10月10日~11月23日まで、大津市歴史博物館で「比叡山 -みほとけの山-」が開催されています。
比叡山は広くて、山内には観光で有名な諸堂以外にも里坊がたくさんありますし、山を下りれば関連寺院もたくさんあります。
天台宗の総本山にして日本の仏教に大きな影響を与え、今でも仏教界をリードする大きな寺院です。
何より歴史も濃いので、比叡山のことを学ぼうとすると、ボリュームが結構あってちょっと大変なのですが、今回の展覧会はそんな比叡山のことが学べる良い機会です。
特に大津市歴史博物館は、毎回一つ一つ丁寧な説明をつけてくれるので、結構勉強になるんですよね。
昨年この時期にやっていた、「三井寺 仏像の美」では、本などではわかりにくい三井寺の背景も勉強できました。
今回の「比叡山-みほとけの山-」は、初公開となるものが多いのも特徴。
これは見ないわけにはいきません^^
こちらが展覧会のポスター。
このエキゾチックな千手観音は、延暦寺が所蔵している観音様。
こういう珍しい観音様も所蔵していらっしゃるんです。
比叡山は1571年、織田信長に焼き討ちされてしまいますが、それでかなりの大打撃を受けました。
そういうこともあって、それ以前のものはほとんどないのではないか?と思っていましたが、意外とあるもんです^^
さすがは巨大な霊山ですね。
比叡山の麓にあたる、大津市坂本にある里坊寺院や、東谷、北谷の寺院や、比叡山と関係の深い日吉大社などからの出展も多く、こういうゆかりのある寺院があるんだと勉強になります。
坂本の行ってみたい寺院も増えました^^
そして密教寺院なだけに、不動明王のバリエーションが多く、重厚なものから端正なものまでありました。
特に、大日如来から不動明王に変身中?という感じの掛け軸が印象的でした。
不動明王なのに、如来のように黄金に輝いているんですよね^^
そして、阿弥陀如来や地蔵菩薩も意外とたくさん。
浄土宗も比叡山から生まれていますから、浄土信仰の影響も大きいのでしょうね。
阿弥陀如来や地蔵菩薩は普通、どれも同じようなものが多くて、見どころを見つけるのは難しいです。
明王系や四天王の方が迫力があるので、どうしても見やすさの面ではそちらの方に目が行きがちですよね。
でも今回展示されている阿弥陀如来や地蔵菩薩など、普段おとなし目な仏像達は、顔の形が見とれてしまうほどきれいで端正なものばかりなのに、どこか個性的。
つい長々と見てしまうほどの像が多くありました。
博物館の説明も、特徴的な部分を丁寧に解説しているので、それも理由にあるのかもしれません。
仏像の見方を勉強したい人にも良い展覧会ですね。
それ以外にも、ものすごく動きのある四天王像や、体躯は立派なのに目だけがウルウルと可愛らしい毘沙門天、両手を前に差し出して浄土からお迎えに来た観音菩薩などもありました。
仏像だけではなく、叡山文庫の古文書や絵図なども多数展示されています。
中世の地図や、山内寺院の配置が細かく書かれた図などもあって、焼き討ち後に多くの人がその復興に尽力を尽くしたのか、またかつて山内の規模がどれほどのものだったのか、など、興味深い内容になっています。
なかなかオススメな展覧会ですよ^^
ちなみに、平成28年は比叡山を開創した伝教大師 最澄のご生誕1250年、そして、比叡山から浄土念仏法門を大成された恵心僧都源信の1000年御遠忌の年。
もしかしたら比叡山や里坊で何かイベントがあるかもしれませんね。