聖護院門跡

京都市左京区にある聖護院門跡。
天皇家が関わった寺院である門跡寺院の一つですね。

普段、聖護院門跡を拝観するには事前予約が必要です。

でも、特別に門が開かれるときもあって、そのうちの一つが2月3日の節分会の日。
もちろんこの時は、事前予約不要です。

なのでこの日は一般の方が大勢参拝に来ます。
しかも、通常は600円の拝観料が必要なのですが、節分会の時は無料です。

ということで私も聖護院の節分会に行ってみました^^

聖護院は修験道のお寺

聖護院の節分会では、あちこち山伏だらけ。
それは、聖護院が修験道のお寺だからです。

修験道はどういうものか?というと、それは日本独特の宗教で、日本古来の山岳信仰を仏教に取り入れ、山で厳しい修行をするものです。
この修行の実践者が山伏(やまぶし)なんです。

修験道は主に天台宗系の本山派、真言宗系の当山派、そして吉野山の金峰山修験本宗の3つの流派があるのですが、本山派の中心寺院となっているのが聖護院門跡

開基は、天台の第5代座主「智證大師円珍」の後を継いだ「増誉」というお坊さんになっています。
この増誉が、白河上皇から賜ったのがこのお寺です。

平安時代は、上皇たちの間で熊野詣が流行りましたが、寛治4年(1090)の白河上皇が熊野三山を参詣する際に増誉が先達(案内人)を務めました。
その功績でお寺が与えられたんですね。

その後、上皇の熊野御幸(熊野に出かけること)は代々この聖護院が先達を務めています。
それによって聖護院は栄え、最盛期には2万もの末寺を抱えるお寺へと成長しました。

聖護院には後白河天皇の皇子、静恵法親王が入寺したのをはじめ、明治になるまで天皇家や摂関家の方が相次いで入寺しています。
なので聖護院のトップの方は、聖護院宮(しょうごいんのみや)と呼ばれていました。

節分会が始まる前に境内散策

イベントとしては、午後1時から追儺式があって、そのすぐ後に山伏福豆まき、3時から採燈大護摩供という流れでした。
11時半ごろについたので、まずは境内散策をすることにしました。

いつも閉じている南庭に出る門が開いていたので、そこから境内に入ってみると、そこには大護摩供で使う護摩壇が用意がされていました。

聖護院 大護摩供

南庭はいつもきれいに砂紋を引いていて、足を踏み入れるのがもったいないくらいなのですが、この日は大勢の人が歩いていました^^
そもそもこの庭は、護摩供養を行う道場でもあるんですね。

そして南庭に面している宸殿の前では、ろうそくを上げた参拝者にお祈りを上げていました。

聖護院 ろうそく

「ろうそく一丁!」

「ろうそく一丁!」(3人くらいが後ろから)

「ただいまの施主、家内安全 息災延命・・・・守らせたまえ~。南無大日 南無不動明王・・・南無大菩薩~。」

という感じで祈りあげてもらえます。
(途中、よく聞き取れなかったところは省略しました^^;)

そして宸殿に入ります。

聖護院門跡 宸殿

宸殿は、かつて天皇が仮御所として使ったこともある建物です。

天明8年(1788年)に天明の大火と呼ばれる大火事があったのえすが、それは、京都の町が8割ほど焼けるほどのものでした。
御所や二条城なども焼けてしまったんですね。

その時の天皇で、もともと聖護院宮になる予定もあった光格天皇がこの宸殿を仮御所として使用されたんです。

建物内の写真撮影は禁止されているので写真はありませんが、仮御所としてのたたずまいが残っていました。
ここでお坊さんの説法を聞きながら見学できるのですが、天皇が座った玉座のある上段の間があり、さらに二の間、三の間とあって、周りには狩野派の襖絵がずらっと並んでいました。

聖護院には狩野派の障壁画が全部で170面もあるそうです!

