熊野信仰の拠点、熊野三山(本宮・新宮・那智)の一つ、熊野速玉大社。
元々は、現在の位置から南にちょっと行ったところにある熊野権現降臨の地、神倉山に鎮座していたのですが、景行天皇の時代に今の場所に移されたことから、「新宮」と呼ばれています。
なので「新宮」というのは「熊野本宮大社」に対して呼ばれている名前ではありません。
熊野三山は上下の関係はなく、全て同列の横並びで、三つ合わせて熊野の総本宮なんです。
熊野速玉大社の神様のご利益
熊野速玉大社にはたくさんの神が祀られていますが、その中で主祭神は
神社名にも使われている「熊野速玉大神」という名前は、神様の中でもトップに君臨する伊勢神宮の御祭神、
つまり、スーパーイザナギですね^^
自己啓発・開運成就・家内安全・業務繁盛の御神徳が高いそうです。
現世安穏・願望成就の神様ですね^^
また、神仏習合の影響で、熊野速玉大神は薬師如来であるともされます。
なので、過去からの悩みや過ちを全部流すことで救済してくれるとされています。
懺悔したい方、悩みを持っている方はここで身を清めて、新たに再生を願うのも良いかもしれません。
その他、古事記の上巻、神話の章を読んでいるとわかると思いますが、熊野速玉大社の神様はそうそうたるメンバーで構成されていますよ^^
社殿とそこに祀られている神様、その本地仏(神仏習合において、その神様と同体とする仏様)は以下の通り。
社殿 | 祭神 | 本地仏 | |
---|---|---|---|
御主神 | 第一殿(結霊宮) | 千手観音 | |
第二殿(速霊宮) | 薬師如来 | ||
上三殿 | 第三殿(証誠殿) | 阿弥陀如来 | |
第四殿(若宮) | 十一面観音 | ||
第五殿(神倉宮) | なし | ||
中四社 | 第六殿(禅児宮) | 地蔵菩薩 | |
第七殿(聖宮) | 龍樹菩薩 | ||
第八殿(児宮) | 如意輪観音 | ||
第九殿(子守宮) | 聖観音 | ||
下四社 | 第十殿(一万宮・十万宮) | 文殊菩薩・普賢菩薩 | |
第十一殿(勧請宮) | 釈迦如来 | ||
第十二殿(飛行宮) | 不動明王 | ||
第十三殿(米持宮) | 多聞天 |
国土生成の神々や皇室の祖先神など、そうそうたるメンバーです。
さすが熊野三山のひとつ!
こんなメンバーが一度に祀られているところは見たことがありません^^
熊野速玉大社の見どころ
まずは入口にある大鳥居。
神仏習合の社らしい、両部鳥居です。
真言系 の仏教家によって説かれた神道を両部神道といって、密教の金剛界・胎蔵界のことを二つ合わせて両部といいます。
鳥居では、柱の下の部分を四脚で支えている形にすることで、両部を表しているんです。
要するに、この鳥居がある神社は仏教の影響が強かったと考えて良いでしょうね^^
鳥居の扁額には「熊野権現」の文字が。
とうとう熊野権現の総本宮に来たんだ!と、ちょっと感動を覚えました^^
鳥居から入ってちょっと歩いたところには、速玉大社の見どころの一つ、
推定樹齢1,000年、日本最大のナギの樹で、熊野権現の御神木です。
このナギの樹は平重盛の手植えなのだそうです。
速玉大社には、梛みくじというおみくじがあります。
可愛らしいおみくじですね^^
横に置いているのは本物のナギの葉です。
広葉樹っぽいですけど、実は針葉樹。
縦に繊維が入っていて、結構丈夫な葉っぱなので、引っ張ってもなかなか切れないことから縁結びの御利益があります。
財布に入れるとお金と縁が切れないことから、お金にも困らないそうですよ^^
その他にもナギは他の植物が伸びないように抑制する働きを持つ成分を分泌する性質もあることから、実や葉は魔除けとしてお守りにもされていたようです。
特に昔の人は、熊野まで来るのも大変ですから、身につけて道中の安全を祈願していたそうです。
社務所には、ナギの実で作った「ナギ人形」や「ナギまもり」、ナギの葉をかたどった「なぎネックレス」なども販売されていますよ♪
さらに参道を進むと、本殿前の御神門がありますが、その前にちょっと変わった手水舎。
鼻の長い水龍の手水舎です。
他では見たことがありません^^
そしてこちらが御神門。
神門の前では、珍重庵の「もうで餅」が販売されています。
(本宮大社や那智大社の前でも販売しています。)
もうで餅は、自家製のこしあんを包んで玄米粉をまぶしたお餅。
これ、甘さ控えめで結構美味しいんですよ♪
9個入りで850円。
購入すると本物のナギの葉もいただけます^^
神門をくぐると、社殿がずらっと並んでいます。
御主神を祀る第一殿、第二殿の前には、立派な拝殿があります。
その扁額には、「日本第一大霊験所 根本熊野権現拝殿」と書かれています。
