もいてそこに案内しようとしますので、無料の駐車場の存在を知らずに停めると、あとで悔しい思いをしてしまいます^^;
私が参拝した時は、有料駐車場の誘導員の横で神社側の誘導員が無料駐車場を案内するという、なんとも言えないバトルが繰り広げられていたので助かりました(≧▽≦)
また、トンネルのすぐ横にある駐車場も、お土産屋さんの駐車場で、有料です。
車で行く場合は気をつけて下さい。