神社・神道用語集 か

お寺・仏教用語集 か

神社・神道用語集 き

お寺・仏教用語集 き

神社・神道用語集 く

お寺・仏教用語集 く

神社・神道用語集 け

お寺・仏教用語集 け

神社・神道用語集 こ

お寺・仏教用語集 こ

開基かいき

寺院の創立を経済的に支えた人。

開山かいざん

寺院、又は一宋一派を新たに開くこと。
開いた僧侶(祖師)のことも指す。

また、開山の像や位牌を収めた仏堂は「開山堂」や「祖師堂」と呼ばれる。
浄土真宗などでは「大師堂」や「御影堂」という。

戒師かいし

出家を望む者などに、戒を授ける法師。

戒名かいみょう

仏門に入ったり、亡くなった時に付けられる名前。
「法名」ともいう。

戒律(かいりつ)

僧侶の規範となるもの。「戒」と「律」に分けられる。
「戒」は人格を育てるための道徳規範で、自発的に守るもの。
在家信者でも授かることができ、守れなかった場合の罰則などは特にない。

それに対し「律」は、出家者に適用されるもので、仏法を正しく伝えるために守るべき規則で、これを破った場合は法律と同じように罰則がある。

神楽(かぐら)

神祭りの際に、神に歌舞を捧げて神を楽しませる神事芸能。

賢所(かしこどころ)

天皇が居住する宮中にある、宮中三殿の一つ。中央が賢所。
三種の神器のひとつである八咫鏡(やたのかがみ)が祀られている。

かつては内侍(律令官制における、天皇に近侍した女官)が管理したため内侍所(ないしどころ)とも称された。

柏手(かしわで)

神を拝する際の作法の一つ。
拍手とも書く。

現在の作法としては、「二拝二拍手一拝」で参拝するところが多いが、出雲大社の「二拝四拍手一拝」という例もある。
また、神葬祭の時は、忍手(しのびて)といって、音のたたないように柏手を打つ。

春日権現験記(かすがごんげんげんき)

藤原氏の氏神である春日大社の由来と数々の霊験譚を描いた絵巻。全20巻。
鎌倉後期の社寺縁起絵巻の代表作。

風神祭(かぜかみのまつり)

風の神様を祀る、奈良県生駒郡三郷町の龍田神社で行われる祭り。
龍田風神祭ともいわれる神祇令で定められている祭の一つ。
穀物の豊穣のために風雨の順調を祈る。
田植え前の4月と刈入れ前の7月の、2回行われる。

広瀬大忌祭と合わせて廣瀬龍田祭とも称される。

賀茂真淵(かものまぶち)

江戸中期の国学者・歌人。
荷田春満に師事した。

「神代」を理解するためにはいにしえの言葉の意味と感情を理解することが必要で、そのためには「万葉集」の研究が最も重要とし、古典研究を通じて古代日本人の精神を研究した。

代表的な著書に

  • 国意考・・・賀茂真淵が把握していた古神道の意義の一端をあらわす書の一つ
  • 祝詞考・・・「延喜式祝詞」の最初の本格的な注釈書
  • 冠辞考・・・枕詞について書かれた書

などがある。

荷田春満(かだのあずままろ)

江戸時代中期の国学者・歌人。
伏見稲荷大社の社家に生まれた。

契沖の文献実証的な方法に深く傾倒し、その方法をさらに進め、「万葉集」や「古事記」、「日本書紀」、大嘗祭研究の基礎を築いた。

弟子に賀茂真淵がいる。

伽藍がらん

僧侶が集まり修行する清浄な場所。
後に仏像を祀るために造られた建物を意味するようになった。

寺院のうちの一区画をまとめて伽藍という。

勧請(かんじょう)

神仏の分霊を他の場所に移すこと。
また、神仏の来臨やご神託を願ったり、高僧を懇請して迎えることにも使う。

潅頂(かんじょう)

密教の奥義を体得するための儀式。
仏の知恵を象徴する5種類の水を頭に注ぎ、修行者の心の中に本来備わっている仏心を導き開く。

惟神の道(かんながらのみち)

自分本意な行動を捨て、神様のお言葉や神様のご好意をお手本として実践しながら生きる道のこと。

神嘗祭(かんなめのまつり)

五穀豊穣の感謝祭。
その年の新穀を初めて神様に召し上がっていただく祭。
神祇令で定められている祭の一つで、宮中および伊勢神宮(内宮・外宮)で10月17日に行われる。
年2回の月次祭と合わせて三節祭、又は三時祭と称される。

感得(かんとく)

