• 長円寺 門
  • 長円寺 本堂
  • 長円寺 仏足石
  • 長円寺 観音堂

京都の下京区、松原通り沿いにあるお寺、長円寺。
浄土宗のお寺で、本堂には慈覚大師作の弥陀三尊が祀られています。

比較的小さなお寺ですが、境内右奥の小さな観音堂は洛陽三十三所観音霊場の第24番札所になっていて、疫病よけに霊験あらたかな聖観音様が祀られています。
この観音堂は、長円寺として建立するよりも早く立っていたんです。

時は平安時代の一条天皇の頃、平安京に疱瘡が流行しました。
そこで時の大納言、藤原親衡は、天台宗の高僧、恵心僧都 源信に依頼して観音像を作らせました。

それが現在観音堂にいらっしゃる観音様です。
親衡は観音像を宮中に祀り、二十一日間祈祷したところ、疱瘡の流行はピタリととまったのです。
その後、この観音様は比叡山に安置されます。

時は流れて天正十五年(1587)、応仁の乱で荒廃した京の町に、三河の国の僧、清巌(大誉上人)が入ります。
上人は荒廃した寺々を見て嘆いていたのですが、その時、比叡山にあったこの聖観音を京の町に持ち帰るよう、清水観音の霊告を受けたのです。
そこで立てられた小さな庵が、現在の観音堂の創立とされています。

その後の慶長十三年(1608)、上人に帰依していた京都所司代の板倉勝重が土地を寄進して、弥陀三尊を祀る本堂などが建てられました。

当時の建物は2度の火災で焼失しましたが、両本尊は現在に残っています。

長円寺の境内はきれいに整えられていて、観音堂隣の納経所は麦茶を頂きながら休めるスペースにもなっています。