奈良県の吉野山にある
金峯山寺は修験道の始祖「
役小角は、
今、国宝の仁王門の修理をしているのですが、その修理費を集めるため、普段秘仏になっているご本尊、金剛蔵王権現のご開帳が行われています!
以前は60年に一度のご開帳となる秘仏なのですが、世界遺産に登録されてからはちょくちょく開帳されるようになっています。
そして2012年からは「仁王門大修理勧進」として、10年間、春や秋にご開帳の期間を設けるのだか。
というわけで、今年は行けるチャンスがあったので行ってみました。
金峯山寺の歴史 役小角による蔵王権現 感得のエピソード
日本では古来から、大きな木や山には神が宿ると信じられてきました。
その後、仏教が伝来し、神への信仰と仏教の信仰が1つとなる神仏習合という考え方が生まれました。
この神仏習合によって誕生したのが、日本独自の宗教、修験道です。
修験道では、険しい山々を修行の場として、大自然からの力を得て悟りを開くことを目的とします。
つまり、山に入って心身を鍛え、雑念を振り払って無心にすることを目指すわけです。
そして神が宿る自然を拝み、仏を拝むことで悟りの境地にたどり着くんですね。
このような山岳信仰が全国に広がっていったのですが、そのような修験道の開祖とされているのが役小角です。
吉野山から山上ヶ岳(大峯山)、熊野に至る山々を総称して金峯山というのですが、修験道の開祖、役行者は、この大峯山で苦行をしていました。
なので金峯山は修験道の聖地とされていて、修験道の主な尊像が蔵王権現となっています。
役小角と蔵王権現について、こんな伝承があります。
役小角のいたのは飛鳥時代。
このころは政権抗争が激しく、世の中が乱れていました。
役行者は苦しむ人々を救い、悟りの世界に導くために金峯山で千日間の苦行を行い、仏の出現を強く祈りました。
その時、役行者の前に現れたのは釈迦如来。
しかし役行者は、
「衆生救済のためにはもっと強いお姿が必要だ」
と断ります。
続いて、千手観音、弥勒菩薩と現れますが、役行者は
「もっと強いお姿を」
と願います。
すると、雷鳴がとどろき、目の前に蔵王権現が現れたのです。
※写真は、仏像フィギュアの【イSム(いすむ)】で販売されているフィギュアです。
「小角よ。お前の求める姿はこの姿か!」
恐ろしく震えあがった小角でしたが、同時に、このお姿なら衆生を救えるに違いないと確信し、そのお姿をヤマザクラに彫刻し、山上ヶ岳と吉野山にお堂を建ててお祀りしたのです。
そうやって信仰されてきたのが、蔵王権現を祀る蔵王堂です。
この、役小角の蔵王権現感得のお話は、こちらの絵本にもわかりやすく書かれています^^
金峯山寺・蔵王堂には大きな蔵王権現が3体祀られている
蔵王堂は「山上」と「山下」の2つあって、金峯山寺の蔵王堂は、山下の蔵王堂。
山上の蔵王堂は、大峯山寺というお寺にあります。
本来は大峯山寺にもお参りしたいところなのですが、道がとても険しく、行くだけでもなかなかのハードルの高さ!