祈りや呪術の力で霊を呼ぶこと。
または、仏の説く真理を悟ること。

観音菩薩かんのんぼさつ

浄土経典によると、阿弥陀如来をサポート(脇持)し、人々を西方にあるの持つ仏国土「極楽浄土」へ導く菩薩様とされている。
「観世音菩薩」「観自在菩薩」とも呼ばれる。

また、観音様はあらゆる姿に変化して、病気や争い、飢えなどの苦しみを除いたり、生活を豊かにしてくれたり、現世利益的にも人々を救ってくれる存在として信仰されている。
その姿は、法華経で説かれているものから数えると33あり、これをもとに三十三観音信仰が興った。

さまざまな形の観音菩薩の中でも代表的なものは六観音(又は七観音)と呼ばれている。

寛平御遺誡(かんぴょうのごゆいかい)

第59代 宇多天皇が譲位の際、まだ若かった醍醐天皇に与えた教訓の書。
夜明け前から服装を整え、身を清めて神祇に敬拝することなどが書かれており、歴代天皇に受け継がれている毎朝御拝に繋がる。

神衣祭(かんみそのまつり)

伊勢の皇大神宮(内宮)と宮域内の荒祭宮(あらまつりのみや)(天照大御神の荒御魂をお祀りする宮)に、和妙(にぎたえ)(絹)、荒妙(あらたえ)(麻)の2種類の神御衣を奉納する、神宮の恒例大祭。

神祇令で定められている祭の一つで、夏は夏のご料、冬は冬のご料を奉る。
「皇大神宮儀式帳」と「延喜式」では、祭日を4月14日と9月14日としている。

和妙の衣は松坂市大垣内町の神服織機殿(かんはとりはたどの)神社、荒妙の衣は松阪市井口中町の神麻續機殿(かんおみはたどの)神社、それぞれの機殿(はたどの)で織られる。

観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)

浄土宗の根本経典、浄土三部経の1つ。
別名『観無量寿仏経』、『無量寿仏観経』、『無量寿観経』ともいい、『観経』と略称される。

インド・マガダ国の阿闍世王(あじゃせおう)に幽閉されたその母、韋提希(いだいけ)の部屋に釈迦が現れ、十六の観法(瞑想法)によって阿弥陀仏に救いを求めるように説く。
その観法の内容が書かれている。

帰依きえ

神仏や高僧を信じ、拠り所にすること。

記紀(きき)

神々の天地創造の物語から始まる、日本最古の歴史書、「古事記」と「日本書紀」の両書を合わせて呼ぶ言葉。

日本書紀は歴史書の性格が濃く、海外を意識した日本の正史となっているのに対し、古事記は全体の3分の1を神話にあてて物語性が濃く、国内向けの天皇家の歴史書となっている。

凝古作(ぎこさく)

古い時代の様式や方法、習慣などを真似てつくること。

起請文(きしょうもん)

人が契約を交わす際、それを破らないことを神仏に誓う文書。
鎌倉時代から戦国時代にかけて流行した。

約束や契約の内容を書き、次に差出者が信仰する神仏の名前を列挙し、最後に、約束を破った場合にはこれらの神仏による罰を受けるという文言を書く。

鎌倉時代後期ごろから、牛王宝印という護符の裏に書くのが一般的になった。

北畠親房(きたばたけちかふさ)

鎌倉時代後期から南北朝時代の公卿。
南北朝時代は南朝で活躍した。

伊勢神道を確立した度会家行の影響を受けて「元元集(げんげんしゅう)」や「神皇正統記(じんのうせいとうき)」、「二十一社記」などを著した。

神代から第97代 後村上天皇までの歴史を記した神皇正統記は、愚管抄とともに中世二代史論に数えられる。

祈年穀奉幣(きねんこくほうへい)

第52代 嵯峨天皇の御代から始まった、特定の神社に1年の豊作を祈願する時の奉幣。
神祇官が行う祈年祭の奉幣とは別に行っていた。
これが後の二十二社奉幣に繋がる。

祈年祭(きねんさい)

元々は豊作を祈る春祭りで、今はその年の五穀豊穣と国家の安泰、産業の発展を祈る祭りで、神祇令で定められている祭の一つ。
2月17日前後に行われ、「としごいのまつり」ともよばれている。

格式(きゃくしき)

律令制における法令の一種。
律令の規定を補足・修正する「(きゃく)」と施行細則の「(しき)」に分類されている。

  • 弘仁格式
  • 貞観格式
  • 延喜格式

を合わせて「三大格式」という。
現在に伝わる格式として、「格」はこれら三代の格を事例ごとにわけた類聚三代格(るいじゅうさんだいきゃく)、「式」は延喜式が伝わっている。

