京都の東山に、青蓮院門跡の飛地境内となっている「将軍塚」という場所があります。
そこに、「青龍殿」という大護摩堂が2014年10月に落慶しました!
それを記念して、日本三不動の1つに数えられる国宝「不動明王二童子像(青不動)」が御開帳されています。
同時に東山の青蓮院門跡の方では、その青不動が描かれた平安時代のお姿を、科学調査の結果を基にした復元模写が初公開されています。
期間は2014年10月8日(水) ~ 12月23日(火・祝)まで。
青不動は、平成21年に青蓮院開創以来初めて公開されたほどで、なかなかお目にかかれない秘仏です。
それから3年かけて修理を行い、今再び特別開帳となっています。
元々は朝廷で祀られていたほどのもので、信仰上もさることながら、美術史上でも平安仏画の傑作と言われているものです。
というわけで、オープンしてまもないですが、早速将軍塚・青蓮院に行ってきました。
将軍塚って何?
将軍塚は東山の山上にあります。
将軍塚の周りには、展望台や庭園が広がっています。
秋には紅葉もあり、夜景もきれいですので青不動だけでなく見どころいっぱいの場所です。
上の写真が山の上にある「将軍塚」です。
上から見ると円墳になっているのがわかります。
円墳というと誰かのお墓かと思ってしまいますが、これはお墓ではありません。
実はここは、平安京のはじまりの地とも言える場所なんです。
平安京は794年、桓武天皇によって造営されました。
その前は長岡京にいたのですが、長岡京に変わる都の場所を探していた頃、朝廷で実務官僚をしていた
この場所は昔から京都盆地を見下ろせる場所になっているのですが、清麻呂はここから盆地を見下ろしながら「ここが都の場所にふさわしい」ということを進言しました。
桓武天皇はその提案にしたがって平安建都に着手したんです。
天皇はその際に都を鎮護するため、ここに塚を作り鎧甲を着た高さ2.5mの将軍像を作って埋めるよう命じたのです。
それが「将軍塚」です。
この将軍塚には伝説があって、国家の大事の時は鳴動したということが、「源平減衰記」や「太平記」に書かれています。
青龍殿は将軍塚の隣に建っています
上の写真が、近くにある展望台から見た青龍殿です。
将軍塚の真横に建っています。
そもそも「青龍殿」という名前ですが、この地に建てるお堂としてはピッタリの名前ですね^^
八坂神社のところで紹介した四神信仰と青不動をかけているんでしょうね。
四神信仰の考え方では、方角を司る神が東西南北にいる場所にある都は栄えるのだとか。
京の都はそれを満たす、四神相応の地となってるんです。
そうすると、東の方には「青龍」という龍神がいることになります。
そして、青龍殿に祀られている青不動。
丁度、「青」が一緒ですし、「青龍=青不動」と見立てているのかもしれませんね^^
そして、同じように国家守護を目的とする将軍塚。
青龍と役割がピタリとマッチします。
青龍殿は、
- 約千人を収容できるほど広い外陣
- 護摩を焚いて御祈祷を行う内陣
- 青不動明王を安置する奥殿
- 外に張りだす大舞台
の構成になっています。
大舞台には建物を回り込んで自由に行くことができますが、青龍殿内で私達一般人が入れるのは、外陣まで。
お堂内での撮影は禁止です。
なので写真は撮れませんが、パンフレットから拝借^^
※画像:パンフレットより
青不動は、11世紀半ば頃に描かれた、203.5 × 148.4cmの大きな仏画です。
元々は国家の安泰や皇室の安寧のために描かれたものなので、宮中に祀られていたんです。
青蓮院は「門跡」とつくように、皇族・貴族が住職を務める寺院なので、皇室とは縁が深いわけですが、その縁があって青蓮院に下賜されたのだそうです。
不動明王は、五色(青・黄・赤・白・黒)のうちいずれかを配せられる場合がありますが、青は方位にすると中央になり、不動明王の中でも最上位にあたります。
そのせいもあって、この青不動の仏画は、後に作られる不動明王画のお手本になっているものです。
不動明王の特徴については、こちらに書きました⇒不動明王の特徴
本物の青不動は、実際に行ってみると護摩壇の前の明るい場所に置かれているので、良く見えます。
姿形は一番上に載せたパンフレットの写真そのまんまなのですが、バックの
パンフレットだと一見、迫力のある不気味さみたいなものがあると想像していたのですが、明るいところなのでそんなに不気味には見えませんでした。
でも、青蓮院ではもう少し秋が深まる頃にライトアップが始まります。
そんな夜に見たらもっと不気味に見えるかもしれませんね^^
京都市内を見下ろせる絶景の大舞台
将軍塚は、以前から京都市内を見下ろせる絶景スポットとして有名でした。
将軍塚の隣に西側が見える展望台がありますが、青龍殿の裏にある大舞台も北側が見える展望台になっています。
青龍殿の横から奥の方へ向かうと、大舞台に行くことができます。
この大舞台、有名な清水寺にある「清水の舞台」の4.7倍の広さがあります。
そして京都市内を一望できる高さも未だかつてない高さで、広い範囲を見渡せます。
写真では、京都御所、賀茂川、平安神宮の大鳥居等が見えます。
少し東に移動すると、吉田山のほか、更に遠くには五山の送り火の「妙」「法」の山が見えます。
また更に東に移動ると、金戒光明寺や南禅寺の三門、比叡山が見えます。
京都を一望できる場所はいくつかありますが、これだけ広範囲を見渡せる場所はそうそうないですね♪
青不動の御朱印
青龍殿内では青不動の御朱印を頂くことができました。
特別御開帳中なので、「御開帳記念」という印が押されています。
臨時の駐車場はあるので車では行けるのですが、電車では行けません。
その代わり、特別ご開帳中は青蓮院の門前からシャトルバスが出ています。
バスは30分に1回出ていて、片道100円。
拝観料は、将軍塚が1,000円、青蓮院門跡が500円ですが、共通拝観券が1,300円で販売されています。
往復のバス代と合わせると1,500円ですね^^
私はそれで行ったのですが、共通拝観券を購入すると拝観券とバス券、パンフレットの他に、青不動の絵が書かれた散華と、青不動にお願い事を書くための散華がついてきました。