龍谷ミュージアムと京都文化博物館で開催中の「聖護院門跡の名宝 ―修験道と華麗なる障壁画― 」展に行ってきました!
「聖護院」というと、名前は聞いたことはあっても、どういうお寺か知っている方は少ないかと思います。
聖護院の特徴は2つ。
1つは山伏のお寺だということ。
本山修験宗総本山なんです。
もう1つは門跡寺院であるということ。
皇室関係の方が代々門主を務めたお寺なんです。
大きな肩書が2つもあるので、貴重な文化財をたくさん所蔵してそうですよね^^
今年は、聖護院を創建した増誉大僧正900年遠忌の年。
それを記念しての開催なのだそうです。
門外不出とも言われる聖護院の寺宝が見れる機会はなかなかありません。
こちらが展覧会のポスター。
構成はこのようになっています。
- 序章:増誉大僧正とその偉業
- 第1章:聖護院と関連寺院の仏教美術
- 第2章:聖護院と本山修験宗の遺宝
- 第3章:聖護院の近世障壁画と伝世の名宝
- 第4章:門跡と山伏の歴史
序章から第3章までは龍谷ミュージアムで、第4章は京都文化博物館で開催されています。
ポスターの不動明王像と二童子像は、本山修験宗寺院である峰定寺の像ですが、やはり修験道のお寺の仏像は、不動明王、役行者、蔵王権現が多く、例えば同じ不動明王や蔵王権現の中でも色々な種類を所蔵しているんですよね。
仏像の中でも特に面白かったのは、埼玉・観音院が所蔵している円空作の蔵王権現。
円空の作品は、一刀彫で簡素ながらも大胆なものばかりなのですが、ヘタウマというか、見たら「くすっ」となってしまうような独特な特徴があります。
今回出展されている蔵王権現は、聖飢魔IIのデーモン小暮閣下のような髪型をしていて、強烈な面白さがありました(≧▽≦)
ここまでやってもそれが蔵王権現だということがわかるんですよね^^
そして、聖護院といえばやはり障壁画です。
狩野派の描いた障壁画を、全部で170面も所蔵するというものすごい量。
金箔が張られ、保存状態も極めて良好な絢爛豪華な襖絵を一堂に見ることができます。
龍谷ミュージアムの2階と3階が会場なのですが、2階のほとんどを障壁画が占めていました。
聖護院自体はそんなに広いお寺でもないのですが、そもそも一室の四方を取り囲むように設計されているのでそのようなたくさんの枚数があるんです。
現在は一部の襖が場所に移されて使われているのですが、よくよく見ていくと、ちゃんと繋がっているのがわかるんですよね^^
一枚一枚をじっくり間近で、しかも見やすい明るさで見れるのもこの展覧会ならでは。
孔雀や鶴の細かい描写力には目を見張るものがありました。
中には、鳥なのに耳をもった
空想の生き物なのかと思いきや、中国やヒマラヤで実在するとのこと。
権力者はいつの時代も珍しいものは好きだと思うので、もしかしたら日本に連れてきていたのかもしれませんね。
今回の展覧会は、龍谷ミュージアムと京都文化博物館の2ヶ所でやっています。
龍谷ミュージアムはJR京都駅から徒歩12分ほどのところですが、京都文化博物館は地下鉄の烏丸御池駅から徒歩3分ほどのところ。
1ヶ所でやればよいのに、ちょっとめんどくさいですね^^;
この展覧会は、龍谷ミュージアムの方がほとんどを占めているので、龍谷ミュージアムだけ見に行かれる方も多いかもしれません。
仏像や障壁画を見るならこちらですね。
京都文化博物館は文書系の文化財が中心なのですが、ここにはなかなか面白いものが展示されていました。
それは、「神変大菩薩諡号勅書」というもの。
光格天皇が聖護院で、役行者に「神変大菩薩」という諡号を授けた文書です。
「神変大菩薩」は、今でも修験道の修法で時々唱えられていますし、私も修法の場に立ち会うとよく耳にするのですが、その呼び名がここから生まれたのかと思いを馳せると、胸が熱くなりました^^
京都文化博物館に置かれた「聖護院の名宝展」のコーナーはほんの一部ですが、他にも平安京の歴史をテーマにした展示物も見ることができますよ。