旧辞(きゅうじ)

各氏族などに伝来する古代の神話・歌謡・伝承をまとめたもの。
6世紀にまとめられ、「古事記」「日本書紀」に先立つ文献資料だが、現存していない。

宮中三殿(きゅうちゅうさんでん)

賢所かしこどころ皇霊殿こうれいでん、神殿の総称。

賢所を中心に、西に皇霊殿、東に神殿がある。
お祀りされているのは、

  • 賢所・・・皇祖・天照大御神
  • 皇霊殿・・・神武天皇をはじめ、歴代の天皇、皇后、皇族の御魂
  • 神殿・・・天神地祇八百万神

となっている。

行蘊ぎょううん

「意志」や「欲求」のこと。
五蘊(ごうん)(身体と精神活動を構成している五つのカテゴリー)の一つ。

経絵(きょうえ)

経典の内容を絵画化したものの総称。
特に豪華な絵巻装飾は、狭義の意味で装飾経と呼ばれる。

経絵と呼ばれる場合、平安後期に流行した装飾経の表紙や見返しの絵をさすことが多い。

教外別伝きょうげべつでん

経典にはかかれていない直接心に伝えられる教えのこと。
禅宗の特徴を表す代表的な言葉の一つ。

経宗(きょうしゅう)

「○○経」など、経典を拠りどころとする宗派。
例えば、天台宗などは法華経を拠りどころとする宗派なので、経宗となる。

それに対し、論書(経典の注釈)を拠りどころとする宗派を論宗、律を拠りどころとする宗派を律宗という。

経蔵(きょうぞう)

寺院が所蔵する経典を収める建物。

行年(ぎょうねん)

産まれてから経た年数。実年齢。

教派神道(きょうはしんとう)

明治時代、政教分離によって国家の祭祀である国家神道(神社神道)と区別された、教化を中心とする神道系宗教の総称。
教団を組織して神道を布教した。

戦前にはおよそ13の教団が公認されていた。

  • 黒住教くろずみきょう
  • 神道修成派しんとうしゅうせいは
  • 出雲大社教いずもおおやしろきょう
  • 扶桑教ふそうきょう
  • 実行教じっこうきょう
  • 神習教しんしゅうきょう
  • 神道大成教しんとうたいせいきょう
  • 御嶽教おんたけきょう
  • 神道大教しんとうたいきょう
  • 禊教みそぎきょう
  • 神理教しんりきょう
  • 金光教こんこうきょう
  • 天理教てんりきょう

これを教派神道十三派という。
これに加え、戦後、教派神道連合会に大本教が加盟した。

教部省(きょうぶしょう)

明治5年(1872)、神祇省を改組してできた組織。
神祇官内に設置された宣教使による国民教導が失敗したため、当時最大の宗教勢力であった仏教の僧侶を教導職として動員し、神・儒・仏の合同布教体制を敷いた。

三条の教則に基づく活動を行おうとしたが、神道・仏教間の対立や各宗派間の主導権争いによりうまく進まず、浄土真宗が反発・大教院離脱を経て、政府は宗教の自由を認める方向へ政策を転換し、教部省は3年で廃止、任務の一部は内務省社寺局に受け継がれた。

その後、仏教各宗派は各自の組織にのっとって教化活動を行うこととなり、神職を中心とした神道側は神道事務局を設立した。

教令輪身(きょうりょうりんじん)

仏が、教えを伝える手段として3種類の姿(身)になって現れる、という三輪身の一つ。

煩悩を抱える最も救い難い衆生をも力ずくで救う忿怒の姿(明王)を表す。

曲彔(きょくろく)

禅僧が法会などの儀式の時に坐る椅子のこと。

金峰山(きんぷせん)

奈良県の吉野にある、修験道発祥の山。
日本各地にも同名の山があるが、多くはその山に、奈良県吉野金峰山の蔵王権現を勧請したことに因む。

奈良末期~平安中期にかけて多くの修行者が入山した。

近代社格制度(きんだいしゃかくせいど)

明治維新以降、『延喜式』に倣って、神社を新たな社格で等級化する制度。
第二次世界大戦後に廃止され、今日でも「旧社格」などの名称で神社の格を表す目安とされる。

大きく「官社」とそれ以外の「諸社」に分けられ、官社は

  • 官幣社・・・祈年祭・新嘗祭・例祭の際、太政官(明治10年より皇室)から幣帛が奉られる社。
    主として二十二社を中心に皇室と関係の深い社を選定。
  • 国幣社・・・国庫から奉られる社。
    主として諸国の一の宮を中心に、地方において崇敬の篤い社を選定。

