奈良時代から朝廷の祈願所とされていた興福寺。
南都六宗の一つ、法相宗の大本山で、奈良を代表する大寺院です。
シンボルとなっている五重塔や、有名な阿修羅像、沢山の国宝・文化財のある国宝館。
広い境内には春日大社の鹿もたくさんいて、見どころ満載のお寺です。
興福寺は、実は最初からここに建っていたわけではありません!
驚きですね^^
元々は、現在の京都市山科区にあった
山階寺を建てたのは、
大化の改新で活躍した藤原鎌足の正妻です。
天智天皇8年(669年)に鎌足の病気平癒を願って建てました。
その後、藤原京に移転。
さらに和銅3年(710年)の平城遷都の時に、鎌足の息子である藤原不比等が現在の場所に移します。
その時に名前が「興福寺」となりました。
このように場所を点々とした経緯がありますが、「興福寺」としてはこの710年が創建年となっています。
興福寺は藤原氏の氏寺となってから強い権力を持ち、次々に堂塔が建てられました。
1998年には「古都奈良の文化財」として世界文化遺産にも登録されています。
JR東海のCMもカッコイイですね^^
興福寺のランドマーク、五重塔
興福寺と言えば、やっぱりシンボルとなっている五重塔ですね^^
五重塔(国宝)は、創建者・藤原不比等の娘である光明皇后の命で建立されたものです。
東大寺の大仏殿と並ぶ有名な建物ですね^^
興福寺のオリジナル御朱印帳にも描かれています。
興福寺は境内自由。
塔堂に入るのでなければ無料です。
もちろん、五重塔にもすぐ近くまで行けますので写真もバッチリ撮れます。
高さは、京都の東寺の五重塔(54.8m)に次ぐ50.1m。
でも、興福寺の方が100年以上の古さがあります。
東寺のものは9世紀末頃の平安時代に創建されたもので、現在建っているものは寛永21年(1644年)に徳川家光の寄進で再建されたもの。
それに対して興福寺のものは天平2年(730年)、奈良時代に創建されたもので、現在建っているものは応永33年(1426)頃に再建されたものです。
創建も再建も、こちらの方が年季が入ってます^^
興福寺の境内は広いですが、境内のどこにいても見えるほどの高さです。
夜は年中ライトアップされていて、綺麗ですよ^^
内部は普段非公開ですが、たまに塔の初層が公開されることがあり、四方に
- 薬師三尊像(東)
- 釈迦三尊像(南)
- 阿弥陀三尊像(西)
- 弥勒三尊像(北)
が安置されているのが見学できます。
国宝仏像がズラッと立ち並ぶ東金堂
五重塔のお隣にあるのが東金堂(国宝)。
神亀3年(726年)、聖武天皇が伯母にあたる元正太上天皇の病気平癒を祈願して建てたものです。
なので御本尊は薬師如来。
薬師如来像と脇侍の日光・月光菩薩像は重要文化財ですが、その他の仏像は全て国宝!
以下のものがあります。
維摩居士 坐像- 文殊菩薩坐像
- 四天王立像(四体)
- 十二神将立像(十二体)
中に入ると、急に冷やっとする空気感。
そんなに広いお堂ではありませんが、東寺の立体曼陀羅のような感じで横長のスペースに国宝の仏像がズラッと並べられています。
国宝だけでも全部で18体!なかなかの見ごたえです^^
拝観料は、大人300円、中高生200円、小学生100円ですが、国宝館との共通券で買うと割引されます。
国宝仏像の美術館、国宝館
興福寺の
外観は旧・食堂を模しているのですが、内部は照明の当て方、仏像の配置などで魅せ方を工夫した仏像の美術館になっています。
有名な阿修羅像をはじめとする八部衆像、釈迦の十大弟子立像(6体)などが、ガラスケースなしで目の前で直接拝観できるようになっています♪
お堂の中だと、本来祈ることが目的なので、じっくり拝観ということには適していない場合もありますが、国宝館では国宝クラスの仏像がベストな位置で拝観できるのが魅力ですね^^
定慶作とされている金剛力士像の筋肉の付け方のリアル感も間近で見れます。
天燈鬼・龍燈鬼といったユニークな鬼像も目の前で見れます^^
そして国宝館の真ん中には、旧食堂の本尊、千手観音菩薩像が安置されているのですが、その高さは約5.2m!
となりに2.2mほどの釈迦如来像や阿弥陀如来像があって、それも立派なのですが、この大きさのものが全身で見ることができるので、ものすごい迫力です!
