滋賀県側から比叡山に登るケーブル坂本駅のすぐ近くに日吉東照宮があります。
栃木県にある日光東照宮は、東照大権現である徳川家康公を祀る神社。
家康公は没後、静岡の久能山に葬られたのですが、その後日光東照宮が造営され、そちらに移されました。
日光東照宮造営を提案したのは、徳川家のブレーンとなっていた天台宗僧侶、天海大僧正。
織田信長の比叡山焼き討ち以来、比叡山をV字復興させた高僧です。
天海は日光東照宮を造営する前、家康公を祀るのにふさわしい社殿を、ということで徳川家光の命じられてこの地に日吉東照宮を造営します。
つまり、日吉東照宮はモデルルームなんですね^^
しかし、モデルルームとはいえ、きちんと神様は祀られています。
祀られているのは以下の三神。
- 徳川家康公(中央)
- 日吉大神(向かって右側)
摩多羅神 (向かって左側)
この三柱の神を合わせて、東照三所大権現といいます。
戦隊ものみたいですね^^
勝運福徳、出世海運の御利益があります。
日吉東照宮は、元々は延暦寺が管理していたのですが、明治の廃仏毀釈以来、日吉大社が末社として管理するようになっています。
場所は日吉大社から歩いて数分、日吉東照宮は比叡山東麓の小高い場所に鎮座しています。
参道は上り坂。
鳥居が見えてきましたが、「毘沙門天王 戒蔵院」という石標が。
ここで当たっているのか?と思いながらも先へ行きます。
鳥居の先は段数は少ないものの急な階段になっています。
この階段を登ると、唐門と透塀に囲まれた東照宮があります。
日吉東照宮は普段は無人で、唐門の外側からの参拝は可能ですが、金土日祝なら拝観料を支払って社殿内部を拝観することができます。
私が訪れたのは土曜日だったので、門が開いていました。
まずは重要文化財にも指定されている唐門。
さすがに豪華ですね^^
ここから先は有料拝観。
唐門をくぐると、拝殿があります。
センターには虎の彫刻が施されています。
徳川家康は寅年生まれですからね^^
拝殿の後ろには本殿があって、繋がっています。
この、本殿と拝殿を「石の間」という一段低い空間でつなぐ様式が、天海が智恵を絞って考えた権現造りの様式です。
社務所で貰った説明書きによると、このような形になっています。
拝殿には階段で上がるのですが、中に入ると下りの階段があって、その一段低くなったところに石の間があります。
そこで祭典奉仕者が本殿の御祭神に祈りを捧げる、という形になっています。
つまり、祭典奉仕者は一番低い石の間で祈りを捧げるわけです。
これは、祭典奉仕者が将軍に背を向けて奉仕しても非礼にならないように配慮しているのだとか。
だから石の間が低くなっているわけですね。
今回は中に入って写真が撮れますので、写真を撮らせていただきました。
下は拝殿で撮った写真です。
中は暗いので、装飾の色彩がきれいに残っています。
写真ではわかりにくいのですが、中央にある御幣から奥は石の間で、下りの階段があります。
その奥に、登りの階段があって、金の扉の中に御祭神が祀られています。
畳の間が「石の間」と呼ばれる部分です。
本殿の軒が、石の間から見ることができます。
そして御本殿の金の扉。
こちらには御祭神が三柱祀られています。
祀られている神様をおさらいすると、
- 徳川家康公(中央)
- 日吉大神(向かって右側)
摩多羅神 (向かって左側)
です。
家康公と日吉大神はわかるのですが、摩多羅神は聞き慣れないですね。
摩多羅神は、慈覚大師 円仁が唐から船で帰る際に声が聞こえ、感得(お姿を感じ取ること)した神様です。
阿弥陀経や念仏の守護神なのだとか。
これは、天海の勧めで家康が祀った天台宗独自の神なのですが、なぜ東照宮で祀られているのかはわかっていません。
でも、東照宮ではこの、東照大権現(徳川家康)、山王大権現(日吉大神)、摩多羅神がセットで祀られています。
最後に、社殿正面から見える景色。
高台になっているので、琵琶湖を見下ろせます。
琵琶湖の向こう側には”近江富士”と呼ばれる三上山も見えますよ^^
日吉東照宮の御朱印
日吉東照宮の御朱印です。
日吉東照宮は金土日祝のみ拝観可能で、それ以外は唐門が閉じられ、無人になります。
御朱印を頂きたい方は、拝観可能な日を選んで訪れてください。
また、団体の場合は日吉大社の社務所に連絡すれば、平日でも拝観させてもらえるようです。