大津市歴史博物館

三井寺のすぐ近くにある大津市歴史博物館では「三井寺 仏像の美」という企画展が開かれています。

今年は三井寺の中興の祖である智証大師 円珍の生誕1,200年に当たる年なんですね。

それに合わせて三井寺では文化財収蔵庫がオープンしたり、秘仏公開が行われたりなど、色々なイベントが行われています。


秘仏公開多数!智証大師 生誕1200年慶讃大法会中の三井寺を訪れました。

大津市歴史博物館も三井寺のすぐ近くにあるだけあって、三井寺とのつながりが強く、連動して三井寺の企画展を行っているようです。

展覧会のポスターはこのようになっています。

三井寺 仏像の美

護法善神に毘沙門天、地蔵菩薩に不動明王、どれも立派な仏像ですね^^
特に中央のものすごく力強さを感じる不動明王は、鎌倉時代に慶派の仏師によって彫られたもの。
慶派らしい迫力のある仏像ですね^^

ポスターに立派な仏像をこれでもかと出していますが、実は三井寺の仏像は層が厚い!
まだまだ立派な仏像がたくさんあります。

今年の三井寺のイベントととこの企画展とで合わせて多数の素晴らしい仏教美術に出会えますので必見です。

三井寺にはなぜ優れた仏教美術があるの?

三井寺のことを知らない人は結構多いと思いますので、ちょっとだけ紹介^^

滋賀県大津市にある三井寺の正式名称は園城寺(おんじょうじ)
歴史の舞台にも数多く登場する、天台寺門衆の総本山です。

実はかつて日本四箇大寺(残り三つは東大寺、興福寺、延暦寺)の一つに挙げられていました。

日本の天台宗の祖といえば伝教大師 最澄ですよね。
ただ、最澄は密教の習得が不十分だったので、教えとしてはまだ不安定なものでした。

そんな最澄亡き後に、唐に渡って本場の密教を学んだのが慈覚大師 円仁智証大師 円珍です。
この二人が天台宗の教学を確立させました。

天台宗では、最澄、円仁、円珍を「天台三聖」と称しています。

三井寺は、円珍が比叡山延暦寺の第五代 天台座主に就任した際、唐から請来した貴重な経典や仏画などを置く天台別院として整えたお寺です。

そのようなルーツがあるので、優れた仏教美術が三井寺で育まれたわけですね。

仏像に仏画、曼荼羅。見どころ多数!

この展覧会では、三井寺と門前周辺に伝来する優れた仏像や仏画、曼荼羅、円珍が請来した経典などが展示されています。
その中で一番注目なのは、国宝 五部心観です。

五部心観
画像:「三井寺 仏像の美」のリーフレットより

五部心観は、円珍が唐から請来した19メートルほどある巻物で、上の画像はほんの一部分。
金剛界曼荼羅に描かれている五部(仏部,金剛部,宝部,蓮華部,羯磨部)の諸尊について一つずつ取り上げた解説書のようなもの。

実際には、上の画像の左側の部分がずらっと並んでいました。

上段に各尊像を、中段にはその尊像の真言を梵字で、下段に三昧耶形と契印、尊名の梵字を書いています。
これを見て密教の修行をしていたのでしょうね^^

この五部心観、唐時代の密教関係の原本の1つなのですが、そういうものは現在、世界的にもほとんど現存しないものになっています。
なのに三井寺ではほぼ完全形に近い状態で存在するわけです。

なので三井寺では通常は厳重に保管していて、三井寺の僧侶でも普段は全く拝することができないそうなのです。
開けるのにも儀式が必要なのだとか。

そういうものが今回の展覧会で惜しげもなく見れてしまうところがすごいですね^^

仏像の作風も多彩でした。
リーフレットに写真があるものを紹介します。

全体的に太さがあって重厚感のある千手観音像。

千手観音

なぜ三井寺に?と思うようなエキゾチックな清涼寺式釈迦如来。

清涼寺式釈迦如来

毎年護法善神堂の前で行われる千団子祭の時にのみ開扉される、護法善神像。

護法善神

護法善神は智証大師が子供の頃と 入唐後にその姿をあらわした「訶梨帝母」という女神で子供を守る神。
以前から拝見したかったのですが、まさかここで見れるとは思いませんでした^^

そして、こんな可愛らしい像も。

三井寺 愛子立像

こちらは、護法善神像の足元に置かれているという愛子(あいし)立像。
お花畑を駆け回っているようですね^^
こういう子供の像があることで、護法善神の子供を守るというご利益が引き立つような感じがします。

他にも不動明王が豊富で、リーフレットに出ているような完成度の高いものがあったり、ゴツゴツとした顔のものがあったり、カッと目を見開いたものがあったり、作者や時代が違うとこんなにも違うのかと感じられました^^
このような完成度の高い仏像がたくさんあるのは、さすが日本の仏教文化をリードするお寺だなあという感じでした。


三井寺では現在、日本三不動の1つ「黄不動」や、33年に一度御開帳される西国三十三所霊場の如意輪観音、そして国宝に指定されている智証大師坐像(中尊大師・御骨大師)など、普段見れない秘仏が一気に公開されています。


秘仏公開多数!智証大師 生誕1200年慶讃大法会中の三井寺を訪れました。

そして、通常は非公開の国宝・勧学院客殿・光浄院客殿も公開される(11月7日から)という豪華さ!
終了日時はそれぞれ違うのですが、11月23~24日あたりまでの公開となりますので、訪れる場合は三井寺の公式サイトを確認してみて下さい。

「三井寺 仏像の美」も11月24日までとなっています。
一緒に観覧すると良いですね^^

博物館からの景色も、琵琶湖や向こう岸の近江富士が見えてきれいでした♪

大津市歴史博物館