ちなみに、明治時代の廃仏毀釈の時、食堂はもちろん、多くの仏像が壊されました(あの阿修羅像も・・・)。
でもこの、千手観音像は壊されずに済んだのだそうです。
5.2mもあると他所へ運ぶのも難しいでしょうに、よく無事で済んだものだと感心してしまいます^^
国宝館は、他のお寺ならメインとされるだろう仏像がゴロゴロ安置されています。
紹介していないのが勿体ないくらいなのですが、何度でも行きたくなるようなところなので、奈良に観光に来る際にはぜひ寄ってみて下さい^^
出口付近のショップで、阿修羅のTシャツなども買えます^^
私は阿修羅のポストカードを買いました。
他にも八部衆や十二神将、天燈鬼・龍燈鬼などのものもあります。
国宝館の入館は、大人700円、中高生600円、小学生300円です。
でも先ほどもちらっと書いたように、東金堂との共通券なら大人900円、中高生700円、小学生350円でお得です。
廉慶・運慶親子作の仏像が安置されている南円堂・北円堂
東金堂・五重塔から西に歩いていくとあるのが、八角形の建物の南円堂と北円堂です。
どちらも普段は非公開ですが、春・秋に特別公開されることがあります。
南円堂・北円堂には、平安時代~鎌倉時代にかけて活躍した奈良仏師、康慶・運慶親子の仏像が安置されています。
上の写真は南円堂。
南円堂は西国三十三ヶ所霊場の札所にもなっていて、中に入れない時でも外側から拝むことができますので、人がいっぱいです^^
正面扁額には花山法皇が詠んだ南円堂の御詠歌がかけられています。
「春の日は 南円堂に かがやきて 三笠の山に 晴るるうす雲」
と書かれています。
春の晴れた日の南円堂の様子が詠われていますが、「春の日」と言えば、興福寺の所轄でもあった「春日大社」とも掛けているようです。
「春」自体は、南円堂のご本尊、不空羂索観音の暖かい慈悲のことも表しています。
それが南円堂のように欠けることのない円満な状態で輝いているということですね^^
「三笠山」は奈良公園の東端にある「若草山」のことで、この詩では三毒煩悩
- 貪・・・むさぼり。必要以上に求める心。
- 瞋・・・怒りの心。
- 癡・・・真理に対する無知の心。
詳しくはこちらに書きました。
つまり、南円堂で祀られている不空羂索観音の慈悲のお力で、煩悩でいっぱいの心も晴れる、という感じの歌ですね^^
南円堂の公開は、不定期な特別公開を除いて、公開は10月17日の一日だけとなっているようです。
いずれも国宝にしていされている康慶作の不空羂索観音坐像、四天王立像を拝むことができます。
機会がある時はぜひ参拝しておきたいところです^^
北円堂の方も、同じように八角形の建物ですが、普段は20mくらい離れたところから柵越しにしか見ることしかできず、近くまで行って拝むことはできません。
なので普段は寂しい感じなのですが、実は北円堂は建物自体が国宝です!
興福寺の建物は火災などで何度も建てなおされていますが、現存する建物で一番古いものはこの北円堂なんです。
現在の南円堂も、北円堂をモデルにして再建されたそうです。
南円堂のすぐ北側にあるので、訪れる際はぜひ見に行ってみて下さい^^
北円堂の中には運慶作の仏像が安置されています。
こちらの公開は、春と秋の2回チャンスがあります。
私は、南円堂創建1200年記念で今行われている「興福寺国宝特別公開2013」で両方とも拝観することができました♪
興福寺の御朱印
興福寺にはたくさんの御朱印が用意されています。
- 西国三十三所 第九番(南円堂)
- 一言観音
- 北円堂
- 世界遺産(今興福力)
- 中金堂
- 西国薬師 第四番(東金堂)
- 千手観音
です。
まずは西国三十三所 第九番、南円堂の御朱印です。
南円堂前の授与所で頂けます。
西国三十三所の御詠歌です。
先ほど紹介した、
「春の日は 南円堂に かがやきて 三笠の山に 晴るるうす雲」
ですね^^
次は南円堂のすぐお隣にある、一言観音堂の御朱印です。
一言観音は、どんな願いでも1つだけ叶えてくれる、という観音様ですね^^
こちらも南円堂前の授与所で頂けます。
一言観音の御詠歌の御朱印もあります。
「頼もしく あゆみを運べ ひとことの 願ひもすてぬ 誓い今せば」
と書かれています。
次は世界遺産の御朱印です。
「世界遺産」の印と、「令興福力」という文言が書かれています。
こちらは南円堂前の授与所と、東金堂前の授与所どちらでも頂けます。
次は北円堂の御朱印です。
北円堂が御開帳の時に、北円堂前に仮の授与所ができていて、そこで頂きました。
普段は授与所がないので頂けないようです。
次は東金堂の御朱印です。
こちらは西国薬師第四番の札所にもなっていて、私は西国薬師霊場巡り専用の横長のタイプで頂きました。
通常の御朱印の場合、左半分の同じものが頂けます。
お次は今再建中の中金堂の御朱印です。
興福寺にはオリジナルの御朱印帳もあります。
南円堂横の売店と、東金堂前の授与所で販売されています。
上で紹介した五重塔と南円堂のカバーのものの他、種類がたくさんありますが、私は阿修羅像の着衣の柄と同じデザインがされた御朱印帳を購入しました♪
この御朱印帳は、南円堂横の売店でしか売ってないようです。
値段は1,050円です。
国宝が当たり前のように並ぶ興福寺、見どころいっぱいのお寺です^^
鹿せんべいを鹿にあげて楽しむこともできますよ♪