滋賀県には、比叡山の守護神を祀る「日吉大社」や伊勢神宮の親神を祀る「多賀大社」、かるたの聖地として有名になった「近江神宮」など、有名神社がいくつかあります。
でもそれらを押さえて、近江国の「一の宮」になった神社があります。
それが
日本武尊 大己貴命
を御祭神として祀っています。
ヤマトタケルといえば、日本神話に登場する英雄ですね^^
建部大社は、ヤマトタケルを祀る神社として知られているんです。
大きな神社ではありませんし、日吉大社などと比べると有名でもないのですが、かつては朝廷や武士の崇敬も篤く、とくに源頼朝は建部大社に参篭までして、必勝を祈願した事が平治物語に記されているほどの神社なのです。
近くには日本三名橋の一つで近江八景「瀬田の夕照」としても名高い「瀬田の唐橋」や、源氏物語ゆかりの「石山寺」があります。
合わせて行ってみるのも良いですね^^^
今回は、建部大社の魅力を紹介します。
建部大社へのアクセス
公共交通機関を利用する場合
建部大社に公共交通機関を使っていく場合、JR「石山駅」から行く方法と京阪線「唐橋前駅」から行く方法があります。
京阪線「唐橋前駅」から徒歩
建部大社の最寄り駅は、京阪電車石山坂本線「唐橋前駅」です。
そこから徒歩15分で建部大社に到着します。
最寄りとはいえ、ちょっと歩く感じになってしまいますが、この方法で行くと、途中で瀬田の唐橋を歩いて渡ることができます。
京阪電車石山坂本線は、大阪・京都方面から1本で行けるJR「石山駅」で乗り換えることができます。
「唐橋前駅」は、京阪電車石山坂本線の石山寺行きに乗って1駅で到着です。
石山駅から唐崎前駅は徒歩でも行けるほど近いですが、石山駅から建部大社まで歩いた場合は約23分かかります。
JR「石山駅」からバス
JR石山駅からは、南口のバスのりばに停まるバスで行くことができます。
- 2番のりば(近江鉄道バス):「瀬田駅」行、または「野郷原」行に乗車。「建部大社前」で下車
- 3番のりば(帝産バス):「龍谷大学」行、または「牧口」行に乗車。「建部大社前」で下車
建部大社前からは徒歩すぐです。
なるべく歩きたくない人にはこちらがおススメですね。
車で行く場合
高速道路を利用する場合、大阪方面からは、瀬田西ICより5分、名古屋方面からは、瀬田東ICより5分です。
建部大社には無料の駐車場も充実しています。
第一、第二駐車場がありますし、普段は混み合うこともありません。
年末年始はいっぱいになるのですが、近くのスーパーなどが協力して駐車場を貸してくれているので、割と停めることができますよ^^
建部大社の由緒
ヤマトタケルノミコトは、古事記や日本書紀に登場します。
第12代景行天皇の第二皇子で、日本各地で暴れている豪族を平定させた英雄として語り継がれています。
建部大社が創建されたのは、景行天皇の時代。
ミコトは32歳にして、父より先に亡くなってしまうのです。
建部大社の創建は、妻であった
その後、天武天皇の時代となる白鳳4年(675年)、当時近江国府があった瀬田の地に、近江の守護神として移り現在に至ります。
建部大社は、琵琶湖の南側、京に向かうための交通の要となっていた「瀬田の唐橋」近くに移ったことで、重要な拠点を管理する社として栄えました。
孝徳天皇の時代となる天平勝宝7年(755年)には、奈良の大神神社からもう一柱の御祭神、大己貴命を迎え、このツートップ体制でもって近江国一之宮と定められました。
建部大社は、それだけ古い歴史を持つ神社なんですね。
都が奈良から平安京に移るのは延暦13年(794年)、比叡山延暦寺が創建されるのは延暦4年(785年)。
それらは建部大社が一之宮になった後になります。
延暦寺の守護神となる日吉大社は、それまでは一地方の地主神を祀る神社でしたから、建部大社には及ばなかったのでしょうね。
ちなみに、建部大社は昭和20年、建部大社の神殿が当時の日本の最高額の紙幣、1,000円札に使われたりしています。
とは言っても、発行された枚数が少なくて幻の千円札なんだそうですが^^;
建部大社のシンボル!一夜にして成長したという三本杉
建部大社は、そんなに広い神社ではありません。
二の鳥居をくぐり、神門をくぐれば、目の前にすぐ拝殿が現れます。
拝殿の前には、三本杉と呼ばれる御神木があります。
しめ縄が施されたこの三本杉、建部大社の神紋にも使われているシンボルなんです。
三本杉には一つの伝説があります。
建部大社では、755年に大己貴命を迎え入れたわけですが、その際に一夜にして成長したといわれています。
大己貴命は、国を守ることを約束された神様ですから、近江に移られてそのパワーがみなぎったのでしょうか?
