四国といえば、弘法大師 空海の足跡をたどる、四国八十八ヶ所巡りですね。
お大師様は香川県出身なのですが、そのゆかりのお寺が四国に点在していて、それが八十八ヶ所あります。
お大師様の足跡をたどるようにその八十八ヶ所を巡拝することを「四国遍路」または単純に「お遍路」といいます。
そしてそれを巡る人が「お遍路さん」です。
お遍路は一般の人でも気軽にできます。
お遍路の目的は、人によって色々。
健康祈願だったり、縁結びだったり、自分探し、悩み事の解消など、十人十色です。
お遍路をしていると、時には飲み物や食べ物をふるまわれたり、休憩所を提供されるなどお接待を受けることもあります。
そういった、人の親切に触れたりしながら長距離を歩くと、自分の内面と向き合えたり、気づきを得たりして、自己成長に繋がったという人も結構いるんですよね^^
人生に行き詰った、生きづらさを感じる、という人も、四国遍路をするともしかしたら気持ちが楽になるかもしれません。
そんな、四国遍路の一番札所、はじまりの寺となっているのが、徳島県鳴門市にある
地元の人には「いちばんさん」と親しまれています。
霊山寺の概要
霊山寺の開創は、奈良の高僧、行基菩薩。
天平年間(729~749)の頃、聖武天皇の勅願で開基されました。
後に弘法大師 空海が、人間のもつ八十八の煩悩をなくそうと、四国に八十八の霊場を開くことを決心してこの地を訪れます。
この地で修行をしている時、仏法を説く一老師を囲んで僧侶たちが熱心に耳を傾けている光景を目の当たりにしました。
それはまるで、お釈迦様が天竺(インド)の
それで、天竺(インド)の霊山を和国(日本)に移す、という意味で、「竺和山・霊山寺」と名付けられました。
そしてお大師様はここで霊場の開設・成就を祈願され、その時の念持仏であった釈迦誕生仏像を本尊の前に納めたのだそうです。
そのような理由から、霊山寺は四国霊場の第一番札所となっています。
霊山寺の総合案内所ではお遍路グッズが全て揃う
駐車場の横には遍路グッズを専門に売っている総合案内所があります。
何も用意していなくてもここに来たら全て揃えられるようになっています。
お遍路グッズは、他の札所でも販売している場合もありますし、霊山寺でも本堂横や門前市番街でも販売されています。
札所付近にも遍路用品の販売店もありますし、インターネットでも購入できます。
色々なところで売っているので少しずつで買い足すこともできますが、ここで一気に揃えたい人は揃えることができます。
案内所の前にはお遍路さんの格好をしたマネキンが立っています。
日本人マネキンではないので違和感ありますね^^;
でも、お遍路さんの格好を揃えたらこんな感じになります。
必ずしも全部揃える必要はありませんけどね^^
四国ではこの格好で歩いているのも珍しくありません。
まずは形を整えれば、気持ちも入りやすいでしょうね^^
店内はこんな感じ。
私は朝7時すぎに訪れたのですが、既に開いていました。
白装束や
「坂がきつい」ということや、お遍路さん向けに宿を提供していところなどが書かれていて、とても便利そうでした。
ただ、全部揃えるとなると、結構お金がかかります><
でも、全てを揃えないとお遍路が出来ないわけではありませんので、安心してください^^
最初に最低限揃えておきたいものは、線香・ローソク、経本、納経帳、
線香・ローソクは、観光寺のようにお寺で用意されていないので、自分でサッと出せるようにしておいた方が良いです。
また、他人が捧げたろうそくから火を貰うのもダメなので、ライターやマッチも必要です。
四国遍路では本堂や大師堂で般若心経などのお経をあげますが、その時に経本が必要です。
お遍路の案内本などで、お経や真言が書かれたものを持っていれば、それでもOKです。
納経帳は四国遍路専用のものが販売されています。
納経帳の中には写真があるものや、挿絵があるもの、何もないものなど色々あって、普通はその辺が選びどころですが、歩いて周る方は更に、納経帳の重さや大きさ、カバーの有無なども考えておきます。