に分けられ、それぞれ「大社」「中社」「小社」に分類された。

それ以外の「諸社」は、地方長官の管轄で、

  • 府社、県社・・・府県および住民が等しく敬うべき社。
  • 郷社、村社・・・郷・村および住民が等しく敬うべき社。
  • 無各社・・・それ以外の社。

に分けられた。

禁秘抄(きんぴしょう)

第84代 順徳天皇によって書かれた書。
古来の先例に基づき、宮中の儀式や政務のあり方に関する解説書となっている。
天皇として学ぶべき学問・芸術、天皇が知っておくべき有職故実が解説されており、歴代天皇の規範とされた。

空の思想くうのしそう

大乗仏教の根本となる仏教哲学で、大般若経で説かれる教え。
「空」というのは、"ある" と "ない" を超越した存在のことで、大般若経では、あらゆる事象(事実と現象)・存在が「空」だと説いている。

「空」の思想を学ぶに当たって、杯蛇の厄という例え話がよく引き合いに出される。

愚管抄(ぐかんしょう)

天台宗僧侶の慈円による史論書。
日本における三大史論書のひとつで、鎌倉時代初期に成立。

第1代 神武天皇から第84代 順徳天皇(在位1210年~1221年)に至る歴史と、その歴史を動かす「道理」とを仮名文でつづられている。

具足戒(ぐそくかい)

出家者が遵守すべき戒のこと。
努力目標である大乗戒(菩薩戒)と違い、罰則も定められている。

日本では、最澄が比叡山に戒壇院を設けた際、円頓戒(えんとんかい)という大乗戒を授戒できるようにしたが、それをもって受戒が完了するとしたので、それ以降具足戒は重要視されなくなった。

苦諦くたい

苦の原因である「集諦」が招く結果のこと。
苦しみのメカニズムを示す四聖諦の一つ。

物事の本質を知らずに執着することによって、苦(思い通りにならないこと)が生じ、生きることが苦しみとなる。
「集諦」と「苦諦」は苦の真理を説くもので、「集諦」は苦悩が生じる原因を、「苦諦」は集諦の結果を表す。

功徳くどく

現世又は来世に幸福をもたらす元になる善行為。
または、仏の恵みやご利益の意味でも使われる。

草薙剣(くさなぎのつるぎ)

三種の神器の一つ。
正式には天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)という。

天照大神の弟、須佐之男命(スサノオノミコト)が出雲国でヤマタノオロチを退治した際、その尾から出てきた剣。
剣はその後、天照大神に奉納され、天孫降臨の際に瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)に渡された。

現在は愛知県の熱田神宮の御神体として安置されており、皇居の吹上御所の「剣璽の間」にも形代(かたしろ)が安置されている。

国つ罪(くにつつみ)

古代人の罪の概念の一つで、天つ罪に対するもの。
人として当然まもるべき道に背いた行為や、病気被ったり、天変地異までも罪としている。

『延喜式』巻八「祝詞」の「大祓詞」にその内容が整理されており、

  • 生膚断(いきはだたち):生きている人の肌に傷をつけること
  • 死膚断(しにはだたち):死んでいる人の肌に傷をつけること
  • 白人(しらひと):肌の色が白くなる病気のこと
  • 胡久美(こくみ):背中に大きな瘤ができること
  • 己母犯罪(おのがははおかせるつみ):実母との相姦
  • 己子犯罪(おのがこおかせるつみ):実子との相姦
  • 母与子犯罪(ははとことおかせるつみ):ある女性と性交し、その後その娘と相姦すること
  • 子与母犯罪(ことははとおかせるつみ):ある女性と性交し、その後その母と相姦すること
  • 畜犯罪(けものおかせるつみ):獣姦のこと
  • 昆虫災(ほうむしのわざわい):毒蛇やムカデ、サソリなどによる災難
  • 高津神災(たかつかみのわざわい):落雷などの天災
  • 高津鳥災(たかつとりのわざわい):猛禽類による家屋損傷などの災難
  • 畜仆・蠱物為罪 (けものたおし・まじものせるつみ):家畜を殺し、その屍体で他人を呪うこと

天変地異や病気が罪になっているのは、人が不適切な行為をすることによって穢れ、そこから発生することから罪となる、という一説がある。

国造(くにのみやっこ)

律令制が整備される以前(大化の改新以前)の、地方を治めていた官職のこと。
軍事権、裁判権なども認められていた。
大化の改新以降は主に祭祀を司る世襲制の名誉職となっている。

求不得苦ぐふとっく

求めるものが手に入らない苦しみ。
四苦八苦の「八苦」の一つで、生きていく上で避けることのできない苦悩の代表的なもの。

隅取り(くまどり)

