京都国立博物館に新しい常設展示館「平成知新館」が9月13日にオープンしました!
それに伴って、オープン記念の特別展「
京博史上、今までにない規模で京都を代表する国宝や重文が揃った豪華な展覧会になっているのですが、常設展示場なのでなんと520円で見れてしまうというとんでもないほどお得な展覧会です!
展覧会は1期と2期に分かれていて、
- 第1期:9月13日(土)~10月13日(月・祝)
- 第2期:10月15日(水)~11月16日(日)
となっています。
全期間展示されているものもありますが、1期では1期でしか見れないもの、2期では2期でしかみれないものもありますので、どちらも行っておきたいところです。
というわけで早速、1期の初日に行ってきました♪
新しくなった平成知新館
上の写真が、オープンした平成知新館です。
中は3階まであって、1階から3階まで展覧会に使われています。
館前は水辺になっていて、入口からは水辺と京都タワーがコラボする景色。
反対側から特別展示館の明治古都館を見た風景も素晴らしいです。
外にテーブルとイスが用意されていて、サンドイッチを食べている人もいました。
中にはレストランもあるのですが、こうやって外で食べるのも気持ち良さそうですね^^
館内は撮影できないので紹介できませんが、気持ち良く見れる良い博物館になっていました。
今回は1階が仏像展示になっていたのですが、2階に登る階段から見下ろせる場所があって、そこから個性豊かな仏像達がずらっと並ぶ様子が見えてカッコイイ!
私は開館時間の9時半から行ったのですが、既に人がたくさん来ていました。
でも、ゆとりを持って全作品見れるようになっていて、適度にベンチがあって休憩もとれます。
やっぱり新しいところは良いですね^^
展覧会の内容
第一期の展示テーマは以下のようになっています。
- 彫刻:京都の平安・鎌倉彫刻(全期間展示)・・・1F
- 絵巻:国宝絵巻の美(第一期展示)・・・1F
- 書跡:古筆と手鑑(第一期展示)・・・1F
- 染織:小袖の美―みやこのモード―(第一期展示 ※10月19日まで)・・・1F
- 金工:神秘の仏具(第一期展示)・・・1F
- 漆工:古神宝と仏の荘厳(第一期展示 ※10月19日まで)・・・1F
- 特別展示室:肖像画(第一期展示)・・・2F
- 仏画:浄土教信仰の名品(第一期展示)・・・2F
- 中世絵画:幽玄の美―山水画の世界―(第一期展示)・・・2F
- 近世絵画:京のにぎわい(第一期展示)・・・2F
- 中国絵画:宋元絵画と京都(第一期展示)・・・2F
- 陶磁:京焼(全期間展示)・・・3F
- 考古:金・銀・銅の考古遺宝(全期間展示)・・・3F
となっています。
詳しくは京博の公式サイトに展示作品リストがありますので、そちらをご覧下さい。
それにしても、ほとんどが第一期展示なので、第二期展示は全然違うものが登場するということですね!
ますます第二期も行かなければならなくなりました^^
今回の展覧会で、ポストカードや図録から紹介できそうなものを3つほど紹介します。
宝誌和尚立像
強烈な印象を覚えた仏像がこの、西往寺の宝誌和尚立像(重文)。
最初、何かのミスかと思ってしまいました。
一見、どうなっているのかわかりにくいですが、和尚の顔が割れ、中から十一面観音が覗いているという姿です。
宝誌和尚は中国の高僧なのですが、時の皇帝が宝誌和尚の姿を忠実に描くようにと絵師に命じました。
すると、和尚の顔が割れて、中から十一面観音が出てきたのです。
十一面観音は色々な姿に変化する観音なのでどんどん変化していき、結局は絵師達は絵に描けなかったのだそうです。
まさに映画の「トータルリコール」のような仏像ですね^^;
餓鬼草紙
絵巻の方に行くと、一遍聖絵や法然上人絵伝など高僧の生い立ちや活躍を描いた絵巻物と並んで、餓鬼草紙(国宝)という面白い巻物がありました。
これは、餓鬼道に落ちた餓鬼たちでも、仏法に従ってやり直せば成仏できる、ということを描いたものの一部分です。
また、釈迦の十大弟子の目連が、餓鬼道に落ちた母を救ったという、お盆の起源にもなった物語も描いているのだとか。
実際の作品はもっと長くて、博物館ではそれを見ることができます。
目連の話の部分は勉強不足でわかりませんでしたが、旅人の足から地面に落ちた汗を舐めるほど欲していたほどの餓鬼が、だんだんと仏の前に座って話を聞くようになり、次第に成仏に導かれる様子が時系列で描かれていました。
こういう絵巻物で、来世は餓鬼道に落ちるほどの罪を犯した人も救っていたのかもしれませんね^^
伝・源頼朝像
私が今回の展覧会で一番見たかったのが、神護寺に伝わる伝・源頼朝像(国宝)です。
京都の神護寺が所蔵する寺宝で、昔から教科書にも載っているので誰でも一度は見たことのある作品だと思います。
鎌倉前期の大和絵肖像画の代表的傑作とも言われているんです。
実際に見てみると、143.0×112.8cmという、思ったよりもかなり大きな肖像画でした。
大きいので髭や髪の生え際も一本一本細かさが良く見えますし、細い線で繊細な描写をしていました。
華や輪郭などの曲線がきれいで、リアル感のある顔でしたが、それに対してに装束は折り紙を着ているかのような直線的な固い装束になっています。
これは、平安末期から流行した
一緒に並んでいた伝・平重盛像や鳥羽天皇像なども大きな肖像画で、近くで見るだけでなく、遠くから見ても圧巻でした。
他にも、いろいろ紹介したいものはありました。
例えば、入ってすぐ目に入る、大阪の金剛寺のご本尊、丈六の大きな大日如来像(重文)と、その脇侍の不動明王坐像(重文)。
座っていても3m余りの高さと、とにかくでかい上に、間近まで寄れるので圧倒される作品ですが、不動明王の忿怒の顔がマシュマロマンみたいでどこかかわいいんですよね^^
もう一体の脇侍、降三世明王は奈良国立博物館で見たのですが、そちらも圧倒させる迫力とかわいさが両立していました^^
ポストカードがなかったのが残念です^^;
そして、世紀の問題作とよばれている、退蔵院の瓢鮎図(国宝)は、禅問答のような作品で、このような本が出るほど謎の多い作品です。
画題は、禅への傾倒の深かった室町幕府4代将軍、足利義持の問いかけを反映したもので、その辺の背景を知っていると興味深い作品です。
そして書跡では、古今和歌集巻第十二残巻〈本阿弥切〉(国宝)が印象に残りました。
何が書かれているのかは読めませんが、台紙のデザインとマッチした流れるような筆跡、そして空間のとり方などが組み合わさって、キレイなんです。
書跡で「キレイ」と思ったのは初めてですね^^
読むためのものであるのと同時に「見る造形」でもありました。
こんな風に、とにかく見て印象に残るものがたくさん!
私はゆっくり見るタイプなので、開始の9時半から行って、博物館から出たのは15時頃でした^^;
そんなに時間がかからないとしても、じっくり見るためにも早めの時間に行くのがオススメです。
第二期が楽しみです♪