神前なので拝殿内の写真は遠慮しましたが、中には曼荼羅なども掛けられていました。
後から知ったことですが、社務所でお願いすれば、熊野観心十界曼荼羅の絵解きをしてくれるようです。(約30分、500円)
熊野観心十界曼荼羅は地獄極楽の風景を描いたもので、「絵解き」というのは絵に込められた意味の解説のことです。
地獄に落ちた衆生を救う熊野の神様の話になるわけですが、中世から近世にかけて、熊野比丘尼と呼ばれる尼僧たちが諸国を歩いて熊野観心十界曼荼羅の絵解きを行うことで、熊野信仰を広めていったのだそうです。
そういう体験を実際にしてみるのも面白いと思います^^
私達は次の場所に行かなければならなかったので、聞きたかったのですが今回は残念ながらパスしました><
歴史好きなら神宝館へ
ナギの大樹の向かいには、熊野速玉大社に伝わる古神宝類を収蔵する神宝館があります。(入場料500円)
そんなに広くないので、ゆっくり見ても15~30分くらいで見学することができます。
蒔絵箱をはじめ、暴れん坊将軍でお馴染み、江戸幕府八代将軍 徳川吉宗寄進の糸巻太刀や、足利義満寄進の金銅製神輿や朱塗神幸船、その他祭具、工芸品、古文書など、国宝、重要文化財クラスのものがところ狭しと並んでいます♪
ただ、誰もが知っているようなメジャーなものはないですし、見た目は地味です^^;
それに、館内は薄暗く雑然としていますので、歴史好きじゃないとちょっと難しいかもしれません。
逆に、昔の人が熊野を信仰してきたのかもっと知りたい方にはかなりオススメです♪
いかに熊野の神様が重視されてきたのか、わかると思います。
川原家横丁で熊野新宮参詣曼陀羅の絵解き解説を聞こう
速玉大社の駐車場の近くには、川原家横丁という4店舗並んだちょっとしたお土産物が買えるところがあります。
私が行ったのは3月2日の朝11時頃。
日曜日なのに1店舗しか開いていませんでした^^;
種類たくさんのみかんや地酒、ヤタガラスグッズなどを売っていますが、私達はひとまずこちらでみかんと、美味しそうだった「みかんのしずく」という果汁100%のジュース(200ml)を購入。
三重御浜の温州みかんのまるしぼりです。
無添加・無加糖で、みかんの甘味100%のジュース。
これ、かなり美味しいです♪
1つしか買わなかったのを後悔しています^^;
凍らされているので、夏に買ってその場で飲むと、もっと美味しいでしょうね^^
パッケージの後ろには販売元の御浜柑橘の公式サイトのURLが載っていました。
通販でも販売しているようです。
そして、川原町の一番奥に行くと、熊野比丘尼の格好をした人がいました。
こちらでは、熊野新宮参詣曼陀羅図の絵解きを無料で行ってくれるんです^^
速玉大社が成立した過程や、昔の人がどんな風に参詣していたのかなどを解説してくれます。
内容は、子供むけの昔話のような感じでとっても簡単♪
何も知らずに観光にきた方でもわかる内容です。
今回の旅では、新宮市内は速玉大社と神倉神社しか寄っていませんが、これを聞いてもっと行きたいところが出てきました♪
また次回にお預けですね。
この絵解きは土日の11:00~13:00にしかやっていなくて、雨の場合は中止になるそうですが、この日は雨が少しぱらついていたのにやっておられて、ラッキーでした^^
絵解きの時間は10分くらいなので気軽に聞けますし、何より無料ですのでオススメです♪
熊野速玉大社の御朱印
熊野速玉大社の御朱印です。
熊野三山のシンボル、
摂社の神倉神社の御朱印もこちらの社務所で頂けます。
また、速玉大社にはオリジナルの御朱印帳があります。
1,200円でした。
そして、熊野三山と言えばこれ!
牛王宝印も頂きました♪
厄除けにもなる護符です。
A4よりちょっと大きめのサイズ。500円です。
カラス模様を組み合わせた「カラス文字」を使って描かれた、特殊な護符になっています。
三山でそれぞれ違う牛王宝印を用意しているので、集めてみるのも面白いですね^^
熊野三山を巡るとなると、それぞれの場所が離れているので、どれくらい時間をとったら良いのか気になるところだと思います。
速玉大社の境内は、有名な神社の割にはそんなに広くありません。
他の那智や本宮、神倉神社のように、長い階段やキツイ階段もありませんので、境内を回って参詣するだけなら所要時間30分あれば十分だと思います。
私達は境内の写真を撮りながら神宝館に寄り、川原家横丁で買い物&熊野新宮参詣曼陀羅の絵解き解説を聞いたりしたので1時間半くらいかかりました^^;
それに熊野観心十界曼荼羅の絵解きを聞くなら、もう30分とって2時間はとったほうが良いかもしれません。
速玉大社から熊野本宮大社までは車で50分、熊野那智大社までは30分くらいです。
人によってペースが違うと思いますが、参考までに^^