色彩や墨の濃淡、ぼかしなどによって、ものの量感や立体感を表現する技法。

慶光院(けいこういん)

室町時代の創建された、伊勢国の尼寺。
慶光院の清順上人が120年以上中断されていた伊勢神宮の式年遷宮の復興に力を注いだ。
その募財活動により、永禄6年(1563年)、第40回外宮式年遷宮が再興された。

慶長勅版(けいちょうちょくはん)

第107代 後陽成天皇が慶長年間(1596~1615)に出した勅命。
「日本書紀」神代巻やその注釈書、儒教の「論語」などが出版され、民間の神道家を次々に生み出す契機となった。

華厳経けごんきょう

大乗仏教の経典のひとつ。
時間と空間を超越した仏が説かれていて、「一の中にも他の一切を包含すると同時に、その一は他の一切の中に入る」(無尽縁起)とする。
つまり、この世の全てのものは無限に関係し合って存在しているということ。

華厳宗は、この教えが仏教のあらゆる教えを包括する最高のものだとしている。

解脱げだつ

悩み、迷いなどの煩悩から解き放たれ、悟りの境地に到達すること。
輪廻から離れるので、生存世界には戻らない。

潔斎(けっさい)

神事の前に酒肉の飲食その他の行為を慎み、心身を清めること。
潔斎の期間によって

  • 大祀(たいし)(1ヶ月)
  • 中祀(ちゅうし)(3日)
  • 小祀(しょうし)(1日)

に分けられる。
さらに内容によって、

  • 散斎(さんさい)(あらいみ)・・・弔問(遺族を訪問して、くやみを述べること)や肉食、流血などに触れることを避けて禁欲する。
  • 致斎(ちさい)(まいみ)・・・もっぱら日常を離れてただ祭祀のことのみに専念する。

に分けられる。

仮仏(けぶつ)

ときに応じて仮の姿で現れた仏の化身。

検校(けんぎょう)

平安時代から置かれた、寺院や荘園の事務を総管轄する役職。

顕教けんぎょう

仏教で、言葉や文字で教えを明らかにしながら説くもの。
顕教に対し、大衆にはなかなか理解できない密かな教えを説く「密教」がある。

元元集(げんげんしゅう)

南北朝時代の北畠親房による神道書。

後醍醐天皇方の勢力拡大のため、伊勢神道の渡会家行に接して、「日本書紀」「先代旧事本紀」「古語拾遺」「新撰姓氏録」「延喜式」などを読み、重要な部分を抜書きし編纂したもの。

羂索(けんさく)

青・黄・赤・白・黒の五色の糸をより合わせ、一端に環、他端に金剛杵の半形をつけたもの。
もともとは鳥や獣を捕獲する罠の意だが、転じてすべての衆生を救済する法具となり、不動明王・千手観音・不空羂索観音などの持物となった。

見性成仏けんしょうじょうぶつ

自分自身の心の中に成仏の資質を見出すこと。
直指人心と共に、唐代になってから使われだした、禅宗の特徴を表す特徴の一つ。

還俗げんぞく

出家の反対。
出家した僧侶が在家に戻ること。

(こう)

同一の信仰を持つ人々による集団。
江戸時代になってからは、経済的な相互扶助を行うようになり、遠隔地の場合、講の全メンバーが積み立てた資金で、くじなどで選ばれた代表者が代参するようになった。

代表的な講に、富士講や伊勢講、天神講などがある。

江家次第(ごうけしだい)

平安後期、この時代の文人で、和漢の学を備えた大江匡房(おおえのまさふさ)によってまとめられた儀式書。
宮廷の年中行事や神事・仏事が記載されており、この時代の朝儀の集大成とされている。

この書には園韓神社(そのからかみのやしろ)の託宣のことも記載されている。
園韓神社は、園神社と韓神社の二社を合わせた呼び名で、平安遷都以前から鎮座していた社。
平安遷都にともなって社を他所に移そうとしたところ、「この地で帝を護る」と託宣があったため、引き続き平安京大内裏内に祀られることになり、正三位にまで神階をあげていた。

園韓神社は現在は存在せず、NHK京都南側の二条児童公園内の祠がその跡であるとされている。

香語(こうご)

拈香法語ねんこうほうごの略。
法要などで導師が香を薫ずるときに唱える言葉。

釈尊が継母である大愛道比丘尼だいあいどうびくにが亡くなった時、香木を四諦に付けて香語を唱えたことに由来する。

庚申待(こうしんまち)