なので、いつでもだれでもお参りできるようにということで建てられたのが山下にある金峯山寺の蔵王堂です。
高さ34メートル、四方36メートルとても大きな建物で、重層入母屋造り、桧皮葺き。
国宝に指定されています。
平安時代から何度も焼失していて現在の建物は天正20年(1592年)頃に完成したものです。
金峯山寺は境内無料ですが、蔵王堂だけ拝観料が必要です。
普段は500円ですが、特別拝観期間中は1,000円になっていました。
その費用は、仁王門の修理にあてられるのだそうです。
拝観料としては高めですが、その代わりにお守りと金峯山寺ロゴ入りの靴入れも貰えます^^
蔵王堂の中心には秘仏本尊、金剛蔵王権現が3体祀られています。
中尊は7・28メートル、向かって右側が6・15メートル、左側が5・92メートルという大きさで、巨大な厨子に入った日本最大の秘仏。
青いお姿で憤怒の形相という、とてつもない迫力があります。
蔵王権現は撮影禁止なので写真では紹介できません。
なので、本尊御開帳のリーフレットに載っていたものから紹介します。
※画像:リーフレットより
私が訪れた時はちょうど護摩行をしていて、真言を唱える声や太鼓のようなものを叩く音が鳴り響き、一層迫力が増していました^^
ご本尊は普段は大きな厨子で閉ざされていますが、ご開帳期間中はすぐ真下までいくことができます。
真下には2人まで入ることができる簡易的な個室が用意されていて、順番に入ってお祈りすることができます。
無料で出来ますので、ぜひ間近まで行ってお祈りすると良いですね^^
金峯山寺・蔵王堂の裏、蔵王権現の正体を祀る本地堂
蔵王権現の「権現」というのは「
つまり、3体の仏様が合わさって神になった、仮の姿です。
その「権現」に対して、本来の仏の姿のことは「本地仏」といいます。
では蔵王堂の権現はなぜ3体あるのでしょう?
それは、先ほどのエピソードで紹介した、釈迦、千手観音、弥勒の三尊に対応しているからです。
蔵王堂の裏には本地堂があって、3体の蔵王権現に対応する本地仏、釈迦、千手観音、弥勒が祀られています。
釈迦、千手観音、弥勒の三尊は、それぞれ過去、現在、未来を守護する仏様。
つまりは常に救済して下さるのが蔵王権現ということでもありますね。
金峯山寺の御朱印
金峯山寺は、
- 役行者霊蹟札所
- 神仏霊場巡拝の道 第39番
の札所です。
それらの御朱印がある他、境内にある愛染堂、観音堂などの御朱印もあります。
また、大和四神めぐりの散華になっている御朱印もあります。
私は札所のものは集めていないので、それ以外の普通の御朱印を頂きました。
まずは、蔵王堂の御朱印です。
大和四神めぐりの散華です。
こちらは御朱印帳に書いてもらうのではなく、散華で売られています。
表は「蔵王大権現」、裏は朱雀が描かれています。
朱雀は、四方を守るという四神(東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武)の一神です。
この2つは、蔵王堂内の納経所で頂きました。
次は、愛染堂の愛染明王の御朱印です。
観音堂の十一面観音の御朱印です。
この2つはいずれも愛染堂で頂きました。
金峯山寺にはオリジナルの御朱印帳があります。
左から2番目の御朱印帳は修行している行者の絵が描かれていますが、金峯山寺らしい御朱印帳ですね^^
そして一番右側は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」が登録10周年を迎えた記念に制作された、限定販売の御朱印帳です。
吉野は「紀伊山地の霊場と参詣道」に含まれている世界遺産なんです。
この御朱印帳、私は大阪市立美術館でやっていた「山の神仏-吉野・熊野・高野」を見に行った時に購入しました。
表紙や中身の全てのページが杉材でできています。
上で紹介した御朱印のバックが板のようになっているのはそのためです。
この御朱印帳、購入した後もずっと木の香りがするんですよね^^
なかなか面白い御朱印帳です。
この御朱印帳には、神社とお寺を分けずに、紀伊山地の霊場と参詣道に含まれている神社仏閣のものを頂こうと思っています。
吉野は、桜の時期に行くと、山全体が桜になる感じでものすごく見応えがあります^^
山の麓に近い方から、下千本、中千本、上千本、奥千本と分かれていて、咲く時期もずれることもあって、1ヶ月ほど桜の期間が続きます。
ただ、その時期はものすごく混んで、土日はマイカー規制されたりするほどなので、結構大変です^^;
結構歩く山でもありますので、行かれる場合は歩きやすい格好で行きましょう。
また、下千本駐車場という大きな駐車場があり、普段は無料ですが、観桜期は1日1,500円となります。
ただし、観桜期の土日に関しては、マイカー規制で利用できません。
その場合は、臨時の駐車場が出来るようです。
観桜期の開花情報や駐車場案内については、吉野山観光協会のサイトを行く前に確認した方が良いと思います。