触ってはいけませんが、触ろうと思ったら普通に触れるほど間近で見れるのもすごいところです。

お隣の部屋には仏間がありましたが、ここには不動明王が3体、そして蔵王権現がいらっしゃいます。

そして、本堂である不動堂。

聖護院 不動堂

この日は本尊の不動明王(重文)が公開されていました♪

不動明王の右側には智證大師円珍、左側には修験道の開祖、役行者がいらっしゃいます。
御本尊は本来の不動明王の姿といわれる十九観様式にのっとった御本尊でした。

また、聖護院の入り口では、無料で甘酒の接待があって、焚火の前で座りながら体を温めることができましたよ^^

山伏の験力で鬼を退治する追儺式

聖護院門跡 追儺式

13時になると、宸殿を舞台にして追儺式が始まります。

聖護院の追儺式は、独特の追儺式。
赤鬼、緑鬼、黄鬼が登場し、最初は、年男、年女の方々が豆をまいて鬼を追い払おうとします。

それでもしつこく暴れる鬼を、住職をはじめとする山伏たちが験力を使って鬼を弱らせます。

仏の力に屈した鬼は、改心してなんと一緒に豆をまくわけです。

ちょうどその様子の動画がありました^^

豆まきは、宸殿と不動堂からもまかれますが、あまり後ろの方には飛んできません。
福豆をいただきたいなら、追儺式が始まる前から宸殿の前の方にスタンバイしておいた方が良いです。

豆まきが終わると、善鬼に生まれ変わっています。
参拝者が鬼の周りに殺到しています。

聖護院門跡 追儺式

鬼になでてもらうことで、福を分けてもらうんですね^^

山伏の儀式が見れる、採燈大護摩供

午後3時からは、山伏たちによる護摩行が見れる、採燈大護摩供が始まります。

護摩壇が設置されているスペースは結界になっていて、山伏以外は入れません。
一般の参拝者は、その外から見学することになります。

護摩供が始まる前に、邪気を払うための儀式が行われます。
法弓や法剣、法斧などを用います。

聖護院門跡 剣

聖護院門跡 斧

聖護院門跡 弓

弓に関しては、東西南北と中央の護摩壇、そして鬼門の方に打つのですが、打つ時は斜め上に高く打ちます。
なので遠くに飛ぶのですが、この弓、運良くゲットできれば持ち帰ることができます^^
破魔矢代わりになりますね♪

ただし聖護院では、南側は一般道路になっているため、遠くまで飛ばさず、下に打つため取れません。
また、北側は、宸殿を超えて向こうまで飛んでいくので、こちらも取れません。

狙うのは東西の弓。

参拝者は護摩壇に集まってきているので、後ろのすいているところに矢が落ちます。

そしていよいよ護摩壇に火がつけられます。

聖護院門跡 護摩供

法剣で邪気を払いながら乳木(にゅうもく)をどんどん投入。

聖護院門跡 護摩供

乳木を入れたら、散杖(さんじょう)という特殊な杖でお清めします。

聖護院門跡 散杖

そして読経をしながら古いお札やもどんどん投入します。
こちらも動画で紹介。

太鼓をたたきながら読経している様子を見ていると、なんだか引き込まれてしまいます^^
護摩行は、どこで見ても迫力がありますね。

御朱印

聖護院門跡の御朱印です。

聖護院門跡 御朱印

押されている印は山伏を象徴する法螺貝。
そして真ん中に書かれている梵字は不動明王を意味し、「カーン」と読みます。

聖護院にはその他、

  • 近畿三十六不動尊第十八番
  • 役行者霊蹟札所

の札所にもなっているので、そちらの御朱印もあります。


御朱印は書院の中にある受付でいただいたのですが、そこに面白そうな本がありました。

いずれも、山伏とは何なのか?修験道は修行を通してどんなことを得ようとしているのか?ということがわかりそうな本です。
今読んでいるところですが、なかなか読みやすいですよ^^

聖護院は、普段は拝観に予約が必要ですが、予約していくと、お坊さんに1時間ほどお話を聞かせてもらいながら拝観することができます。
より聖護院の魅力を知ることができるのは、予約拝観だと思いますので、可能な方は予約して参拝してみるのも良いですね。