庚申(干支の一つ)の日に神仏を祀って徹夜をすると長生きできるという民間信仰。
道教の伝説に基づいている。

人間の頭と腹と足には三尸(さんし)の虫がいて、いつもその人の悪事を監視している。
その虫は庚申の日の夜、人が寝ている間に天に登って閻魔大王に日頃の行いを報告し、罪状が決定され、場合によっては寿命に関わるという。
そこで、三尸の虫が天に登れないようにするため、皆で集まって夜寝ずに酒盛りなどをして夜を明かした。

元々は平安時代に宮中で行われていたが、江戸時代になると庶民に普及し、庚申堂や庚申塔が建てられた。

高祖(こうそ)

一宗派の開祖。

皇太神宮儀式帳(こうだいじんぐうぎしきちょう)

皇大神宮の行事・儀式など23か条を記されている。

第50代桓武天皇の命で、延暦23年(804年)宮司大中臣真継・禰宜荒木田公成・大内人磯部小紲らが作成。
神宮の規模を忠実に伝えた根本史料。

仏教用語を別の言葉に言い換える忌詞(いみことば)もここで成文化されている。

止由気宮儀式帳と合わせて延暦儀式帳(又は「伊勢大神宮儀式帳」)という。

皇典講究所(こうてんこうきゅうじょ)

神道事務局に代わって明治15年(1882年)に設立された、神道・神社等に関する研究・教育機関。
のちの國學院大学。
神道事務局時代の祭神論争で教学の未成熟さを実感した神道はその教学の深化に迫られ、設立に至った。

教育制度などの充実にともない、内務省に認められた神職養成機関としても機能していくこととなったが、第2次世界大戦敗戦後、GHQにより解散され、事業と資産は学校法人國學院大學と神社本庁に継承された。

講堂(こうどう)

説経や講義をするお堂。
禅寺では法堂(はっとう)ともいう。

五蘊(ごうん)

身体と精神活動を構成している五つのカテゴリー。

  • 色蘊(しきうん):感覚器官を備えた「身体」のこと。
  • 受蘊(じゅうん):苦・楽・不苦不楽を感受する機能のこと。
  • 想蘊(そううん):感受した刺激を意識の上で対象として捉えること。
  • 行蘊(ぎょううん):「意志」や「欲求」のこと。
  • 識蘊(しきうん):「認識」や「判断」のこと。

からなる。

「蘊」は集積の意。

五蘊盛苦ごうんじょうく

五蘊が盛んに活動することで生じる苦。
四苦八苦の「八苦」の一つで、生きていく上で避けることのできない苦悩の代表的なもの。

牛王宝印(ごおうほういん)

熊野三山で配布される護符。
本宮と新宮では「熊野山宝印」、那智では「那智瀧宝印」と記される。

五戒ごかい

仏教の在家(出家していない)信者が守るべきとされる5つの戒律。

  • 不殺生戒ふせっしょうかい:生き物をみだりに殺してはならない。
  • 不偸盗戒ふちゅうとうかい:盗みをしてはならない。
  • 不邪淫戒ふじゃいんかい:夫婦以外の性交をしてはならない。
  • 不妄語戒ふもうごかい:嘘をついてはならない。
  • 不飲酒戒ふおんじゅかい:酒を飲んではならない。

五箇条の御誓文(ごかじょうのごせいもん)

慶応4年 (明治元年 - 1868年)、 第122代 明治天皇が、京都御所紫宸殿に出御し、天神地祇に誓われた発布された、明治政府の指針。

  1. 広く会議を興し、万機公論に決すべし。
    (広く会議を開いて、すべての政治は人々の意見によって行われるべし)
  2. 上下心を一にして、さかんに経綸を行うべし。
    (上の者も下の者も心を一つにしてさかんに政策を行うべし)
  3. 官武一途庶民にいたるまで、おのおのその志を遂げ、人心をして倦まざらしめんことを要す。
    (公家も武家も庶民にいたるまで、それぞれの志がとげられるようにし、人々が失望することがないようにすべし)
  4. 旧来の陋習を破り、天地の公道に基づくべし。
    (今までの悪い習慣(攘夷運動)をやめ、国際法に基づいて行動していくべし)
  5. 智識を世界に求め、大いに皇基を振起すべし。
    (知識を世界に求め、天皇による統治の基礎を奮い起こすべし)
  6. 国意考(こくいこう)

    国学者、賀茂真淵の著書で、真淵の学問をまとめたいわゆる『五意考』の一つ。

    神道はもともと日本古代から伝わる純粋な天地自然の大道であったが、後から伝わった表面的かつ形式的な仏教と儒教によって混濁させられたとした。

    虚空蔵菩薩こくうぞうぼさつ

    記憶力増進を祈念する修法求聞持法ぐもんじほうの本尊。
    広大な宇宙のような無限の智恵と慈悲を持った菩薩。
    化仏が五体ついた宝冠をかぶり、如意宝珠をのせた蓮華を持つ。

