京都国立博物館でが「国宝 鳥獣戯画と高山寺」展は連日大盛況らしく、平日でも連日30分~50分待ちになっています。
私が行った日は雨だったので、少しは混雑がマシになるかなあ?と思っていたのですが、連休中だったので、そんなことありませんでした(≧▽≦)
ものすごい行列です!
開館より15分くらい前についたのですが、すでに駐車場は満車。
そして館外で80分待ち、館内の鳥獣戯画「甲巻」の前で30分待ちの状態でした。
混雑がおさまる気配のない鳥獣戯画展ですが、前期展示がそろそろ終わるので、その前にと思い行ってきました。
下は展覧会のリーフレットです。
鳥獣戯画とは?
鳥獣戯画は、平安時代から鎌倉時代に描かれ、京都の高山寺に伝わった絵巻物で、現在は甲巻・乙巻・丙巻・丁巻の全4巻あります。
全て合わせると全長55メートルもあって、誰が描いたのか、どういう目的で描いたのか、なぜ高山寺に伝わるのかもまだわかっておらず謎の多い絵巻物です。
甲・乙巻は同一作者と考えられていますが、丙や丁はそれぞれタッチが違いますので、丙は甲・乙が描かれてから数十年後、丁はさらに後の時代に描かれたと考えられています。
そんな鳥獣戯画ですが、明治以来約130年ぶりの修理に入り、4年の修理期間を経て今回の公開となったんです。
※「国宝 鳥獣戯画と高山寺展」で購入したポストカードより
上の絵を見たことのある人は多いと思いますが、鳥獣戯画の甲巻の中に描かれている一場面です。
兎と蛙が相撲をとっている、というような場面ですね^^
こちらは猿のお坊さんが蛙の仏様にお経をあげているのでしょうか?法会を行っている場面です。
このように、動物たちが擬人化されて人間と同じようなことをしている様子がコミカルに描かれているのが鳥獣戯画です。
現代のかわいい文化にも通じるファンタジー絵巻物ですね^^
丙や丁では人間たちが登場して同じようにが、やっぱり人気なのはユーモアあふれるタッチの甲巻、乙巻が人気です。
写真では今までたくさん見てきましたが、本物は写真で見るよりもキャラが大きく感じて、どの巻も雰囲気が違いました^^
より躍動感があふれているように見える、という感じです。
人が描いた感が直に感じられるのは鑑賞する上で大きなことですね♪
修正も実に見事で、修正前は紙の毛羽立ちや折れでかなり傷んでいて、料紙の波打ちもひどかったのですが、今まできれいに保管されていたと思わせるくらい見やすいものになっていました。
ただ残念なのは、甲巻を見る前に長蛇の列になります。
この展覧会は、最初に高山寺の寺宝を紹介して、最後のトリで鳥獣戯画が見れるのですが、鳥獣戯画の最初「甲巻」の部屋に入る前に蛇腹式の列に案内されます。
私が行った時の場合は30分待ちだったのですが、もっと待つこともあるようです^^;
館内に入って鑑賞中にさらに待つことになるとは思いませんでしたね><
その合間に見れるものは何もないのですが、救いは入館してすぐに借りれる(520円)イヤホンガイドです。
イヤホンガイドには待ち時間用に聞けるボーナストラックが5、6つ用意されています。
最初に借りておくことをお勧めします。
高山寺の名宝も見逃せない!
今回の展覧会は、鳥獣戯画にばかり注目しがちですが、高山寺所蔵の寺宝も見逃せません。
高山寺を開いたのは、鎌倉時代前期の華厳宗の僧侶、
高山寺には明恵上人に関わる寺宝が多く、今回の展覧会も明恵上人の生きざまが感じられる宝物が多数展示されているので、明恵上人のことを知っておくとより感慨深いものを感じることができます。
明恵上人は、9歳で高雄山・神護寺で住職をしていた叔父のもとで仏門に入り、19歳で華厳宗大本山である東大寺で華厳を学び、具足戒(出家者が遵守すべき戒)を受け、エリートコースを歩む僧となります。
その後、勧修寺の興然から密教を学んだり、臨済宗の開祖、栄西から禅を学んだり、色々学んだ上で華厳と真言密教を融合した「華厳密教」という独自の教学を確立します。
なので、釈迦に憧れながらも密教を実践する、という不思議な感じがするんですよね。
でも明恵は、俗人が理解しやすいように色々と工夫して教えを説いていたので、多くの人に慕われていたようです。
※「国宝 鳥獣戯画と高山寺展」で購入したポストカードより
上の画像は国宝の「明恵上人樹上座禅像」という、明恵上人の肖像画。
普通の肖像画と違って背景が目いっぱい描かれています。
木の上で明恵上人が静かに座禅を組んでいますが、この絵では明恵上人が自然の中に溶け込んでいます。
人間中心ではなく「自然の中で共に」という思想が感じられる絵になっています。
「生きとし生けるものは全て仏性を持っていて、全てが等しい存在である」
という華厳の思想が生きていますね^^
鳥獣人物戯画は未だ多くの謎がありますが、高山寺では本尊のように大切にされてきた歴史があります。
それは、このような思想が反映されているからなのかもしれませんね^^
鳥獣戯画展は他県からもたくさん人が訪れるほど人気のある展覧会ですが、とにかく並ぶことを覚悟することが必要です。
平日でも平気で並びますし、駐車場は朝から満車になりますので、公共交通機関で行った方が良いでしょう。
そして、観覧後にあるショップでも、レジ待ちの人ががくさん並んでいます。
クリアファイルもいくつか種類がありますし、ポストカードはおそらく鳥獣戯画がおそらく全場面があったと思います。
そして鳥獣戯画のパッケージの八ツ橋や金平糖があったり、鳥獣戯画ラベルが貼られた佐々木酒造の吟醸酒(音声ガイドを担当されている佐々木蔵之介さんの実家です)があったり、お土産物として購入できそうなものもあります。
並べると鳥獣戯画の絵巻図になるトランプや、スタンド付きのミニ絵巻物、鳥獣戯画の御朱印帳などもありました。
とにかく鳥獣戯画はデザインとして使いやすいものなので、ついつい買ってしまいたくなるグッズが多いんですよね。
散財する覚悟がいるかもしれません^^;
鳥獣戯画展は11月24日(月・休)までとなっています。
また、となりの平成知新館では「京へのいざない」の2期が行われています。
こちらもものすごい文化財が拝観できますので、こちらも訪れてみて下さい。