派 京(みやこ)を彩る

京都国立博物館で、琳派誕生400周年を記念した展覧会「琳派 京(みやこ)を彩る」が行われています。

「○○派」というと、「狩野派」のように親から子へ、師匠から弟子へと技術を受け継いでいるように思われるかもしれませんが、「琳派」に限ってはそういう派閥が具体的にあったわけではありません。

琳派が誕生したのは今から400年前、京都の鷹峯という場所に、琳派の祖となる本阿弥光悦が土地を拝領し、芸術の為の村を作ったのが始まりとされています。

そして、その本阿弥光悦に才能を見いだされたのがもう一人の琳派の祖、俵屋宗達。

この二人が生みだした作品が、100年後に尾形光琳や乾山兄弟に影響を与え、発展します。
さらに100年後、酒井抱一などがさらに影響を受け、広がりをみせたのです。

琳派作品は、絵画、書、陶芸、漆芸、染織など、多彩なジャンルに広がっていて、現代にも琳派作品を作り続けている作家はたくさんいます。

このように、時代を超えて顔を見たこともない師匠の技術や意匠を踏襲しつつも、独自性を加えて再構成されたものが琳派の作品です。

琳派は京都の地で脈々とですが、意外なことに、京都で琳派の名品を集めた大規模な展覧会は今回が初めてなのだとか。
これはもう、見逃せない展覧会ですね^^

入場は平日でも大混雑!

京都国立博物館のtwitterで毎日待ち時間がつぶやかれているのですが、平日でも混雑しています。
入場まで1時間待ちは当たり前で、長い時には270分待ちなんて時もあったようです。

混雑を覚悟していましたが、私が行ったのは日曜日の11時頃。

大雨が降っていたのですが、京都国立博物館の外で行列ができていて、その列は、博物館の入り口から東へ行って、智積院の見える東山七条の角を北に曲がって、なんと妙法院の向かいあたりまでのびていました!

歩くだけでも遠いのにすごい行列!

そしてなんとか入り口のチケット売り場まで到達すると、この表示。

琳派 待ち時間

ここから40分待ちです^^;

お昼時を狙えば待ち時間が少ないことが多いのですが、それでもこれくらいの待ち時間は発生するようですね^^;

75年ぶりに3作品が京都に揃う!風神雷神図屏風

今回の展覧会は、人気なだけあって見ごたえある作品がたくさん出陳しています。

「伊勢物語」や「源氏物語」などの様々な場面が描かれた俵屋宗達筆「扇面散屛風」、以前頂妙寺で拝観した躍動感あふれる「牛図」は二幅そろって登場、そして、琳派の祖である二人の共演作、光悦が書を書き、それを宗達による鶴の下絵が引きたてる「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」など、主役級なのに紹介しきれないほどあります。

特に「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」は、三十六歌仙の和歌の背景に、鶴の群れが飛び立つ様子が連続写真のように描かれ、まるでそれが音階を乗せているようにも見えるんですよね^^
今回の展覧会屈指の行列を作ってました。

そういう作品がありながらも、私が一番見たかったのは、なんといっても「風神雷神図屏風」です!

琳派 風神雷神

風神雷神図屏風は、俵屋宗達が描いたものが有名で、それを模写した尾形光琳筆のもの、さらに尾形光琳のものを模写した酒井抱一のものがあります。
それぞれすごい作品なのですが、それが京都で一堂に揃うのはなんと75年ぶり!

一つの部屋で、3作品見比べることができるんですね^^
その3作品、売店でポストカードが販売されていました。

色合いや質感などが忠実に再現されていませんが、それでも違いがわかります。

風神雷神図屏風 俵屋宗達
風神雷神図屏風 尾形光琳
風神雷神図屏風 酒井抱一
※画像 ポストカードより

どれが誰の作品かわかるでしょうか?^^
上から、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一の筆となっています。

私はやはり、俵屋宗達のものが好きですね^^
宗達の作品が一番、風の動きが感じれますし、雲のバランスが絶妙、風神がカッコイイです♪

この3つの作品は、描かれた時代が100年ごとに違うのですが、完全に模写ですよね。
現代の感覚だと、完全オリジナルが重視されますが、琳派においてはこの模写が重要な意味を持っています。

直接習うことはできないので模写で繋がっていくわけです。
模写することで琳派の一因になったという意思表明となるのですね。


琳派展は11月23日まで行われていますが、風神雷神図屏風が3作品揃って見れるのは、11月8日まで。
今は尾形光琳のものが展示を終了して、酒井抱一筆の夏秋草図屏風が展示されています。

なので残念ながら同時公開はもう見れませんが、それでも2作品は同時に見れますし、他にも素晴らしい作品が一堂に見れる滅多にないチャンスですよ^^

風神雷神図屏風

売店で、屏風風になるよう折り目がついたポストカードも販売されていました^^