お店のおばちゃんに教えていただいたのですが、歩いて周るなら雨が降る場合も考えて、カバーはあった方がよいのだとか。
私はこちらにしました。
四国遍路の納経帳は大き目のものが多いのですが、こちらは普通の御朱印帳サイズ。
ビニールカバーもついています。
中身は札所ごとにページが用意されていて、隣には挿絵と御詠歌が書かれています。
御朱印を頂くと、お寺の御本尊が描かれた
霊山寺で簡易的に紙袋が頂けますが、専用の御影帳も販売されています。
私は購入しなかったのですが、ネットでも同じものが販売されていました。
ネットの方が安いですね^^
「
こういうものです。
サイズは縦約15.5cm、横約5cmほどのもので、参拝した日付、住所、名前を書いて、各霊場の本堂や大師堂の納札入に納めます。
これは、お遍路用の名刺のようなもの。
お遍路をしていると、道中で地元の人に接待を受けることもありますが、その時にも納札を渡します。
110円くらいで200枚の束になっているので、購入しておくと良いでしょうね。
金剛杖は、弘法大師の化身とされています。
それを持つことで
「同行二人」というのは、お大師様がいつも傍らにいらっしゃるということ。
自分よりも大切に、丁重に扱わなければいけません。
以上、これだけは最初に揃えておきたいですね^^
そして、できれば欲しいのが、礼拝の正装具とされる輪袈裟(首からかけているやつ)。
白装束や管笠よりも先に、輪袈裟は購入しておきたいですね。
四国遍路の入り口、発心門
お遍路に必要な道具を揃えたら、駐車場のすぐ横にある発心門をくぐります。
四国の霊場は、人生に例えて
- 阿波の国(徳島)の霊場⇒発心の道場
- 土佐の国(高知)の霊場⇒修行の道場
- 伊予の国(愛媛)の霊場⇒菩薩の道場
- 讃岐の国(香川)の霊場⇒涅槃の道場
といわれます。
この門は、発心の道場の中でも最初の場所。
くぐれば、長い修行の旅となる四国遍路の第一歩を踏み出すことになります。
入る前に気持ちを整えてくぐりたいところですね^^
発心門をくぐるとすぐ、霊山寺の門前に出ます。
風格のある仁王門で、キリッとしたお顔立ちの仁王さんが立っています。
仁王さんの前には再びお遍路マネキンが置かれています。
正直、この門はせっかく古刹らしい風格があるのに、邪魔だな~と思ったのですが、他の霊場にはマネキンは立っていないので、いちばんさんだからこそ見れる名物と考えると良さそうですね^^
山門をくぐる時は、門前で合掌、一礼してから入ります。
入ったら手水舎で手と口を清めます。
様々な縁の結びつきに御利益のある縁結び観音
仁王門からはいってすぐ、縁結び観音がいらっしゃいます。
この観音様は男女の縁はもちろん、健康との縁、幸せとの縁、仕事との縁など、幅広く縁の結びつきに御利益があるとされています。
特に、水でお清めしながら祈ると、さらに功徳が得られるのだとか。
手水舎の横にあって、手水を済ませると通り過ぎてしまいそうですが、忘れずに願い事を祈願しておきたいですね。
霊山寺の境内は、多宝塔に泉水池など、見どころいっぱい
仁王門をくぐると泉水池に橋がかかっており、左手には多宝塔、右手には池越しに大師堂が見えます。
ここで早速お遍路注意報。
橋の上で杖をつかないということ。
四国遍路では、橋の下でお大師さんが御眠りになられていると考えられています。
杖をついて起こしてはいけませんね^^;
何気に渡ってしまいそうになりますが、橋には気をつけなければなりません。
そして泉水池には、鯉がたくさん泳いでいます。
池には、蓮から赤ちゃんが生まれてきたかのように表現された像がいくつか並んでいます。
四国巡礼の発心の寺らしい像ですね^^
お地蔵さんも旅立ちの姿をしていらっしゃいます。
池の向こうには大師堂があって、弘法大師さんが安置されていますが、まずは本堂から参拝するのが習わしなので、ひとまずここはスルーします。
池の反対側には、大日如来の五つの智恵を表す「五智如来」を祀る多宝塔があります。
