北陸本線「高月」駅から徒歩7分ほど、高月町落川に日吉神社があります。
しかしここには神社の社殿はありません。
そのかわりに、お堂があるんです。
実はここは浄光寺というお寺。
かつて、このあたりから東側に己高山 鶏足寺という大寺がありました。
伝教大師 最澄が再興したお寺なのですが、その末寺としてこの地に紫雲山 巌長寺を建立します。
そして、天台宗の守護神である日吉大社の大神をこの地に勧請(分霊をお呼びして祀ること)し、守護神としたのが日吉大社の始まりです。
なので、神社の境内にお寺があるのは神仏習合の影響なんですね。
一方、巌長寺は往時は繁栄したのですが、天正元年(1573年)5月に浅井氏と織田氏の戦による兵火にあい焼失してしまいました。
その金堂跡に再び堂舎を建立して、本尊 十一面観音菩薩を安置しました。
それが浄光寺であるとされていますが、滋賀県湖北地域は戦国時代の激戦区で、その兵火によって歴史的な資料を大量に失ってしまっているんですね。
なので、詳しいことは定かではありません。
御本尊の十一面観音菩薩は、伝教大師 最澄の御自作と伝わっています。
その御本尊がこちら。
赤い色彩がまだ残っていますね。
脇侍の方も口紅が残っていますが、御本尊だけ特別保存状態が良さそうです。
このあたりでは、兵火でお堂が焼失する前、村人が大事な仏様だけ持って逃げ回ったという話があちらこちらにあります。
この御本尊ももしかしたらそのようにして助かったのかもしれません。
ちょっと明るい印象を受ける観音様でした。
御朱印
浄光寺の御朱印です。