    密教で発達した金剛界の虚空蔵菩薩は、五智如来の変化身とも言われ、五大虚空蔵菩薩として息災・増益などの祈願の本尊にもなっている。

    • 法界虚空蔵(中央、白色)
    • 金剛虚空蔵(東方、黄色)
    • 宝光虚空蔵(南方、青色)
    • 蓮華虚空蔵(西方、赤色)
    • 業用虚空蔵ごうようこくうぞう(北方、黒紫色)

    それぞれ、それぞれ馬、獅子、象、孔雀、迦楼羅かるらに乗っている。
    迦楼羅は想像上の鳥、金翅鳥こんじちょうのこと。

    十三仏信仰では虚空蔵菩薩の縁日は十三日とされ、死者が十三番目に出会うのがこの虚空蔵菩薩である。
    また、男女とも十三歳になると、虚空蔵菩薩に知恵をもらいに参る十三参りなども各地で行われている。

    国学(こくがく)

    江戸中期に興った、儒教・仏教渡来以前の日本固有の文化・古典研究の学問。

    国学の祖とされる契沖をはじめ、代表的な国学者に荷田春満かだのあずままろ賀茂真淵かものまぶち本居宣長もとおりよりなが平田篤胤ひらたあつたねなどがいる。

    国学四大人(こくがくしうし)

    江戸時代の国学の四大家。
    荷田春満かだのあずままろ賀茂真淵かものまぶち本居宣長もとおりのりなが平田篤胤ひらたあつたねをいう。

    古語拾遺(こごしゅうい)

    天太玉命(あめのふとたまのみこと)の後裔とされる斎部広成(いんべのひろなり)が、平安時代の大同二年(807年)に著述した歴史書。

    斎部氏は古代より中臣氏と並んで宮廷祭祀に携わっていた家柄であったが、大化の改新で中臣氏が勢いを増してきたため、これに対抗するために自氏の伝承をまとめ,天皇に献上したもの。
    このことから、天太玉命をはじめとする祖先神の活躍が多く記されている。

    古事記(こじき)

    諸氏族の伝承の誤りを正すために編纂された、日本最古の歴史書。
    第40代 天武天皇の命で稗田阿礼(ひえだのあれ)が皇位継承などの記録である「帝紀」と神話や伝説の記録である「旧辞」を暗記、天武天皇の没後に第43代 元明天皇が太安万侶(おおのやすまろ)に命じて聞き書きさせ、和銅5年(712年)に完成した。
    全三巻で構成されていて、

    • 上巻・・・神々の誕生から、初代神武天皇が生まれるまでの神話物語
    • 中巻・・・神武天皇~第15代応神天皇までの歴史物語
    • 下巻・・・第16代仁徳天皇~第33代推古天皇までの歴史物語

    となっている。

    御成敗式目(ごせいばいしきもく)

    鎌倉幕府の執権、北条泰時が中心となって制定した、武士政権のための法令(式目)。
    行政・民事・刑事・訴訟に関する51ヶ条からなり、貞永元年(1232年)に制定された。

    第1条に「神社を修理し、祭祀をもっぱらにすべき事」とし、「神は人の敬いによって威を増し、人は神の徳によって運を添う」と神と人間の関係を述べている。

    西国の所領を得た御家人たちには「如在の礼奠怠慢せしむことなかれ」と、荘園内の神社の祭祀に怠慢があってはならないとしている。

    五節句(ごせっく)

    もともと宮中で行われていた行事に、農村での季節の変わり目に祝う節日を取り入れ、江戸幕府が公的な行事・祝日として定めたもの。

    • 七草(人日(じんじつ))の節句(1月7日)・・・七草の粥で祝う。
    • 上巳(じょうし)の節句(3月3日)・・・ひな祭り。桃の節句。
    • 端午(たんご)の節句(5月5日)・・・菖蒲の節句。
    • 七夕(しちせき)の節句(7月7日)・・・笹の節句。
    • 重陽(ちょうよう)の節句(9月9日)・・・菊の節句。

    五体投地(ごたいとうち)

    神仏を礼拝する際、両手・両膝・額を地面に投げ伏して行う礼拝の仕方。
    最高の敬意を表す礼法とされている。

    護法善神説(ごほうぜんしんせつ)

    日本の神々は仏教を尊重して守護する存在である、とする考え。
    奈良時代に出てきた神身離脱説から派生して出てきた。
    第48代 称徳天皇(在位764年~770年)もそのような内容の宣命を出されている。

