京都国立博物館で開催されている特別展「禅―心をかたちに―」を見に行きました。
今年は、中国・唐の禅僧で、臨済宗の開祖、
そして日本における臨済宗中興の祖、
その遠諱を記念して開催された、禅宗美術に関する過去最大規模の展覧会になっています。
「禅」というと、座禅修行をイメージすると思いますが、禅の修行はそれだけではありません。
食事を工夫して作ったり、作法に則って食べたり、掃除をしたりなどの日常生活も修行です。
そして指導者の老師と禅問答を行い、悟りの境地に至るわけです。
このような修行をする宗派をまとめて「禅宗」と呼びますが、日本には臨済宗、曹洞宗、黄檗宗が伝わっています。
黄檗宗は、臨済宗の流れを汲みますので、今回の展覧会は臨済宗、黄檗宗に関する展覧会となっています。
しかし、禅の教えというのは、密教の深遠さとは違いますが、なんだか難しいですよね^^;
この展覧会は、禅の歴史を学びながら、禅が何を目指しているのか、垣間見ることができます。
私はこれまで、禅宗のお寺に訪れても、お寺の開祖の名前が難しくて覚えにくい・・・そしてその人が何をしたのか、何を教えているのかわかりにくい・・・そんな感じで、禅宗は難しいイメージがあったのですが、この展覧会で、禅宗は今まで思ってたよりも興味深いし、もっと知りたい、と思えるようになりました^^
こちらが展覧会のポスター。
洞窟の壁の方を向いて座っているのは、
その洞窟で9年間も座禅をしていたというのは有名ですね。
日本で置物になっているダルマさんは、達磨大師が座禅をしている姿からきているもので、だから手足がないんです。
そんな達磨大師が大事にしていた宗旨は
この達磨大師の絵にも書かれています。
画像:ポストカードより
「自分の心を指差し、本性を見ろ!そうすると仏道を完成できる」と言っています。
その方法が座禅なんです。
座禅をすると、モヤモヤが取れてスッキリしたり、身体や心が健康になるなど、色々と効能がありますが、それは副産物。
本当の狙いは、仏になること、つまりは人格者になることなんです。
座禅をすると、
- 身体(姿勢)
- 呼吸
- 心
の順に整うことになります。
心を整えることで人格者に近づくわけですね。
他の宗派は経典をよりどころとしますが、そればかりだと表面的なところにとらわれてしまう人もいます。
だから言葉や文字によらず(=
そのような教えである禅が日本には鎌倉時代に入り、室町時代に幕府の庇護を受けて発展します。
その間に中国から頻繁に高僧の招請が行われ、禅の教えと共に色々な文化が入ってきました。
そうやって入ってきた文化から生み出されたものが今回の展覧会で出展されているわけですが、そこにも禅の教えが盛り込まれているものもあるわけですね。
リーフレットにも載っていましたが、釈迦の十大弟子の一人、
画像:リーフレットより
お腹から仏様が顔をのぞかせるお姿。
これはおそらく座禅をして自分の仏性を明らかにしていることを示しているのでしょうね。
そういうことを考えながら展示品を見ると、「この作品は何を主張しているのだろう?」と考えたくなるのですが、ちょっと考えたくらいではなかなかわかりません。
そこで解説してもらうと、豊かな人生を送るためのヒントになるものが多いんですよね^^
でもそこで解説に頼らずに感じ取ることができれば、もっと腑に落ちるのだと思います。
だからこそ勉強して実践が必要ですね^^
平成知新館の2Fでは、「くじで出会う禅のことば」というワークショップが行われています。
いくつか禅のことばがあらかじめ用意されているのですが、くじを引いて、該当する禅のことばを筆でなぞります。
なぞった言葉を解説してもらう、というもの。
15分くらいで無料です。
私たちが書いたのはこちら。
これからワークショップを体験する方もいると思うので解説はしませんが、禅のことばは一見当たり前に思えることでも実は深いことを言っているものが多いです。
それを自分で書いて、それに触れながら解説してもらうと、結構頭に残ります^^
そしてここで書いた文字は、展示作品の中にも登場します。
感じ取る力がアップしますので、ぜひ体験しておきたいところです^^
地下一階では講演会や講座など関連イベントが行われていて、今回私は「イス坐禅+講話」の「坐禅会」の日程に合わせて訪れたんです。
堅苦しくないな感じで禅の歴史、教えに関するわかりやすい法話を聞いて、5分間のイス座禅を体験する、というイベントでした。
こんなリーフレットも貰いました。わかりやすいです。
禅の文化が生んだ美術を鑑賞して、禅の教えを知り、禅を体験。
学び多い一日でした^^