樹齢は1300年近くになりますが、まだまだ元気そのものです。
手をかざしてそのパワーを頂いてみるのも良いかもしれません^^
本殿・権殿 二つの建物からなる神殿
拝殿の後ろに回ると、日本武尊と大己貴命を祀る社殿があります。
普通なら本殿があるのですが、こちらでは、本殿と
ちょっと変わっていますね^^
権殿は、京都の上賀茂神社などにもありますが、権殿の使い方が上賀茂神社とは全然違います。
上賀茂神社では、権殿は本殿の非常時だったり、建て替えの時に神様に退避してもらうための仮の殿です。
一方、建部大社では仮の殿ではなくて、大己貴命が祀られているんですね。
本殿・権殿共に古い歴史を持つ建物ですが、実は最新の技術も施されています。
なんと、地下に免震装置が設置されているとのこと。
見た目ではどれが免震装置なのかはわかりませんが、神社としてはこれが初の試みらしいです。
本殿の両サイドには、小さな社がたくさんあります。
これらはすべて、建部一族の社殿です。
日本武尊の父親である景行天皇、母親の皇后をはじめ、御妃・御子、日本武尊の遠征に付き従った家臣も並んでいます。
一言守が入った「男みくじ」「女みくじ」
本殿の前には、「男みくじ」、「女みくじ」というのがあります。
おみくじの中には吉凶と説明以外に、漢字一文字の入った「一言守」が入っています。
私達も夫婦で引いてみたら、こんなん出ました^^
男みくじからは「武」、女みくじからは「咲」がでました♪
日本武尊を祀る神社から「武」が出たのは嬉しいですね~^^
隠れパワーストーン!本殿裏に祀られる菊化石
本殿裏には、菊の紋様のような石(菊化石)があります。
これは自然に出来た化石らしいですね。
でも、普通に参拝しているだけでは見つけられません^^;
天皇家の家紋は菊紋ですが、日本武尊は天皇家の中でも武勇伝が語り継がれるほどの人物。
この石に祈ると、真実を見極める眼を頂くことができるそうですよ♪
菊化石は、裏に回っただけでは見ることができません。
木の柵の中を覗いてみてください。
持ち帰りOK♪本殿奥にある山林から湧き出る御神水
神門をくぐって左側には社務所がありますが、その横には御神水が湧きでています。
私は建部大社は何度も訪れているのですが、今までその存在を知りませんでした^^;
社務所横の木に隠れて見えなかったんです。
この御神水の源は、本殿奥の山林から湧き出ているそうです。
柄杓だけでなく、同じ水を引いている水道の蛇口もすぐ横にあるので、ペットボトルで汲むことができます。
宮司さんによると、水質検査の結果も良好で、煮沸せずにそのまま飲めるとのことです。
まろやかな軟水になっていますので、建部大社に来るときは水筒やペットボトルを持ってくると良いですね。
井戸のすぐ横には水琴窟もあります。
水滴が落ちた時に反響でなる音がいかにも涼し気♪
とても気持ちの良い音ですので、ぜひ聞いてみてください。
建部大社の飛び地境内 少し離れたところにある桧山神社
建部大社の境内には、建部大社の北側にある桧山神社の遙拝所もあります。
横に建てられている立て札の説明によると、
この神社は境内御旅山に鎮座し、御祭神 伊邪那美命、大山祇命、息長足姫命、武内宿祢大臣、住吉大神を祀り元熊野神社、山神社(7ヶ所)、鞭指神社の御祭神を合祀して桧山神社と改称された。
平成七年四月本殿改築に伴い江戸時代建立の本殿を解体修理をしてこの地に移築し遥拝所として保存することになった。
とのこと。
元々は桧山神社の本殿があったのですが、山の上に移築したということですね。
「遙拝所」というのは、その神社に向かってお祈りをする場所です。
ここでは、遙拝所の方向に、桧山神社の本殿がある山があります。
桧山神社は建部大社の外で、ちょっと遠いのですが歩いていくことができます。
(徒歩約12~13分位で、車は停められません)
まず、建部大社の一の鳥居を出て真っすぐ進み、交差点を右に曲がります。
そのまま真っすぐ進むと、右側に入口の鳥居があります。
ここを登ると小さな社があります。
これが桧山神社ですね^^
山といっても小さな山ですので、登るのはそんなに大したことありません。
建部大社の御朱印
建部大社の御朱印です。
建部大社の宝物殿では、平安時代の重要文化財で、日本武尊の御妃の女神像と御子の像が安置されています。
正月元旦のみ終日公開されるそうです。
(実際に見てきました⇒元旦にしか見ることができない建部大社の女神像)
拝観料は無料です。