    「護法善神」は「仏法を擁護する神」という意味で、古代インドの神々の護法神にならっている。

    宇佐八幡宮の八幡神が大仏建立を守護したのもこの考えによるもの。

    五大堂(ごだいどう)

    五大明王を祀るために設けたお堂。
    各尊にそれぞれ大壇を設けて、五人の僧で祈祷する、五壇法などを行う。

    五大堂は、京都上醍醐のものが旧国宝として指定され有名だったが、昭和7年に火災で焼失、現在は大覚寺、神護寺、宇治平等院に残っている。

    五大明王(ごだいみょうおう)

    一尊だけでも強力な威力をもつ明王を五尊集めた総称。

    明王は主に密教を中心に信仰されており、真言宗では以下の様に配置する。

    • 不動明王(ふどうみょうおう)(中心)
    • 降三世明王(こうざんぜみょうおう)(東)
    • 軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)(南)
    • 大威徳明王(だいいとくみょうおう)(西)
    • 金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)(北)

    天台宗では金剛夜叉明王の代わりに烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)が入る。

    護摩ごま

    密教のみに存在する修法で、「物を焼くこと」を意味する。

    焼かれた火を「天の口」とし、これによって火の神が煙と共に焼かれた供物を天上に運ぶ。
    天はその代わりに人々に福を与える、というもの。
    火の中は清浄の場として仏を観想する。

    御流神道(ごりゅうしんとう)

    空海ゆかりの地である奈良・室生(むろう)山において成立したとされる両部神道一派。

    御霊信仰(ごりょうしんこう)

    天災や疫病が、怨みを持って死んでいった人の祟りであると考え、これを鎮めて神として祀れば、「怨霊」から「御霊」に変わり、神として平穏を与える、と考えられた信仰。
    鎮魂のための儀式を御霊会(ごりょうえ)という。
    権力抗争が頻繁に起こった平安時代に現れた。

    御霊会では、庶民の見物が許され、舞楽など芸能の疲労と民衆の熱狂が御霊を鎮め、疫病を退散させると信じられた。

    欣求浄土ごんぐじょうど

    浄土教の用語。
    煩悩を脱却した理想世界(極楽浄土)に往生することを心から願い求めること。

    厭離穢土(えんりえど)の対句として使われる。

    金剛頂経(こんごうちょうきょう)

    大日経とならぶ密教の根本経典で、複数ある同系統の経典の総称。

    化身を実現するために大日如来が説く五つの方法(五法成身(ごほうじょうしん)が骨子となっている。

    金剛界曼荼羅は、この経典の宇宙観を図示している。

    権社神(ごんしゃのかみ)

    主に浄土真宗で説かれた、本地垂迹説を受け入れた神観念。
    神を権社神と実社神(じっしゃのかみ)とに分けている。

    権社神は仏・菩薩が衆生を救済するために、仮に神の姿で現れたもので、権社神を祀る神社を権社という。
    それに対して、人々を悩ます邪神を実社神という。

    浄土真宗の存覚の著「諸神本懐集」では、権社神を尊び、実社神を崇敬してはならないとしている。

    根本枝葉果実説(こんぽんしようかじつせつ)

    「神道」を万物の根源とし、仏教や儒教などの諸教もそれに包摂される、という説。
    吉田神道の吉田兼倶が説いた。
    「三教枝葉果実説」とも呼ばれる。

    日本で種子が生じ、中国で枝葉がわかれ、インドで花が開いて実を結ぶところという意味で、インドで生まれた仏教は万法の果実であり、中国で生まれた儒教は枝葉で、神道こそが万法であるとした。

    中国から入ってきた、仏教・儒教・道教の三教は究極的に一致するという「三教一致思想」の影響を受けているといわれている。

    金堂(こんどう)

    寺院の中心となる建物。
    宗派や建てられた時代によっては「中堂」、「本堂」、「仏殿」ともいわれる。

    古式では「金堂」が使われ、白鳳時代までの金堂は仏像が納められる為の堂だった。
    それはたとえ僧であっても仏像を納める以外に出入りすることは許されておらず、法要も金堂の外で行われていた。

    しかし、雨が降ると厄介なので、天平時代になると法要を行うための礼堂、「双堂」(ならびどう)が建てられ、そこで法要を行うようになった。

    時代が下がると金堂と礼堂は内陣、外陣を備えた1つのお堂になり、平安時代にはそれが「中堂」「本堂」として主流となった。
    鎌倉時代に浄土宗系や日蓮宗が広まると「本堂」とよぶのが主流になり、現在に至る。


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