霊山寺のシンボルになっていて、歴史を感じる多宝塔ですが、天正十年(1582年)、長宗我部元親の攻撃で堂塔は炎上してしまいました。
現在の塔は、その後に阿波藩主・蜂須賀光隆公によって再建されたものになっています。
ちなみに、明治二十四年(1891年)にも霊山寺は出火により、本堂と多宝塔以外を残して焼失しています。
なので多宝塔は、本堂と並んで600年近い歴史を持つ、数少ない遺構となっています。
四国遍路 初のお参りで緊張続出の本堂
境内の一番奥にあるのが本堂です。
堂内には釣り燈籠がたくさん奉納されていて、幻想的な空間になっています。
暗くて写真では撮れませんでしたが、天井を見上げると、龍の天井画もありました。
ここについたらまず、納札入に納札を納めます。
そして線香を3本(三密を表す)、ローソクを1本捧げます。
ここでまた一つお遍路注意報。
他人のローソクから火をもらわないこと。
他人のローソクから火を貰ってしまうと、その人の「業」を貰うとされています。
徳を積みに来ているのに、業を貰ってしまっては残念ですよね^^;
線香、ローソクを済ませたらお賽銭を入れ、読経に入ります。
暗記していても、お経をありがたく拝観させていただきながら読むと良いそうですので、経本は使った方が良いそうです。
初めて読経する方は緊張でしょうね^^
私は他の霊場で読経したことはありますが、四国霊場は初めてなので、少し緊張しました^^;
手順は四国八十八ヶ所霊場会の読経作法のページに書かれていますので参考にしてみてください。
本堂で読経を済ませたら、大師堂でも同じ作法でお参りします。
その後、納経を頂き、門前で合唱一礼すれば終了です。
不動明王や十三仏もいらっしゃいます
札所としての巡拝は上のようにすればOKなのですが、山門から本堂に向かう途中には不動明王を祀る不動堂や、十三仏を祀る十三仏堂があります。
こちらはお不動さん。
自然の岩の上に乗っています。
アニメチックなかわいいお不動さんですね^^
そして、その横にある十三仏。
こちらは、故人の追善供養のための仏様。
初七日から三十三回忌の合計十三回の仏事に、十三仏を本尊として祀ります。
十三仏の信仰に関しては、こちらにも書きました。⇒京都十三佛霊場とは?
故人への供養のために四国遍路をしている方は、こちらもお参りするとよいですね。
霊山寺の御朱印
霊山寺の御朱印です。
御朱印と一緒に御影も頂けます。
今回は御朱印帳をここで購入しましたし、最初のお寺なので紙の御影袋もついていましたが、基本的には裸のまま渡されます。
なので、御影帳も購入しておいた方が良いかもしれません。
ただ、持ち歩くとなると大変なので、巡礼中は簡易袋にいただいて、家で保存しておく、という形が良いかなあと思います。
集めた御影は家宝にすると良いそうです^^
おみやげも買える!山門前にある門前一番街
山門の前には、お遍路グッズやおみやげ、休憩処のある門前一番街があります。
そんなに広いわけではありませんが、6時から17時までと、早くから開いています。
ここで徳島名物の「鳴ちゅるうどん」と、門前一番街名物の「あわくった」も頂けるとのことなので、ここで食べてから次に出発しようと考えていました。
しかし、私はここに来たのが7時で、軽食はまだやっておらず、店員さんに聞いても「9時くらい?」とあいまいな答えが・・・
なので残念ながら食べられませんでした^^;
あわくったのサンプルだけ置かれていたので、それだけ写真を撮りました。
せっかく焼きたてを食べたかったのに、残念です><
あとで口コミを見てみると早くから開いている場合もあるようですので、たまたまだったのかもしれませんが、早朝にここで腹ごしらえをして出発、と考えている方はご注意くださいね^^
霊山寺では、毎年3月21日から10日間、
そして、お遍路さんに果物やお菓子を接待してくれます。
この風習は昔からあるそうで、この期間は賑やかになるそうですよ^^
そして、二番札所 極楽寺まではここから約1km。
車で5分ほどの距離です。
続けて行くことができますね^^